2013年09月23日
長寿県・短命県を分けた「新・生活習慣病」
長野が沖縄を逆転!
長寿県・短命県を分けた「新・生活習慣病」
都道府県別”長寿番付”が物語る「日本人の危機」
森下竜一(大阪大学教授)/島袋充生(徳島大学特任教授)
2月28日、厚労省が発表した「平成22年都道府県別生命表」いわゆる長寿番付(表1)の結果は、沖縄県の医療関係者に衝撃を与えた。
というのも、1975年の調査以来、1位を維持してきた沖縄県女性の平均寿命が、3位(87.05歳)に転落したからである。沖縄県は、男性も79.40歳で全国30位(前回25位)となり、調査開始以来の史上最低記録を更新してしまった。
その沖縄県に替わって、初の女性1位を獲得したのが長野県(87.18歳)。長野県は男性も80.88歳で前回に引き続き」位を確保、長寿ナンバーワン県の称号を手にした。
何が長寿県と短命県を分けるのか。

「沖縄と長野の差を生んでいる最大の原因は、65歳未満で亡くなる。早世率”の違いです。沖縄の早世率は約27%、実に三人に一人が65歳未満で亡くなっている。対して長野県の早世率は、その半分以下です」
そう指摘するのは、自身も沖縄県の出身である徳島大学大学院心臓血管病態医学分野の島袋充生特任教授だ。島袋氏は、さらに沖縄県で65歳未満で亡くなる人たちの死因に着目する。
「心疾患と脳梗塞の伸び率は沖縄県で最も多い。これらを引き起こしているのは、欧米型の食生活が浸透したことによる。肥満”に他なりません」
2008年に発表された内閣府の食育白書によると、沖縄県の20歳から69歳までの男性の肥満率は46.7%。女性も39.4%と、いずれも全国一位を記録している。
「つまり沖縄県の男性と女性で、食べているものや生活習慣に違いがあるわけではない。にもかかわらず、長寿番付では、男性が2000年にベスト10から外れたのに対して、女性が一位の座から転落したのはそれから十年後、つまり今回が初めてです。この十年間のタイムラグにこそ、”長寿最大の敵”を暴くヒントがあります」
なぜ沖縄の女性は、この十年間、上位の座を維持できたのか。
「一般的に、女性は男性より長生きですが、特にメタボリックシンドロームが寿命に与える影響には男女差があります。最新の研究では、女性のほうが男性よりも脂肪に対する耐性が高いことがわかってきました。この脂肪こそが”長寿の最大の敵”なんです」
表2は長寿一位の長野県と沖縄県の一日の食品群別摂取量と栄養素摂取量を比較したものである。

「沖縄は肉類の摂取量は全国一位ですが、魚介類、野菜類、果実類は軒並み全国最下位。対して長野県は突出して摂取量が多い食品もありませんが、ほとんどの食品で20位内とバランスがとれていることがわかります」
問題は、肥満のもととなる脂質の摂取量である。
「一日の摂取エネルギーは沖縄(47位)は長野(13位)より低いのですが、摂取エネルギーに占める脂質の割合(脂質エネルギー比)で比較すると、沖縄は29.4%(一位)で、長野の26.8%(28位)を上回っています。この差は若い世代ほど顕著で、沖縄の若い世代の脂質の割合は32~34%に達します」
その背景には、沖縄では戦後、米軍占領下で、他県に先駆けて欧米食が定着したことがある。
「戦前・戦中・戦後の一時期まで沖縄の食料事情は悪く、結果的に琉球野菜・芋類を中心とした、いわゆる粗食が浸透していて、このときの”貯金”が、沖縄を長寿県たらしめていました。しかし米軍占領下で、スパムやハンバーガーなど欧米の食文化が入ってくると、沖縄県人の食生活が脂質中心へと一変します。70年代から県民一人あたりのファストフード店の割合は全国一位です」(島袋氏)
長寿県と短命県
では、具体的に脂肪はどのように身体に悪影響を及ぽすのだろうか。
「食べ物から摂取された脂肪のうち、エネルギーとして利用されなかったものは皮下脂肪や内臓脂肪ばかりでたく、血管や肝臓、心臓周囲など本来、脂肪を溜める組織ではない場所にも溜まります。これを『異所性脂肪』と呼び、脂肪肝や糖尿病、心臓病に直結します。また溜まった脂肪から出てくる飽和脂肪酸は、心臓や全身の血管に悪い影響を及ぼす。これを『脂肪毒性』と呼び、異所性脂肪と脂肪毒性のWパンチで、心臓病や脳卒中のリスクが高まるわけです」(島袋氏)
大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一教授も、脂肪が健康に及ぼす悪影響に注目している。
「例えば心筋梗塞を引き起こすのは、これまで悪玉コレステロール(LDLコレステロール)だと考えられてきました。ところが、最近、LDLはスタチンなどのコレステロール降下剤によって、かなり改善が可能になった。そこで改めて浮上してきたのが中性脂肪です。最近では中性脂肪の値がそのまま心筋梗塞や脳梗塞のリスクに直結していることがわかってきたんです」
それを裏づける興味深いデータがある。前出の島袋氏が、沖縄と長野で合わせて2800人を対象に首の血管のプラーク(動脈硬化で生じたコブ)を比較したところ、沖縄は長野の1.5倍近い厚みがあることに加えて、次のようなことがわかったという。
「悪玉コレステロールの平均は、実は長野の方が、沖縄よりも高い。沖縄はむしろ全国平均よりも低いくらいです。つまりコレステロールが高いという理由だけで心筋梗塞や脳梗塞が起こるわけではない。では何が引き起こしているかといえば、やはり中性脂肪なんです。中性脂肪の値で、沖縄は長野を、はるかに上回っていました」
前出の森下氏は中性脂肪を上げる「悪のトライアングル」があるという。
「食事の油だけ、つまりコレステロールだけだと実は中性脂肪はあまり上がらないんです。コレステロールに炭水化物とアルコールが加わると、一気に跳ね上がる。その意味でも一日三回の食事が、健康に与える影響は大きいことは言うまでもありません」
ここで再び、長寿県ランキングに目を移すと、上位県・下位県それぞれの特徴が見えてくる。
「男性で前回に引き続き二位の滋賀県や男女とも上位の熊本県などは、食品群別の摂取量をみると比較的バランスの良い『長野型長寿県』といえます。地方でも比較的公共交通が発達していて、極端な車社会ではないという特徴もあります。逆に八回連続最下位の青森県や岩手県、福島県などの下位グループは、いわゆる”酒どころ”が多く、青森などは飲酒習慣率で全国一位、”悪のトライアングル”にはまりやすくなってしまっています。また、酒のつまみなどで、塩分の摂取量も比較的高い」(森下氏)
では中性脂肪の影響はどうだろうか。前出の島袋氏はこう指摘する。
「様々な要因が複雑に絡み合っているので、中性脂肪の値がそのまま長寿ランキングに反映されるわけではありませんが、やはり中性脂肪が高い県は寿命が短くなる傾向はあります」
戦前からの県別の平均寿命の推移を分析すると、おおむね次の四つのグループに大別できるという。
①戦前から一貫して平均寿命が長い地域(長野県や沖縄県)
②戦前はや均な命で晨上位グループだったが、戦後は最下位水準まで低下した地域(和歌山県、栃木県、福島県、高知県など)
③戦前は最下位グループだったが近年は最上位水準に上がった地域(福井県、富山県、石川県)
④戦前から一貫して平均寿命が短い地域(秋田県、青森県)
注目すべきは、②のグループがなぜ低下し、③のグループがなぜ上がったかであろう。島袋氏はこう説明する。
「②のグループは、気候温暖な土地で、戦前から感染症死が少なかった可能性があります。なぜ下がったのか。戦後は都市に近い地域が長寿になる傾向があります。その意味で、和歌山などは近隣の奈良・三重に比べて寿命の改善が遅れている。同じ傾向は、栃木県や福島県にもありそうです」
では③のグループはどうか。
「北陸は過酷な気候のせいもあって、男女とも戦前より平均寿命が短かった。ただ戦後、食生活の改善にともない、心臓血管病リスクが他県と比べて、より少なくなった可能性があります。これらの地域では心筋梗塞と脳卒中が全国でも極めて少ないんです。低塩分、豆、野菜、いも類、魚食が多いバランスの良い食生活や、保健行政の改善も関与しているようです」
また②・③のグループについては、中性脂肪との関連もうかがえる。
「和歌山や栃木などは、中性脂肪が高く、これがランキングが低下した一因であることをうかがわせます。逆に③の福井や富山などは、みんな中性脂肪の値が低い。このグループは、有名な米どころでもあって、2008年の総務省のデータによると米の消費量で、富山は全国二位、石川は三位、福井は七位となっています。糖質摂取型の食生活といえるかもしれません」
さらに島袋氏は「偶然かもしれませんが……」と前置きしながら、こう続ける。
「和歌山や栃木などは、ご当地ラーメンで有名な地域でもあります。ラーメンに入っているラードは、まさに動物性脂肪の塊ですから、やはり習慣的に食べ続けると、『脂肪毒性』による影響が確実に出ると思います」
新・生活習慣病
実は脂肪の脅威は、地域を越えて日本全体を脅かしつつある。
「沖縄は50年前から欧米食を食べ続けた影響が今、出てきているわけですが、30年ほど前から、他県にも欧米食は浸透しているわけです。あと20年後には、日本全体が”沖縄化”するかもしれない」(島袋氏)
森下氏もこう警鐘を鳴らす。
「今や日本人男性のコレステロール摂取量は、アメリカ人男性の摂取量を上回っています。アメリカは国を挙げて肥満対策に取り組んだ成果がでている。最近では、日本人は欧米人に比べて、肝臓に脂肪を蓄積しやすいこともわかってきました。つまり同じファストフードを食べていても、日本人のほうが欧米人よりも身体へのダメージは大きいという言い方もできます」
こうした現状を踏まえて、森下氏は、日本人の健康を脅かす中性脂肪が原因となる「新・生活習慣病」という概念を提唱する。
「肥満、脂肪肝、そして食後高脂血症の三つです。例えば肥満率でみると、一位の沖縄県を、二位の宮崎県以下が”猛追”している状況で、成人男性の二人に一人が肥満という状況が現実的になりつつある。脂肪肝についていえば、日本人の成人男性の約三分の一が脂肪肝というデータがあります」
特に森下氏が注目するのは、「食後高脂血症」である。食後高脂血症とは、食後に中性脂肪が上昇し、血液がドロドロになり血栓が詰まりやすくなった状態を指す。脂っこいものが好きな人、三食しっかり食べている人は、この状態になっている可能性が高い。「食事で摂った中性脂肪のピークは約六時間後で、このとき血液がもっともドロドロになる。とすると朝七時に朝食を食べると、ピークは昼の一時になりますが、その頃には、多くの人は昼食を食べているわけです。さらにその六時間後にピークを迎える夜七時ごろに、また夕食を食べる。そのピークは深夜一時ですが、その頃には、皆さん就寝されて水分もほとんどとらない。
つまり多くの日本人は、一日の大半を”食後”しかも、血液がドロドロの状態で過ごしていることになります」
どうすれば中性脂肪を抑制することができるのか。森下氏はこう語る。
「青魚などに多く含まれるEPAやDHAには、中性脂肪を下げる効果があります。これらをサプリメントなどで補う方法もありますが、コレステロールと違って、中性脂肪に対しては劇的に効く薬は、まだまだ少ない。結局、食事の際に脂質のとりすぎに気をつけて、適度な運動を心がけるしかない。その分、自分の力で明日から取り組める”対策”であるともいえます」
”長寿番付”は、将来、日本を襲う危機の本質を、雄弁に物語っている。
文芸春秋 2013年5月号
特集・医療と健康の常識を疑え
長寿県・短命県を分けた「新・生活習慣病」
都道府県別”長寿番付”が物語る「日本人の危機」
森下竜一(大阪大学教授)/島袋充生(徳島大学特任教授)
2月28日、厚労省が発表した「平成22年都道府県別生命表」いわゆる長寿番付(表1)の結果は、沖縄県の医療関係者に衝撃を与えた。
というのも、1975年の調査以来、1位を維持してきた沖縄県女性の平均寿命が、3位(87.05歳)に転落したからである。沖縄県は、男性も79.40歳で全国30位(前回25位)となり、調査開始以来の史上最低記録を更新してしまった。
その沖縄県に替わって、初の女性1位を獲得したのが長野県(87.18歳)。長野県は男性も80.88歳で前回に引き続き」位を確保、長寿ナンバーワン県の称号を手にした。
何が長寿県と短命県を分けるのか。
「沖縄と長野の差を生んでいる最大の原因は、65歳未満で亡くなる。早世率”の違いです。沖縄の早世率は約27%、実に三人に一人が65歳未満で亡くなっている。対して長野県の早世率は、その半分以下です」
そう指摘するのは、自身も沖縄県の出身である徳島大学大学院心臓血管病態医学分野の島袋充生特任教授だ。島袋氏は、さらに沖縄県で65歳未満で亡くなる人たちの死因に着目する。
「心疾患と脳梗塞の伸び率は沖縄県で最も多い。これらを引き起こしているのは、欧米型の食生活が浸透したことによる。肥満”に他なりません」
2008年に発表された内閣府の食育白書によると、沖縄県の20歳から69歳までの男性の肥満率は46.7%。女性も39.4%と、いずれも全国一位を記録している。
「つまり沖縄県の男性と女性で、食べているものや生活習慣に違いがあるわけではない。にもかかわらず、長寿番付では、男性が2000年にベスト10から外れたのに対して、女性が一位の座から転落したのはそれから十年後、つまり今回が初めてです。この十年間のタイムラグにこそ、”長寿最大の敵”を暴くヒントがあります」
なぜ沖縄の女性は、この十年間、上位の座を維持できたのか。
「一般的に、女性は男性より長生きですが、特にメタボリックシンドロームが寿命に与える影響には男女差があります。最新の研究では、女性のほうが男性よりも脂肪に対する耐性が高いことがわかってきました。この脂肪こそが”長寿の最大の敵”なんです」
表2は長寿一位の長野県と沖縄県の一日の食品群別摂取量と栄養素摂取量を比較したものである。
「沖縄は肉類の摂取量は全国一位ですが、魚介類、野菜類、果実類は軒並み全国最下位。対して長野県は突出して摂取量が多い食品もありませんが、ほとんどの食品で20位内とバランスがとれていることがわかります」
問題は、肥満のもととなる脂質の摂取量である。
「一日の摂取エネルギーは沖縄(47位)は長野(13位)より低いのですが、摂取エネルギーに占める脂質の割合(脂質エネルギー比)で比較すると、沖縄は29.4%(一位)で、長野の26.8%(28位)を上回っています。この差は若い世代ほど顕著で、沖縄の若い世代の脂質の割合は32~34%に達します」
その背景には、沖縄では戦後、米軍占領下で、他県に先駆けて欧米食が定着したことがある。
「戦前・戦中・戦後の一時期まで沖縄の食料事情は悪く、結果的に琉球野菜・芋類を中心とした、いわゆる粗食が浸透していて、このときの”貯金”が、沖縄を長寿県たらしめていました。しかし米軍占領下で、スパムやハンバーガーなど欧米の食文化が入ってくると、沖縄県人の食生活が脂質中心へと一変します。70年代から県民一人あたりのファストフード店の割合は全国一位です」(島袋氏)
長寿県と短命県
では、具体的に脂肪はどのように身体に悪影響を及ぽすのだろうか。
「食べ物から摂取された脂肪のうち、エネルギーとして利用されなかったものは皮下脂肪や内臓脂肪ばかりでたく、血管や肝臓、心臓周囲など本来、脂肪を溜める組織ではない場所にも溜まります。これを『異所性脂肪』と呼び、脂肪肝や糖尿病、心臓病に直結します。また溜まった脂肪から出てくる飽和脂肪酸は、心臓や全身の血管に悪い影響を及ぼす。これを『脂肪毒性』と呼び、異所性脂肪と脂肪毒性のWパンチで、心臓病や脳卒中のリスクが高まるわけです」(島袋氏)
大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一教授も、脂肪が健康に及ぼす悪影響に注目している。
「例えば心筋梗塞を引き起こすのは、これまで悪玉コレステロール(LDLコレステロール)だと考えられてきました。ところが、最近、LDLはスタチンなどのコレステロール降下剤によって、かなり改善が可能になった。そこで改めて浮上してきたのが中性脂肪です。最近では中性脂肪の値がそのまま心筋梗塞や脳梗塞のリスクに直結していることがわかってきたんです」
それを裏づける興味深いデータがある。前出の島袋氏が、沖縄と長野で合わせて2800人を対象に首の血管のプラーク(動脈硬化で生じたコブ)を比較したところ、沖縄は長野の1.5倍近い厚みがあることに加えて、次のようなことがわかったという。
「悪玉コレステロールの平均は、実は長野の方が、沖縄よりも高い。沖縄はむしろ全国平均よりも低いくらいです。つまりコレステロールが高いという理由だけで心筋梗塞や脳梗塞が起こるわけではない。では何が引き起こしているかといえば、やはり中性脂肪なんです。中性脂肪の値で、沖縄は長野を、はるかに上回っていました」
前出の森下氏は中性脂肪を上げる「悪のトライアングル」があるという。
「食事の油だけ、つまりコレステロールだけだと実は中性脂肪はあまり上がらないんです。コレステロールに炭水化物とアルコールが加わると、一気に跳ね上がる。その意味でも一日三回の食事が、健康に与える影響は大きいことは言うまでもありません」
ここで再び、長寿県ランキングに目を移すと、上位県・下位県それぞれの特徴が見えてくる。
「男性で前回に引き続き二位の滋賀県や男女とも上位の熊本県などは、食品群別の摂取量をみると比較的バランスの良い『長野型長寿県』といえます。地方でも比較的公共交通が発達していて、極端な車社会ではないという特徴もあります。逆に八回連続最下位の青森県や岩手県、福島県などの下位グループは、いわゆる”酒どころ”が多く、青森などは飲酒習慣率で全国一位、”悪のトライアングル”にはまりやすくなってしまっています。また、酒のつまみなどで、塩分の摂取量も比較的高い」(森下氏)
では中性脂肪の影響はどうだろうか。前出の島袋氏はこう指摘する。
「様々な要因が複雑に絡み合っているので、中性脂肪の値がそのまま長寿ランキングに反映されるわけではありませんが、やはり中性脂肪が高い県は寿命が短くなる傾向はあります」
戦前からの県別の平均寿命の推移を分析すると、おおむね次の四つのグループに大別できるという。
①戦前から一貫して平均寿命が長い地域(長野県や沖縄県)
②戦前はや均な命で晨上位グループだったが、戦後は最下位水準まで低下した地域(和歌山県、栃木県、福島県、高知県など)
③戦前は最下位グループだったが近年は最上位水準に上がった地域(福井県、富山県、石川県)
④戦前から一貫して平均寿命が短い地域(秋田県、青森県)
注目すべきは、②のグループがなぜ低下し、③のグループがなぜ上がったかであろう。島袋氏はこう説明する。
「②のグループは、気候温暖な土地で、戦前から感染症死が少なかった可能性があります。なぜ下がったのか。戦後は都市に近い地域が長寿になる傾向があります。その意味で、和歌山などは近隣の奈良・三重に比べて寿命の改善が遅れている。同じ傾向は、栃木県や福島県にもありそうです」
では③のグループはどうか。
「北陸は過酷な気候のせいもあって、男女とも戦前より平均寿命が短かった。ただ戦後、食生活の改善にともない、心臓血管病リスクが他県と比べて、より少なくなった可能性があります。これらの地域では心筋梗塞と脳卒中が全国でも極めて少ないんです。低塩分、豆、野菜、いも類、魚食が多いバランスの良い食生活や、保健行政の改善も関与しているようです」
また②・③のグループについては、中性脂肪との関連もうかがえる。
「和歌山や栃木などは、中性脂肪が高く、これがランキングが低下した一因であることをうかがわせます。逆に③の福井や富山などは、みんな中性脂肪の値が低い。このグループは、有名な米どころでもあって、2008年の総務省のデータによると米の消費量で、富山は全国二位、石川は三位、福井は七位となっています。糖質摂取型の食生活といえるかもしれません」
さらに島袋氏は「偶然かもしれませんが……」と前置きしながら、こう続ける。
「和歌山や栃木などは、ご当地ラーメンで有名な地域でもあります。ラーメンに入っているラードは、まさに動物性脂肪の塊ですから、やはり習慣的に食べ続けると、『脂肪毒性』による影響が確実に出ると思います」
新・生活習慣病
実は脂肪の脅威は、地域を越えて日本全体を脅かしつつある。
「沖縄は50年前から欧米食を食べ続けた影響が今、出てきているわけですが、30年ほど前から、他県にも欧米食は浸透しているわけです。あと20年後には、日本全体が”沖縄化”するかもしれない」(島袋氏)
森下氏もこう警鐘を鳴らす。
「今や日本人男性のコレステロール摂取量は、アメリカ人男性の摂取量を上回っています。アメリカは国を挙げて肥満対策に取り組んだ成果がでている。最近では、日本人は欧米人に比べて、肝臓に脂肪を蓄積しやすいこともわかってきました。つまり同じファストフードを食べていても、日本人のほうが欧米人よりも身体へのダメージは大きいという言い方もできます」
こうした現状を踏まえて、森下氏は、日本人の健康を脅かす中性脂肪が原因となる「新・生活習慣病」という概念を提唱する。
「肥満、脂肪肝、そして食後高脂血症の三つです。例えば肥満率でみると、一位の沖縄県を、二位の宮崎県以下が”猛追”している状況で、成人男性の二人に一人が肥満という状況が現実的になりつつある。脂肪肝についていえば、日本人の成人男性の約三分の一が脂肪肝というデータがあります」
特に森下氏が注目するのは、「食後高脂血症」である。食後高脂血症とは、食後に中性脂肪が上昇し、血液がドロドロになり血栓が詰まりやすくなった状態を指す。脂っこいものが好きな人、三食しっかり食べている人は、この状態になっている可能性が高い。「食事で摂った中性脂肪のピークは約六時間後で、このとき血液がもっともドロドロになる。とすると朝七時に朝食を食べると、ピークは昼の一時になりますが、その頃には、多くの人は昼食を食べているわけです。さらにその六時間後にピークを迎える夜七時ごろに、また夕食を食べる。そのピークは深夜一時ですが、その頃には、皆さん就寝されて水分もほとんどとらない。
つまり多くの日本人は、一日の大半を”食後”しかも、血液がドロドロの状態で過ごしていることになります」
どうすれば中性脂肪を抑制することができるのか。森下氏はこう語る。
「青魚などに多く含まれるEPAやDHAには、中性脂肪を下げる効果があります。これらをサプリメントなどで補う方法もありますが、コレステロールと違って、中性脂肪に対しては劇的に効く薬は、まだまだ少ない。結局、食事の際に脂質のとりすぎに気をつけて、適度な運動を心がけるしかない。その分、自分の力で明日から取り組める”対策”であるともいえます」
”長寿番付”は、将来、日本を襲う危機の本質を、雄弁に物語っている。
文芸春秋 2013年5月号
特集・医療と健康の常識を疑え
2013年09月22日
アルツハイマーは「第三の糖尿病」
アルツハイマーは「第三の糖尿病」
アルツハイマー病治療の”突破口”が見えた!
白澤卓二 順天堂大学教授
アルツハイマー病で医療機関を受診した人は、平成20年は24万人。しかし平成23年には36.6万人と、たった三年で1.5倍に増えている。治療法がないといわれてきたこの厄介な病気を、「脳の糖尿病」だとする研究成果が最近発表された。順天堂大学の白澤卓二教授が語る。
大きく認知症という中に、いろいろな種類の病気があります。一番多いのがアルツハイマー病で、次が脳血管性の認知症です。
「これまで糖尿病は、インスリンがまったく分泌できない1型糖尿病と、インスリンの効きが悪くなる2型糖尿病とに分類されてきたが、アルツハイマー病は”3型糖尿病”と呼ばれるべき証拠が得られた」
こう語ったのは、米ペンシルバニア大学医学部精神医学・神経学のスティーブンーアーノルド教授です。よくぞこの名前を付けたものだと、私は感心しました。
脳も筋肉も、グルコース(ブドウ糖)をエネルギーとしています。グルコースを利用するために必要なのが、すい臓から分泌されるホルモンのインスリンです。インスリンの効きが悪くなってグルコースをエネルギーに変えることができないと、血液中の血糖値が高いままになり、脳も筋肉も働きが悪くなります。これが糖尿病の大半を占める「2型」の症状。インスリンが出ない「1型糖尿病」は、いわゆるインスリン依存型の糖尿病です。
アーノルド教授はなぜ、アルツハイマー病を”3型糖尿病”と言ったのか。それは、脳の神経細胞におけるインスリン抵抗性を調べた結果でした。脳の中で記憶を司っているのは、大脳辺縁系の海馬と呼ばれる部分です。アルツハイマー病を発症するとこの海馬に「老人斑(シミ)」が現れます。これは海馬の神経細胞が死滅して、記憶障害を起こしている状態です。
アーノルド教授らの研究チームは、糖尿病ではないアルツハイマー病患者の脳の海馬を調べました。すると、糖尿病ではないのに、脳内のインスリンの効きが悪く、神経細胞がグルコースを使えなくなっていることがわかったのです。すなわち、”脳の糖尿病”といって差し支えない状態でした。
グルコースは十分にあるし、インスリンが枯渇しているわけでもありません。しかし、グルコースを利用できないために、エネルギーを作れないのです。その結果、脳の神経細胞が変性して死んでしまい、アルツハイマー病の症状が出たというわけです。
原因は糖の代謝異常
こうした認知症に関する新しい論文はアメリカばかりでなく、日本にも研究報告があります。
九州大学の環境医学分野の清原裕教授は、福岡県の久山町に住む60歳以上で認知症のない高齢者を、十五年にわたって追跡調査しました。1022人の対象者のうち、15年の調査中に232人が認知症になりました。合わせて糖尿病の有無を調べたところ、”糖尿病予備軍”といえる人は、アルツハイマー病の発症危険率が正常な高齢者に比べて60%、糖尿病患者を含めると73%も高いことがわかりました。
また病理解剖の結果、血中インスリン値の高い人ほど、右で述べたアルツハイマー病の特徴である「老人斑」という脳のシミが多かったのです。
東京医大老年病科の羽生春夫教授は、糖尿病外来の患者240人に対して認知機能の検査を行ないました。すると5%が認知症で、32%に認知症の疑いがあると診断されました。羽生教授は、「糖尿病や高血圧の患者に、未診断のアルツハイマー病が潜んでいる」と指摘しています。
羽生教授は軽い糖尿病を抱える早期アルツハイマー病の患者に対して、「ピオグリタゾン」という経口の糖尿病の薬を二年間投与し、認知機能に及ぼす影響も調べました。すると糖尿病の薬なのに、投与された人は投与さ初なかった人に比べ、二年たった後も認知機能が保たれていました。
今後、脳の神経細胞における糖の代謝異常を治すことが、アルツハイマー病の治療や予防につながるかもしれません。
糖尿病の研究では長い間、肝臓やすい臓(脂肪や筋肉の細胞に注目が集まっていて、脳に与える影響はほとんど注目されませんでした。脳にもインスリンの受容体がありますが、どんな働きをしているか、よくわかりませんでした。2型の糖尿病を発症した人がみな、脳の認知機能を急激に悪くさせていくわけでもないので、あまり研究がなかったのです。
ところがしっかり調べてみると、糖尿病の人はそうでない人より二倍もアルツハイマー病になりやすい。糖尿病は、アルツハイマー病の大きなリスクになっていることがわかりました。こうして二つの病気の関連性が、疫学的に明らかになってきたのです。
「ケトン体」を活用せよ
人間の脳は、二種類のエネルギーソースを使うことができます。ひとつは、ここまで述べてきたグルコース。もうひとつは「ケトン体」です。グルコースを使い果たしたとき、体内の脂肪細胞を分解して作られるのがケトッ体。グルコースがあるときはグルコースを使い、なくなったときや使えないときに限って、自然にケトン体を使う仕組みになっています。
脳が糖尿病と同じ状態のアルツハイマー病になると、グルコースを利用できません。しかしケトン体は利用できます。脳のエネルギー不足がアルツハイマー病の原因と考えると、ケトン体を与えることによって、神経細胞の活性が元に戻り、アルツハイマー病の症吠が改善される可能性があるわけです。
しかも、ケトン体を使ったときのほうが、グルコースを使うより脳のパフォーマンスは高くなることがわかっています。アルツハイマー病だけでなく、神経変性疾患のことごとくに効果が出ています。
実はこのケトン体を一番多く含み、摂取しやすいのがココナッツオイルです。
ココナッツオイルというのは、中鎖の飽和脂肪酸です。脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。肉や乳製品に含まれるのが飽和脂肪酸で、主としてエネルギー源になります。一方、魚や植物油に入っているのが不飽和脂肪酸です。ココナッツオイルは植物由来ですが、なぜか飽和脂肪酸です。しかも中鎖の飽和脂肪酸というのは、吸収されやすく、すぐエネルギーに変わり、脂肪として蓄積されにくい性質をもっています。
体内でケトン体を作るためには、グルコースをシャットアウトしなければなりませんが、ココナッツオイルを口から食べれば、外から簡単に補給できます。最近ではこのココナツオイルがアルツハイマー病の治療に効果があるという報告もあります。
私は最近ますます、食事の重要性に注目すべきだと考えるようになりました。逆に言うと、食事を間違えていることによってアルツハイマー病になっている可能性も十分あります。脳にいいものをしっかり食べていれば、こうした病気にはならないはずです。
文芸春秋 2013年5月号
特集・医療と健康の常識を疑え
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アルツハイマー病治療の”突破口”が見えた!
白澤卓二 順天堂大学教授
アルツハイマー病で医療機関を受診した人は、平成20年は24万人。しかし平成23年には36.6万人と、たった三年で1.5倍に増えている。治療法がないといわれてきたこの厄介な病気を、「脳の糖尿病」だとする研究成果が最近発表された。順天堂大学の白澤卓二教授が語る。
大きく認知症という中に、いろいろな種類の病気があります。一番多いのがアルツハイマー病で、次が脳血管性の認知症です。
「これまで糖尿病は、インスリンがまったく分泌できない1型糖尿病と、インスリンの効きが悪くなる2型糖尿病とに分類されてきたが、アルツハイマー病は”3型糖尿病”と呼ばれるべき証拠が得られた」
こう語ったのは、米ペンシルバニア大学医学部精神医学・神経学のスティーブンーアーノルド教授です。よくぞこの名前を付けたものだと、私は感心しました。
脳も筋肉も、グルコース(ブドウ糖)をエネルギーとしています。グルコースを利用するために必要なのが、すい臓から分泌されるホルモンのインスリンです。インスリンの効きが悪くなってグルコースをエネルギーに変えることができないと、血液中の血糖値が高いままになり、脳も筋肉も働きが悪くなります。これが糖尿病の大半を占める「2型」の症状。インスリンが出ない「1型糖尿病」は、いわゆるインスリン依存型の糖尿病です。
アーノルド教授はなぜ、アルツハイマー病を”3型糖尿病”と言ったのか。それは、脳の神経細胞におけるインスリン抵抗性を調べた結果でした。脳の中で記憶を司っているのは、大脳辺縁系の海馬と呼ばれる部分です。アルツハイマー病を発症するとこの海馬に「老人斑(シミ)」が現れます。これは海馬の神経細胞が死滅して、記憶障害を起こしている状態です。
アーノルド教授らの研究チームは、糖尿病ではないアルツハイマー病患者の脳の海馬を調べました。すると、糖尿病ではないのに、脳内のインスリンの効きが悪く、神経細胞がグルコースを使えなくなっていることがわかったのです。すなわち、”脳の糖尿病”といって差し支えない状態でした。
グルコースは十分にあるし、インスリンが枯渇しているわけでもありません。しかし、グルコースを利用できないために、エネルギーを作れないのです。その結果、脳の神経細胞が変性して死んでしまい、アルツハイマー病の症状が出たというわけです。
原因は糖の代謝異常
こうした認知症に関する新しい論文はアメリカばかりでなく、日本にも研究報告があります。
九州大学の環境医学分野の清原裕教授は、福岡県の久山町に住む60歳以上で認知症のない高齢者を、十五年にわたって追跡調査しました。1022人の対象者のうち、15年の調査中に232人が認知症になりました。合わせて糖尿病の有無を調べたところ、”糖尿病予備軍”といえる人は、アルツハイマー病の発症危険率が正常な高齢者に比べて60%、糖尿病患者を含めると73%も高いことがわかりました。
また病理解剖の結果、血中インスリン値の高い人ほど、右で述べたアルツハイマー病の特徴である「老人斑」という脳のシミが多かったのです。
東京医大老年病科の羽生春夫教授は、糖尿病外来の患者240人に対して認知機能の検査を行ないました。すると5%が認知症で、32%に認知症の疑いがあると診断されました。羽生教授は、「糖尿病や高血圧の患者に、未診断のアルツハイマー病が潜んでいる」と指摘しています。
羽生教授は軽い糖尿病を抱える早期アルツハイマー病の患者に対して、「ピオグリタゾン」という経口の糖尿病の薬を二年間投与し、認知機能に及ぼす影響も調べました。すると糖尿病の薬なのに、投与された人は投与さ初なかった人に比べ、二年たった後も認知機能が保たれていました。
今後、脳の神経細胞における糖の代謝異常を治すことが、アルツハイマー病の治療や予防につながるかもしれません。
糖尿病の研究では長い間、肝臓やすい臓(脂肪や筋肉の細胞に注目が集まっていて、脳に与える影響はほとんど注目されませんでした。脳にもインスリンの受容体がありますが、どんな働きをしているか、よくわかりませんでした。2型の糖尿病を発症した人がみな、脳の認知機能を急激に悪くさせていくわけでもないので、あまり研究がなかったのです。
ところがしっかり調べてみると、糖尿病の人はそうでない人より二倍もアルツハイマー病になりやすい。糖尿病は、アルツハイマー病の大きなリスクになっていることがわかりました。こうして二つの病気の関連性が、疫学的に明らかになってきたのです。
「ケトン体」を活用せよ
人間の脳は、二種類のエネルギーソースを使うことができます。ひとつは、ここまで述べてきたグルコース。もうひとつは「ケトン体」です。グルコースを使い果たしたとき、体内の脂肪細胞を分解して作られるのがケトッ体。グルコースがあるときはグルコースを使い、なくなったときや使えないときに限って、自然にケトン体を使う仕組みになっています。
脳が糖尿病と同じ状態のアルツハイマー病になると、グルコースを利用できません。しかしケトン体は利用できます。脳のエネルギー不足がアルツハイマー病の原因と考えると、ケトン体を与えることによって、神経細胞の活性が元に戻り、アルツハイマー病の症吠が改善される可能性があるわけです。
しかも、ケトン体を使ったときのほうが、グルコースを使うより脳のパフォーマンスは高くなることがわかっています。アルツハイマー病だけでなく、神経変性疾患のことごとくに効果が出ています。
実はこのケトン体を一番多く含み、摂取しやすいのがココナッツオイルです。
ココナッツオイルというのは、中鎖の飽和脂肪酸です。脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。肉や乳製品に含まれるのが飽和脂肪酸で、主としてエネルギー源になります。一方、魚や植物油に入っているのが不飽和脂肪酸です。ココナッツオイルは植物由来ですが、なぜか飽和脂肪酸です。しかも中鎖の飽和脂肪酸というのは、吸収されやすく、すぐエネルギーに変わり、脂肪として蓄積されにくい性質をもっています。
体内でケトン体を作るためには、グルコースをシャットアウトしなければなりませんが、ココナッツオイルを口から食べれば、外から簡単に補給できます。最近ではこのココナツオイルがアルツハイマー病の治療に効果があるという報告もあります。
私は最近ますます、食事の重要性に注目すべきだと考えるようになりました。逆に言うと、食事を間違えていることによってアルツハイマー病になっている可能性も十分あります。脳にいいものをしっかり食べていれば、こうした病気にはならないはずです。
文芸春秋 2013年5月号
特集・医療と健康の常識を疑え
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・ 脳機能をケアする「水素配合ブレインフード」
・ アルツハイマー病に驚くべき改善効果
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・ 65歳以上の高齢者における認知症は15%、462万人
2013年09月20日
ロート製薬の水素水「悠久の恵」
とうとう製薬会社まで、水素水を発売するようになりました。

「世界が注目する水素水」酸素は、細胞内のミトコンドリアがエネルギーをつくるモトになっていますが、同時に老化の原因である活性酸素もつくりだします。日本医科大学で加齢医学研究を行っている太田教授らは、活性酸素に関する研究を発展させ、2007年水素水に関する論文を発表しました。この論文は世界中の大学や専門機関から大きな注目を集めることとなり、水素水はさまざまな分野への活用が期待されるようになりました。現在も、日本各地の大学や研究所で水素水と健康に関する研究が進んでいます。
【豆知識】水素って何?
・水素は、活性酸素と結びついて無害な水になります。
・飲んでも数時間でカラダの外に抜ける、または水になって排出されるため、残留しません。
・腸内ガスなど人の体の中にも存在する物質です。
・すべての元素の中で最も小さく、ガラス・プラスチック
・人の体などほとんどの物質に浸透し、通り抜けます。
・水素を最も逃がしにくい物質はアルミです。
水素水「悠久の水」生産工場では、地下から汲み上げた屋久島縄文水を0.00022ミリフィルターで濾過し、高圧で水素を溶存。缶も濾過水で洗浄し、無菌状態のクリーンブースでボトリング。また風味や大腸菌群などの源水検査は毎日行い適切に品質管理されています。
ロート製薬の水素水「悠久の恵」
300ml 24本 5796円
美と健康を応援するロート製薬の通販サイト「ロートオンラインショップ」
http://www.shop.rohto.co.jp/suiso/
水素水の水素はペットボトルを通過して抜けてしまうので、ロート製薬の水素水「悠久の恵」はアルミ缶に入っています。さらにアルミ缶の特性を生かして、水素を加圧封入しています。

水素水は体内で30分ほどで消えてしまいますが、それでもさまざまな効果があります。
もし、30分以上も体内で水素を発生させ続けられたら、もっと効果が持続します。

「世界が注目する水素水」酸素は、細胞内のミトコンドリアがエネルギーをつくるモトになっていますが、同時に老化の原因である活性酸素もつくりだします。日本医科大学で加齢医学研究を行っている太田教授らは、活性酸素に関する研究を発展させ、2007年水素水に関する論文を発表しました。この論文は世界中の大学や専門機関から大きな注目を集めることとなり、水素水はさまざまな分野への活用が期待されるようになりました。現在も、日本各地の大学や研究所で水素水と健康に関する研究が進んでいます。
【豆知識】水素って何?
・水素は、活性酸素と結びついて無害な水になります。
・飲んでも数時間でカラダの外に抜ける、または水になって排出されるため、残留しません。
・腸内ガスなど人の体の中にも存在する物質です。
・すべての元素の中で最も小さく、ガラス・プラスチック
・人の体などほとんどの物質に浸透し、通り抜けます。
・水素を最も逃がしにくい物質はアルミです。
水素水「悠久の水」生産工場では、地下から汲み上げた屋久島縄文水を0.00022ミリフィルターで濾過し、高圧で水素を溶存。缶も濾過水で洗浄し、無菌状態のクリーンブースでボトリング。また風味や大腸菌群などの源水検査は毎日行い適切に品質管理されています。
ロート製薬の水素水「悠久の恵」
300ml 24本 5796円
美と健康を応援するロート製薬の通販サイト「ロートオンラインショップ」
http://www.shop.rohto.co.jp/suiso/
水素水の水素はペットボトルを通過して抜けてしまうので、ロート製薬の水素水「悠久の恵」はアルミ缶に入っています。さらにアルミ缶の特性を生かして、水素を加圧封入しています。

水素水は体内で30分ほどで消えてしまいますが、それでもさまざまな効果があります。
もし、30分以上も体内で水素を発生させ続けられたら、もっと効果が持続します。
2013年09月18日
手作りヨーグルトで腸まで届く乳酸菌
一般的に、乳酸菌をクチから食べても、腸へ届くまでにはかなり消化で死滅してしまいます。
ヨーグルトに「生きて腸まで届くビヒィズス菌」とありますが、もちろん100%ではありません。

そこでヨーグルトそのままより、乳酸菌を食物に吸着させたら、より腸まで届きやすいのではないかと考えました。
用意したのは、市販のヨーグルトとドライフルーツです。

ドライフルーツをヨーグルトに混ぜて漬け込みます。

三日ほど漬けると、ドライフルーツが水分とともに乳酸菌を吸収します。
プリプリに戻ったドライフルーツを食べると、甘くて水分がはじけ出てきます。

漬け込んだドライフルーツを取り出して、よく水洗いします。
これで外側にあるヨーグルトの乳酸菌は流れ落ち、中にしみ込んだ乳酸菌だけが残ります。

透明な容器に、洗ったフルーツを入れ牛乳を注ぎます。

フルーツが底へ沈んでいます。

室温より温かいところへ置くと、フルーツに閉じ込められていた乳酸菌が牛乳を発酵させ始めます。
中には浮いてくるフルーツもあります。

6時間ほどすると、ヨーグルトのできあがり。

プルプルのフルーツは、残念ながら甘みはもうありません。
最初に漬け込んだときにおいしい成分はヨーグルトに染み出してしまいましたが、逆にヨーグルトの乳酸菌をフルーツの中に取り込みました。
その結果、よく洗い流したフルーツを牛乳に入れただけでヨーグルトが出来上がったのです。

つまり、「生きて腸まで届くビヒィズス菌」ヨーグルトを単体で食べるよりは、ドライフルーツをあらかじめ漬け込んで一緒に食べたほうが、乳酸菌が腸までしっかり届くといえます。ここでは、実験のために漬けたフルーツを取り出しましたが、普通は上から四番目の写真の状態で食べられます。
日本の漬物は、これと同じ事をしています。糠(ぬか)と野菜は、乳酸菌と食物繊維です。食物繊維にしみ込んだ乳酸菌が、しっかり腸まで届ける働きをしています。
これは現代版の家庭で手軽にできる漬物の発想です。もちろん生の果物を刻んで混ぜるのも良いでしょうが、ヨーグルトの乳酸菌を吸収しやすいドライフルーツの方が、手軽さからいってもオススメです。
翌日、便の状態もとても良くなりますが、写真の掲載は控えます。
ヨーグルトに「生きて腸まで届くビヒィズス菌」とありますが、もちろん100%ではありません。

そこでヨーグルトそのままより、乳酸菌を食物に吸着させたら、より腸まで届きやすいのではないかと考えました。
用意したのは、市販のヨーグルトとドライフルーツです。
ドライフルーツをヨーグルトに混ぜて漬け込みます。
三日ほど漬けると、ドライフルーツが水分とともに乳酸菌を吸収します。
プリプリに戻ったドライフルーツを食べると、甘くて水分がはじけ出てきます。

漬け込んだドライフルーツを取り出して、よく水洗いします。
これで外側にあるヨーグルトの乳酸菌は流れ落ち、中にしみ込んだ乳酸菌だけが残ります。

透明な容器に、洗ったフルーツを入れ牛乳を注ぎます。

フルーツが底へ沈んでいます。

室温より温かいところへ置くと、フルーツに閉じ込められていた乳酸菌が牛乳を発酵させ始めます。
中には浮いてくるフルーツもあります。

6時間ほどすると、ヨーグルトのできあがり。

プルプルのフルーツは、残念ながら甘みはもうありません。
最初に漬け込んだときにおいしい成分はヨーグルトに染み出してしまいましたが、逆にヨーグルトの乳酸菌をフルーツの中に取り込みました。
その結果、よく洗い流したフルーツを牛乳に入れただけでヨーグルトが出来上がったのです。

つまり、「生きて腸まで届くビヒィズス菌」ヨーグルトを単体で食べるよりは、ドライフルーツをあらかじめ漬け込んで一緒に食べたほうが、乳酸菌が腸までしっかり届くといえます。ここでは、実験のために漬けたフルーツを取り出しましたが、普通は上から四番目の写真の状態で食べられます。
日本の漬物は、これと同じ事をしています。糠(ぬか)と野菜は、乳酸菌と食物繊維です。食物繊維にしみ込んだ乳酸菌が、しっかり腸まで届ける働きをしています。
これは現代版の家庭で手軽にできる漬物の発想です。もちろん生の果物を刻んで混ぜるのも良いでしょうが、ヨーグルトの乳酸菌を吸収しやすいドライフルーツの方が、手軽さからいってもオススメです。
翌日、便の状態もとても良くなりますが、写真の掲載は控えます。
2013年08月27日
高齢化時代 始まる悲劇
高齢化時代 始まる悲劇
作家 曽野綾子

安倍内閣は、一応順調にすべり出していると言われるが、私はただちに取りかからねぱならない、重大な課題が残されている、と思っている。
原発問題もその一つだが、それよりある意味では、もっと確実に暗い未来が見えているからである。
日本の人口が高齢化に向かっていることは既に警告されているが、団塊の世代(1947~49年生まれ)が、すでに一部は老齢に入りかけた。彼らが75歳以上になる2025年に高齢者人口は3625万人になる。一方総人口は減少するので高齢化率は上昇し、2035年の高齢化率は33.4%に達する。つまり3人に一人が高齢者になる。この高齢化率はさらに上昇し、2060年には39.9%になって、実に日本人の2.5人に一人は65歳以上の高齢者になる予想である。
実を言うと、私はこうした統計をあまり信じていない。人生には想定外のことが起きるのが普通であって、人は人生で必ず何か思わぬ番狂わせに出逢う。
しかし一応の原則を信用しないわけにもいかない。私自身は夫婦で3人の親と同居し、全員を自宅で見送った。しかし2.5人の成人で一人の高齢者をみることは、かなり困難なことである。
数年前まで私は途上国のマンパワーを入れて、経済的行為の一環として日本の高齢者をみてもらえばいいと思っていた。しかし途上国の人口も、特にアジアにある国は減少しつつある。
仮に日本が経済的繁栄を続けたとしても、そして十分な電力を確保し、介護の方途を機械化したとしても、世話をする人がなくなってしまうのが現実だ。
私は恐ろしい社会現象の出現を、単に想像上の恐怖とは考えない。老人ホームの人々は、食事は与えられても、入浴や排泄の面倒をみる人がいなくなるだろう。町には棄民に近い孤独な高齢者が溢れ、道端に横たわり、死なないだけで生きているとはいえない状況で、彷徨い歩くようになるだろう。
若者たちは老人の存在自体を悪と考えるか、あるいは自分たちの世代の発展を阻害するものとして敵視する。その結果個人的に高齢者を殺害するか、あるいは集団で老人ホームを襲撃したり、火を放って焼いたりするようになるかもしれない。
一方で、老人は若い世代からますます自分の生が脅かされていると感じ、若い世代を憎み、自分たちがただ生き延びることだけを考えて、利己的な自衛に走るようになる。そこには一定の時期が来れば人は死ぬものだという人間らしい覚悟も哲学も、存在のかげを潜める。
2035年は決して遠い先ではない。私にとって二十数年前から今までの年月は、ほんの数年のように感じられるほどだ。
悲劇の開始まで時間的余裕はない。人に優しいという言葉を掲げ、長寿を目標とした社会構造には、大なたをふるわなければならない。安倍内閣は、この推測可能な悪夢に、ただちに手をうたなければ手遅れになる。
(その あやこ)
産経新聞 2013年8月25日
特養「要介護3」から 厚労省 入所基準を厳格化へ

厚生労働省は25日、特別養護老人ホームの入所基準を厳しくする方針を固めた。入所できるのは原則として、手厚い介護が必要で自宅では負担が重い「要介護3」以上の高齢者からとする方向だ。要介護度の低い人は在宅へ、という流れを進め、制度維持のため給付費を抑制するのが狙い。介護保険法を改正、平成27年度からの実施を目指す。
28日に再開する社会保障審議会の介護保険部会で議論を本格化させる。

社会保障制度改革国民会議の報告書は、特養の入所者について「中重度者に重点化」と明記。改革の工程を示すプログラム法案の骨子でも、26年の通常国会に介護保険法改正案を提出し、27年度をめどに実施していくとした。
厚労省は報告書を踏まえ、特養に入所できる高齢者を要介護3以上の中重度者とし、比較的軽度の要介護1、2の高齢者は新規入所を制限する。
要介護1、2の高齢者が特養を利用する理由として「介護者不在、介護困難、住居問題」が大きいとする調査結果もある。このため厚労省は自宅がない要介護1、2の高齢者向けには空き家などを活用して住まいを確保、買い物や食事などの生活支援も合わせて行う仕組み作りを進める。
厚労省によると、25年4月審査分の1人当たりの介護サービス費用は、在宅が約12万円に対し特養の利用者は約28万円。
23年度の特養の新規入所者14万人中、要介護3~5が約12万人と9割近くで、要介護1、2は1万6千人だった。
産経新聞 2013年8月26日
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130826/trd13082610450011-n1.htm
作家 曽野綾子
安倍内閣は、一応順調にすべり出していると言われるが、私はただちに取りかからねぱならない、重大な課題が残されている、と思っている。
原発問題もその一つだが、それよりある意味では、もっと確実に暗い未来が見えているからである。
日本の人口が高齢化に向かっていることは既に警告されているが、団塊の世代(1947~49年生まれ)が、すでに一部は老齢に入りかけた。彼らが75歳以上になる2025年に高齢者人口は3625万人になる。一方総人口は減少するので高齢化率は上昇し、2035年の高齢化率は33.4%に達する。つまり3人に一人が高齢者になる。この高齢化率はさらに上昇し、2060年には39.9%になって、実に日本人の2.5人に一人は65歳以上の高齢者になる予想である。
実を言うと、私はこうした統計をあまり信じていない。人生には想定外のことが起きるのが普通であって、人は人生で必ず何か思わぬ番狂わせに出逢う。
しかし一応の原則を信用しないわけにもいかない。私自身は夫婦で3人の親と同居し、全員を自宅で見送った。しかし2.5人の成人で一人の高齢者をみることは、かなり困難なことである。
数年前まで私は途上国のマンパワーを入れて、経済的行為の一環として日本の高齢者をみてもらえばいいと思っていた。しかし途上国の人口も、特にアジアにある国は減少しつつある。
仮に日本が経済的繁栄を続けたとしても、そして十分な電力を確保し、介護の方途を機械化したとしても、世話をする人がなくなってしまうのが現実だ。
私は恐ろしい社会現象の出現を、単に想像上の恐怖とは考えない。老人ホームの人々は、食事は与えられても、入浴や排泄の面倒をみる人がいなくなるだろう。町には棄民に近い孤独な高齢者が溢れ、道端に横たわり、死なないだけで生きているとはいえない状況で、彷徨い歩くようになるだろう。
若者たちは老人の存在自体を悪と考えるか、あるいは自分たちの世代の発展を阻害するものとして敵視する。その結果個人的に高齢者を殺害するか、あるいは集団で老人ホームを襲撃したり、火を放って焼いたりするようになるかもしれない。
一方で、老人は若い世代からますます自分の生が脅かされていると感じ、若い世代を憎み、自分たちがただ生き延びることだけを考えて、利己的な自衛に走るようになる。そこには一定の時期が来れば人は死ぬものだという人間らしい覚悟も哲学も、存在のかげを潜める。
2035年は決して遠い先ではない。私にとって二十数年前から今までの年月は、ほんの数年のように感じられるほどだ。
悲劇の開始まで時間的余裕はない。人に優しいという言葉を掲げ、長寿を目標とした社会構造には、大なたをふるわなければならない。安倍内閣は、この推測可能な悪夢に、ただちに手をうたなければ手遅れになる。
(その あやこ)
産経新聞 2013年8月25日
特養「要介護3」から 厚労省 入所基準を厳格化へ
厚生労働省は25日、特別養護老人ホームの入所基準を厳しくする方針を固めた。入所できるのは原則として、手厚い介護が必要で自宅では負担が重い「要介護3」以上の高齢者からとする方向だ。要介護度の低い人は在宅へ、という流れを進め、制度維持のため給付費を抑制するのが狙い。介護保険法を改正、平成27年度からの実施を目指す。
28日に再開する社会保障審議会の介護保険部会で議論を本格化させる。

社会保障制度改革国民会議の報告書は、特養の入所者について「中重度者に重点化」と明記。改革の工程を示すプログラム法案の骨子でも、26年の通常国会に介護保険法改正案を提出し、27年度をめどに実施していくとした。
厚労省は報告書を踏まえ、特養に入所できる高齢者を要介護3以上の中重度者とし、比較的軽度の要介護1、2の高齢者は新規入所を制限する。
要介護1、2の高齢者が特養を利用する理由として「介護者不在、介護困難、住居問題」が大きいとする調査結果もある。このため厚労省は自宅がない要介護1、2の高齢者向けには空き家などを活用して住まいを確保、買い物や食事などの生活支援も合わせて行う仕組み作りを進める。
厚労省によると、25年4月審査分の1人当たりの介護サービス費用は、在宅が約12万円に対し特養の利用者は約28万円。
23年度の特養の新規入所者14万人中、要介護3~5が約12万人と9割近くで、要介護1、2は1万6千人だった。
産経新聞 2013年8月26日
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130826/trd13082610450011-n1.htm
2013年08月24日
水素水より持続力の長い水素サプリメント
水素水を飲むと、体内を循環して呼気から水素が出てきます。
その時間はわずか30分程度ですが、さまざまな効用が検証されています。

水素水のよさは即効性です。
水素の良さをすぐに体感できます。
いっぽうで水素サプリメントは、長時間にわたって水素が出ています。
167時間とは約7日間に相当します。

瞬間値で水素量が多いのと、長時間にわたり体内で水素が発生し続けているのでは、持続的な運動をしたときに違いが出てきます。
あるいは夜寝ている間に、30分ごとに起きて水素水を飲むのは不可能ですが、焼成サンゴカルシウムまたはフラナガンパウダーによる水素サプリメントは、寝ていても水素が体内に存在し続けます。
そして同じ水素サプリメントでも、カプセルとタブレットでは若干違いがあります。
カプセルは水素水に近い即効性がありますが、タブレットは粒が崩壊して水素を発生するのにタイムラグがあります。

そんなわけで、水素水で水素サプリメントを飲むのが理想です。
その時間はわずか30分程度ですが、さまざまな効用が検証されています。

水素水のよさは即効性です。
水素の良さをすぐに体感できます。
いっぽうで水素サプリメントは、長時間にわたって水素が出ています。
167時間とは約7日間に相当します。

瞬間値で水素量が多いのと、長時間にわたり体内で水素が発生し続けているのでは、持続的な運動をしたときに違いが出てきます。
あるいは夜寝ている間に、30分ごとに起きて水素水を飲むのは不可能ですが、焼成サンゴカルシウムまたはフラナガンパウダーによる水素サプリメントは、寝ていても水素が体内に存在し続けます。
そして同じ水素サプリメントでも、カプセルとタブレットでは若干違いがあります。
カプセルは水素水に近い即効性がありますが、タブレットは粒が崩壊して水素を発生するのにタイムラグがあります。

そんなわけで、水素水で水素サプリメントを飲むのが理想です。
2013年08月20日
カレーでボケ予防!カスペ!・間違いだらけの健康ジョーシキ
カスペ!・間違いだらけの健康ジョーシキ
2013年8月20日 19:00~20:54
これに関連して、カレーに含まれるターメリックの呼気水素への影響が報告されている(2006年、国立循環器センターと神戸女学院大学・名古屋大学)。カレー摂取と生体微量ガス成分の関連に関する調査の結果、「カレーに含まれるターメリックは呼気水素産生を亢進し,小腸通過時間を短縮させる」としている。
http://blog.goo.ne.jp/flanagan_suiso/e/0b9bc65608cbd495c9398fdb8987f868
カレー摂取と生体微量ガス成分の関連に関する調査
─カレーに含まれるターメリックの呼気水素への影響─
最近,分子状水素ガスは活性酸素種の中でも主にヒドロキシラジカル(hydroxyl radicals,・OH)を消去する作用をもつことがOhsawa らにより報告され,従来,不活性と考えられていた生体内分子状水素に新たな機能としての視点が加わった。この結果に相応するものとして,Kagaya らは若年女性では高齢者と比較し,ベースラインのみならず日本食摂食による呼気水素濃度の上昇反応の第1 相と第2 相が共に高くなることを報告している。これら
の報告は呼気水素として評価される生体内水素分子は生体にとって有利に働いている可能性を示唆している。水素吸入の抗酸化ストレス作用と同様に,腸内醗酵による水素も抗酸化ストレス作用を発揮しているものと推察できる。他方,ターメリックに含まれるクルクミンは水素原子供与体として抗酸化ストレス作用を発揮する。本研究で明らかにしたターメリックの呼気水素上昇作用は,これとは別の腸内細菌醗酵によるものであり,ターメリックの新たな抗酸化ストレス作用と考えられる。
結論
カレーに含まれるターメリックは呼気水素産生を亢進し,小腸通過時間を短縮させる。
http://www.urakamizaidan.or.jp/winner.files/vol16urakamif-04shimouchi.pdf
腰痛は寝て治す!ひざ下に枕で驚き解消
▽コラーゲンの食べ方で驚異の美肌!ザ・リリーズが体を張って判明
▽トイレを我慢すると早死にする?
▽カレーでボケ予防!
[キャスト]
【MC】 船越英一郎 西山喜久恵(フジテレビアナウンサー)
【スタジオゲスト】 柴田理恵 TKO 奈美悦子 錦野旦 松本伊代 安めぐみ
【医療スペシャリスト】 森田豊(医療ジャーナリスト、内科、医学博士) 池谷敏郎(内科・循環器専門医、医学博士) 伊藤まゆ(美容皮膚科、内科) 丁宗鐵(漢方医学者、医学博士) 神戸克明(整形外科、医学博士)
【VTR出演】 蛭子能収 佐々木健介 北斗晶 大場久美子 春香クリスティーン
【データルーム】 戸部洋子(フジテレビアナウンサー)
2013年8月20日 19:00~20:54
これに関連して、カレーに含まれるターメリックの呼気水素への影響が報告されている(2006年、国立循環器センターと神戸女学院大学・名古屋大学)。カレー摂取と生体微量ガス成分の関連に関する調査の結果、「カレーに含まれるターメリックは呼気水素産生を亢進し,小腸通過時間を短縮させる」としている。
http://blog.goo.ne.jp/flanagan_suiso/e/0b9bc65608cbd495c9398fdb8987f868
カレー摂取と生体微量ガス成分の関連に関する調査
─カレーに含まれるターメリックの呼気水素への影響─
最近,分子状水素ガスは活性酸素種の中でも主にヒドロキシラジカル(hydroxyl radicals,・OH)を消去する作用をもつことがOhsawa らにより報告され,従来,不活性と考えられていた生体内分子状水素に新たな機能としての視点が加わった。この結果に相応するものとして,Kagaya らは若年女性では高齢者と比較し,ベースラインのみならず日本食摂食による呼気水素濃度の上昇反応の第1 相と第2 相が共に高くなることを報告している。これら
の報告は呼気水素として評価される生体内水素分子は生体にとって有利に働いている可能性を示唆している。水素吸入の抗酸化ストレス作用と同様に,腸内醗酵による水素も抗酸化ストレス作用を発揮しているものと推察できる。他方,ターメリックに含まれるクルクミンは水素原子供与体として抗酸化ストレス作用を発揮する。本研究で明らかにしたターメリックの呼気水素上昇作用は,これとは別の腸内細菌醗酵によるものであり,ターメリックの新たな抗酸化ストレス作用と考えられる。
結論
カレーに含まれるターメリックは呼気水素産生を亢進し,小腸通過時間を短縮させる。
http://www.urakamizaidan.or.jp/winner.files/vol16urakamif-04shimouchi.pdf
腰痛は寝て治す!ひざ下に枕で驚き解消
▽コラーゲンの食べ方で驚異の美肌!ザ・リリーズが体を張って判明
▽トイレを我慢すると早死にする?
▽カレーでボケ予防!
[キャスト]
【MC】 船越英一郎 西山喜久恵(フジテレビアナウンサー)
【スタジオゲスト】 柴田理恵 TKO 奈美悦子 錦野旦 松本伊代 安めぐみ
【医療スペシャリスト】 森田豊(医療ジャーナリスト、内科、医学博士) 池谷敏郎(内科・循環器専門医、医学博士) 伊藤まゆ(美容皮膚科、内科) 丁宗鐵(漢方医学者、医学博士) 神戸克明(整形外科、医学博士)
【VTR出演】 蛭子能収 佐々木健介 北斗晶 大場久美子 春香クリスティーン
【データルーム】 戸部洋子(フジテレビアナウンサー)
2013年08月08日
"人類を救う"万能医療の素 奇跡の水素水
この夏始める体質改善新常識!
何ッ! 40代で寿命は決まる!?
驚異の健康革命
“人類を救う万能薬” 奇跡の水素水

カラダに活力を与え、現代病を治す。
またも日本人研究者が発見した"人類を救う"万能医療の素
奇跡の水素水
今、わかっていることの全情報
シミ、シワから脳梗塞にまで改善効果のある水素水。ノンフィクションライター・一志治夫氏と編集部が最新情報と今後の課題を総力レポート。
副作用がなく、万病に効く。
筆者も体験した神の水の効能
二日酔いがなくなった、メタボが解消された、疲労しにくくなった、運動が楽になった-。いずれも、水素水を飲んで得られるとされる効果である。
にわかには信じられないかもしれない。が、実は、私自身も数か月間、水素水を飲み続けて、二日酔いの軽減を実感している。しこたま飲んで帰った夜、300mlほどの水素水を飲んで寝ると、翌朝、驚くほど爽やかに目覚められるということを何回も経験しているのだ。
最初のうちは、「まあ気のせいだろう、普通の水を飲んでもきっと同じはずだ。意識して水分をとろうとすることで、体内のアルコール分が薄まり楽になっているに違いない」と思っていた。が、そんな疑いを持ちつつも飲み続けていて、やはり水素水が効いていると思わざるを得なくなってくる。水素水が手元になく、代替の飲料を飲んだ時は、明らかに酒が残るのである。
同じく数か月にわたって水素水を飲み続けている私の友人も同様のことを実感していた。彼はタバコも酒も嗜むが、水素水を飲み始めてからというもの、明らかに二日酔いが減り、ランニングなどの運動能力が上がったと感じられるというのである。現在は、年1回の人間ドックの結果を楽しみにしているという。肝機能をはじめ、何らかの数値の向上があるのではないかと期待しているのだ。
ミトコンドリア研究で水素の力を発見
水素水とは、言うまでもなく、水に水素を溶解させたものである。ここで言う水素とは、水素ガスとして知られる分子状の水素(H2)である。
ではなぜ、その水素水にはそれだけのパワーが秘められているのか。
水素水の研究は、長らく行なわれてきたが、にわかに脚光を浴びだしたのは、21世紀を迎えてからのことである。
そして2007年、日本医科大の太田成男教授が医学雑話『Nature Medicine』に「水素の生体への効果」に関する論文を発表したことで、一気に水素水は世の耳目を集め始めるのである。
太田先生の専門は、分子細胞生物学。とりわけ、ほとんどの生物の細胞に含まれる小器官「ミトコンドリア」研究の第一人者としてつとに知られていた。
太田先生が言う。
「ミトコンドリアから出る活性酸素を研究している過程で水素と出会ったんです。活性酸素というと、すべて悪玉のように考えて、全部消しちゃえばいいと考える人が多かったんですけど、実は、抗酸化サプリメントを多量にとっている人は、寿命が短いんです。活性酸素の害を減らすためには、抗酸化物質をとりすぎるとまずいんですね。その点を回避しながら、悪玉活性酸素「ヒドロキシルラジカル」の害をどうやってなくしたらいいかと研究をしている時に、それが水素であることがわかったんです」
分子状の水素は、悪玉活性酸素と結合し、無害の水になってしまう。水素には細胞やDNAすら破壊する酸化力を持つ悪玉活性酸素を除去する力があったのだ。平たく言えば、「体についたサビを落としてくれる」のである。
その後2012年までに、水素に関する論文が世界中で約250も発表され、人体に対して水素がどんな効果をもたらすかの研究が重ねられた。

副作用がなく、ガン、不妊治療にも期待。
抗炎症作用やアレルギーに効果ありとの研究結果も
その結果、先の二日酔いや肉体疲労だけでなく、病気に対しても効果があるのではないか、とわかってきた。
例えば、順天堂大学を中心にした医療チームは、パーキンソン病患者18名に対して、48週にわたって二重盲検試験(9名にただの水、9名に水素水1リットルを毎日与える)を行なった。パーキンソン病は、神経変性疾患のひとつで、根本的な治療方法は確立されていない。その結果、水素水を飲み続けた9例中6例で症状改善、進行抑制が見られたのである。
あるいは、福岡県の原土井病院では、リウマチ患者に水素水を飲ませた結果、10人中8人に改善が見られたことを発表している。
このほかにも、臨床試験で脳梗塞治療(静岡県の西島病院)、疲労予防効果(筑波大学)。ラットを使った動物実験で心臓障害の軽減(慶雁義塾大学)、歯周炎抑制効果(岡山大学)、認知機能低下抑制効果(日本医科大)などなど、次々と結果は表われている。
「水素の効果というのは、当初考えていたよりたくさんあるということがわかってきたんです。最初に狙ったのは、抗酸化作用だったんですけど、抗炎症作用、アレルギーを防ぐ作用、代謝を活発にすることとか、想像していたよりいい面がずっとあった。パーキンソン病に関しては、今まで特効薬がなかったんですけど、1年間で改善効果が認められたわけですしね。
それと、普通は、動物実験から人間を使った臨床試験にいくにはすごく時間がかかるんですが、お医者さんが水素の効用を信用してくれて早い時期から臨床試験に入ってくれたんですね」
臨床試験は現在も広く続けられており、ED、不妊治療、ガン治療などでも効果が上げられるのではないか、と期待されている。
もっとも、現在の研究では、それぞれの病状に対して水素水あるいは水素ガスがなぜこうした効果をもたらすのかがわかっていない。つまり、水素の何がどう改善に作用しているのかが科学的には証明されていないのである。
ただし、副作用がない、ということはわかっている。
「普通、血圧の高い人の数値を下げるクスリは、低い人の数値も下げてしまう。ところが、水素水は、高い人の数値は下げて、正常の人のは下げることがないんです。あるいは、インスリンをとりすぎれば低血糖になってしまう。ところが水素では、そうならずに効果を出せる。だから逆に、若い健常な人には水素水を与えてもあまり変化がないんです。正常な人は正常になりようがないから。過不足なく都合のいいように働きかけるのが水素のいいところなんです」(太田先生)
太田先生もまた、いま、その水素の効用メカニズム、根本原理を追究しているところだ。
"ほんの微量"含有の「水素水」商品に注意
現在、真剣に水素研究を続ける者たちを悩ましているのは、ニセ水素水の存在である。水素水市場がふくらむにつれて、インチキな水素水が跋扈し始めているのである。
水素研究の第一人者である太田先生は困惑を隠せない。
「水素が入ってますと謳っていても、わずかに10万分の1とか100万分の1のものもある。ということはほとんどゼロです。それでも、入っていると言い張る水素水がある。彼らの測定数値自体は間違っていないんだけど、効果が見込めない微量な水素しか入っていないのに、さもたくさん入っているかの如くに謳うんです。また、そんな水素水の宣伝に僕の名前や写真が勝手に使われていたりするから困っているんです。消費者庁も動いてはいるんですけどね、僕も(消費者が)個人的に問い合わせてくれれば答えますと言っているんだけど、全く知らない商品が次々といっぱい出てきていてね」
太田先生が続ける。
「微量しか入っていないということを知っててやっているわけですから完全に詐欺なんですが、そんなふうに私が発言すると、大学宛てにクレームがきたりする。やっぱり彼らにとっては死活問題ですからね。偽物を駆逐するのは難しい」
効果なき商品が蔓延すれば、水素水全体がインチキだということにもなりかねない。
間違いなく言えるのは、水素は、消えやすいということである。例えば「ペットボトルで売られているものには、水素水と銘打たれていても水素は含有されてない」と考えたほうがよい。水素の分子は細かく、たとえ、生産時に水素が入れられていたとしても、ブラスチックボトルから抜け出てしまうのである。アルミパックに入っているもののほうが確かだ。また、製造年月日も無視できない。時間をおけばおくほど、水素は抜けてしまうので、たとえ、アルミパックであっても、経年したものは効果が薄い。
水素水が健康と生活スタイルを変える
水素水には副作用がないと書いたが、見方を変えれば、「ある」のかもしれない。実は、オリンピック選手のような一級のアスリートが飲みすぎると、「筋肉が楽になって力が出なくなっちゃう」(太田先生)というのだ、
実際、何人かのオリンピック選手、プロ野球選手、ボクサー、力士らは水素水を飲んだあと、成績を落としてしまったという実例がある。
トップスポーツ選手は、練習で筋肉をいじめ抜き、自らを追い込んで試合に臨む。しかし、水素水を飲むことによって、目標値を以前より楽に達成してしまい、結果、筋肉への刺激が減り、筋力が落ちてしまうのではないか、という仮説だ。
ただ、逆に素人レベルのスポーツ愛好者であれば、効果的であるかもしれない。例えば、日曜日に草野球をやったあとに水素水を飲めば疲労回復は早くなり、翌朝が楽、なんてこともあり得るのだ。
「いままで僕は副作用はありませんと言ってたけど、トップのスポーツ選手は考えて飲まないといけないし、がんばりがきいちゃうというタイプの人も、仕事をいくらやっても疲れないとなって、過労死したら大変だなと。そういう副作用はあるかもしれないですね」(太田先生)
いずれにせよ、水素水は、今後ますます私たちの生活に溶け込んでくるのだろう。
「水素というのはちゃんとしたクスリで、もっと信用して飲んでくれるようになるといいと思う。あとは、値段をだんだん安くしていくということですね。水だけでなく、いずれはお茶とか珈琲にも入れられるようになると思います」(太田先生)
しかし、やはり、期待されるのは、前述のとおり医療分野においての活用だ。
太田先生は言う。
「今、水素水じゃなくて、水素ガスをクスリにしようと思っているんです。例えば、心筋梗塞になった、心肺停止状態になったという緊急時に水素ガスを吸わせる。水素ガスや水素水の普及は、大きく見れば、医療費の軽減にもつながると僕は期待しているんです」
「水素水の奇跡」は、決して大袈裟な話ではないのである。
DIME 2013年 9月号
2013年7月16日(火)発売
定価:680円(税込)
何ッ! 40代で寿命は決まる!?
驚異の健康革命
“人類を救う万能薬” 奇跡の水素水

カラダに活力を与え、現代病を治す。
またも日本人研究者が発見した"人類を救う"万能医療の素
奇跡の水素水
今、わかっていることの全情報
シミ、シワから脳梗塞にまで改善効果のある水素水。ノンフィクションライター・一志治夫氏と編集部が最新情報と今後の課題を総力レポート。
副作用がなく、万病に効く。
筆者も体験した神の水の効能
二日酔いがなくなった、メタボが解消された、疲労しにくくなった、運動が楽になった-。いずれも、水素水を飲んで得られるとされる効果である。
にわかには信じられないかもしれない。が、実は、私自身も数か月間、水素水を飲み続けて、二日酔いの軽減を実感している。しこたま飲んで帰った夜、300mlほどの水素水を飲んで寝ると、翌朝、驚くほど爽やかに目覚められるということを何回も経験しているのだ。
最初のうちは、「まあ気のせいだろう、普通の水を飲んでもきっと同じはずだ。意識して水分をとろうとすることで、体内のアルコール分が薄まり楽になっているに違いない」と思っていた。が、そんな疑いを持ちつつも飲み続けていて、やはり水素水が効いていると思わざるを得なくなってくる。水素水が手元になく、代替の飲料を飲んだ時は、明らかに酒が残るのである。
同じく数か月にわたって水素水を飲み続けている私の友人も同様のことを実感していた。彼はタバコも酒も嗜むが、水素水を飲み始めてからというもの、明らかに二日酔いが減り、ランニングなどの運動能力が上がったと感じられるというのである。現在は、年1回の人間ドックの結果を楽しみにしているという。肝機能をはじめ、何らかの数値の向上があるのではないかと期待しているのだ。
ミトコンドリア研究で水素の力を発見
水素水とは、言うまでもなく、水に水素を溶解させたものである。ここで言う水素とは、水素ガスとして知られる分子状の水素(H2)である。
ではなぜ、その水素水にはそれだけのパワーが秘められているのか。
水素水の研究は、長らく行なわれてきたが、にわかに脚光を浴びだしたのは、21世紀を迎えてからのことである。
そして2007年、日本医科大の太田成男教授が医学雑話『Nature Medicine』に「水素の生体への効果」に関する論文を発表したことで、一気に水素水は世の耳目を集め始めるのである。
太田先生の専門は、分子細胞生物学。とりわけ、ほとんどの生物の細胞に含まれる小器官「ミトコンドリア」研究の第一人者としてつとに知られていた。
太田先生が言う。
「ミトコンドリアから出る活性酸素を研究している過程で水素と出会ったんです。活性酸素というと、すべて悪玉のように考えて、全部消しちゃえばいいと考える人が多かったんですけど、実は、抗酸化サプリメントを多量にとっている人は、寿命が短いんです。活性酸素の害を減らすためには、抗酸化物質をとりすぎるとまずいんですね。その点を回避しながら、悪玉活性酸素「ヒドロキシルラジカル」の害をどうやってなくしたらいいかと研究をしている時に、それが水素であることがわかったんです」
分子状の水素は、悪玉活性酸素と結合し、無害の水になってしまう。水素には細胞やDNAすら破壊する酸化力を持つ悪玉活性酸素を除去する力があったのだ。平たく言えば、「体についたサビを落としてくれる」のである。
その後2012年までに、水素に関する論文が世界中で約250も発表され、人体に対して水素がどんな効果をもたらすかの研究が重ねられた。

副作用がなく、ガン、不妊治療にも期待。
抗炎症作用やアレルギーに効果ありとの研究結果も
その結果、先の二日酔いや肉体疲労だけでなく、病気に対しても効果があるのではないか、とわかってきた。
例えば、順天堂大学を中心にした医療チームは、パーキンソン病患者18名に対して、48週にわたって二重盲検試験(9名にただの水、9名に水素水1リットルを毎日与える)を行なった。パーキンソン病は、神経変性疾患のひとつで、根本的な治療方法は確立されていない。その結果、水素水を飲み続けた9例中6例で症状改善、進行抑制が見られたのである。
あるいは、福岡県の原土井病院では、リウマチ患者に水素水を飲ませた結果、10人中8人に改善が見られたことを発表している。
このほかにも、臨床試験で脳梗塞治療(静岡県の西島病院)、疲労予防効果(筑波大学)。ラットを使った動物実験で心臓障害の軽減(慶雁義塾大学)、歯周炎抑制効果(岡山大学)、認知機能低下抑制効果(日本医科大)などなど、次々と結果は表われている。
「水素の効果というのは、当初考えていたよりたくさんあるということがわかってきたんです。最初に狙ったのは、抗酸化作用だったんですけど、抗炎症作用、アレルギーを防ぐ作用、代謝を活発にすることとか、想像していたよりいい面がずっとあった。パーキンソン病に関しては、今まで特効薬がなかったんですけど、1年間で改善効果が認められたわけですしね。
それと、普通は、動物実験から人間を使った臨床試験にいくにはすごく時間がかかるんですが、お医者さんが水素の効用を信用してくれて早い時期から臨床試験に入ってくれたんですね」
臨床試験は現在も広く続けられており、ED、不妊治療、ガン治療などでも効果が上げられるのではないか、と期待されている。
もっとも、現在の研究では、それぞれの病状に対して水素水あるいは水素ガスがなぜこうした効果をもたらすのかがわかっていない。つまり、水素の何がどう改善に作用しているのかが科学的には証明されていないのである。
ただし、副作用がない、ということはわかっている。
「普通、血圧の高い人の数値を下げるクスリは、低い人の数値も下げてしまう。ところが、水素水は、高い人の数値は下げて、正常の人のは下げることがないんです。あるいは、インスリンをとりすぎれば低血糖になってしまう。ところが水素では、そうならずに効果を出せる。だから逆に、若い健常な人には水素水を与えてもあまり変化がないんです。正常な人は正常になりようがないから。過不足なく都合のいいように働きかけるのが水素のいいところなんです」(太田先生)
太田先生もまた、いま、その水素の効用メカニズム、根本原理を追究しているところだ。
"ほんの微量"含有の「水素水」商品に注意
現在、真剣に水素研究を続ける者たちを悩ましているのは、ニセ水素水の存在である。水素水市場がふくらむにつれて、インチキな水素水が跋扈し始めているのである。
水素研究の第一人者である太田先生は困惑を隠せない。
「水素が入ってますと謳っていても、わずかに10万分の1とか100万分の1のものもある。ということはほとんどゼロです。それでも、入っていると言い張る水素水がある。彼らの測定数値自体は間違っていないんだけど、効果が見込めない微量な水素しか入っていないのに、さもたくさん入っているかの如くに謳うんです。また、そんな水素水の宣伝に僕の名前や写真が勝手に使われていたりするから困っているんです。消費者庁も動いてはいるんですけどね、僕も(消費者が)個人的に問い合わせてくれれば答えますと言っているんだけど、全く知らない商品が次々といっぱい出てきていてね」
太田先生が続ける。
「微量しか入っていないということを知っててやっているわけですから完全に詐欺なんですが、そんなふうに私が発言すると、大学宛てにクレームがきたりする。やっぱり彼らにとっては死活問題ですからね。偽物を駆逐するのは難しい」
効果なき商品が蔓延すれば、水素水全体がインチキだということにもなりかねない。
間違いなく言えるのは、水素は、消えやすいということである。例えば「ペットボトルで売られているものには、水素水と銘打たれていても水素は含有されてない」と考えたほうがよい。水素の分子は細かく、たとえ、生産時に水素が入れられていたとしても、ブラスチックボトルから抜け出てしまうのである。アルミパックに入っているもののほうが確かだ。また、製造年月日も無視できない。時間をおけばおくほど、水素は抜けてしまうので、たとえ、アルミパックであっても、経年したものは効果が薄い。
水素水が健康と生活スタイルを変える
水素水には副作用がないと書いたが、見方を変えれば、「ある」のかもしれない。実は、オリンピック選手のような一級のアスリートが飲みすぎると、「筋肉が楽になって力が出なくなっちゃう」(太田先生)というのだ、
実際、何人かのオリンピック選手、プロ野球選手、ボクサー、力士らは水素水を飲んだあと、成績を落としてしまったという実例がある。
トップスポーツ選手は、練習で筋肉をいじめ抜き、自らを追い込んで試合に臨む。しかし、水素水を飲むことによって、目標値を以前より楽に達成してしまい、結果、筋肉への刺激が減り、筋力が落ちてしまうのではないか、という仮説だ。
ただ、逆に素人レベルのスポーツ愛好者であれば、効果的であるかもしれない。例えば、日曜日に草野球をやったあとに水素水を飲めば疲労回復は早くなり、翌朝が楽、なんてこともあり得るのだ。
「いままで僕は副作用はありませんと言ってたけど、トップのスポーツ選手は考えて飲まないといけないし、がんばりがきいちゃうというタイプの人も、仕事をいくらやっても疲れないとなって、過労死したら大変だなと。そういう副作用はあるかもしれないですね」(太田先生)
いずれにせよ、水素水は、今後ますます私たちの生活に溶け込んでくるのだろう。
「水素というのはちゃんとしたクスリで、もっと信用して飲んでくれるようになるといいと思う。あとは、値段をだんだん安くしていくということですね。水だけでなく、いずれはお茶とか珈琲にも入れられるようになると思います」(太田先生)
しかし、やはり、期待されるのは、前述のとおり医療分野においての活用だ。
太田先生は言う。
「今、水素水じゃなくて、水素ガスをクスリにしようと思っているんです。例えば、心筋梗塞になった、心肺停止状態になったという緊急時に水素ガスを吸わせる。水素ガスや水素水の普及は、大きく見れば、医療費の軽減にもつながると僕は期待しているんです」
「水素水の奇跡」は、決して大袈裟な話ではないのである。
DIME 2013年 9月号
2013年7月16日(火)発売
定価:680円(税込)
2013年07月25日
健食の機能性表示制度、導入決定 米国の表示制度を改良
政府は健康食品の機能性表示導入を決めた。企業責任に基づく新表示制度が2014年度にも示される。健食の規制緩和については、厚労省時代から再三にわたる検討を繰り返してきたが、結論はいつも「健康食品はカヤの外」。健康食品を吸い上げることを目指した「条件付き特保」に至っては、数年の運用でたったの1件しか許可されていない。こうした状況を打破したのは、政権交代によって復活した「規制改革会議」だ。4ヵ月という短い期間で、健康食品の抜本的な表示規制緩和に道筋をつけた。これを受けて行政サイドは、米国の制度を参考に、企業責任によって機能性表示を認める新制度の設計に入る。折しも来年は、1994年の米国「DSHEA」施行から20年。周回遅れながら、日本の健食新制度はようやく実現へ歩み出す。「何でも表示できる」と先走るのは禁物だが、“ヨーイドン”に備えたシミュレーションは必要がある。

■規制改革会議が台風の目に
昨年末に発足した安倍新政権は、2013年に入り、景気回復に向けた施策を次々と打ち出した。1 月11日に、日本経済再生に向けた緊急経済対策を閣議決定。農林水産省の「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」が取り上げられるなど、政権交代に伴う期待感は健康食品産業でも膨らみつつあった。そして上半期における“台風の目”となった「規制改革会議」が初会合を開いたのが1月24日。この時はまだ、健康食品の表示については取り上げられていなかった。こうした状況下で、消費者委員会が『健康食品』の表示等の在り方に関する建議を取りまとめたのが1月29日。建議事項は、表示・広告の適正化に向けた取組強化や、機能性表示に関する検討など。表示規制緩和については、「栄養機能食品の拡充の検討」にとどまり、業界内では「そんなもんだろう」と、もとより期待していない声が聞かれた。このあきらめムードが吹き飛んだのが、規制改革会議が2 月15日に開いた第2回会合である。「一般健康食品の機能性表示の容認」という検討項目が示された。
規制改革会議は首相の諮問機関で、安倍首相が「成長戦略の一丁目一番地」と位置付けた規制改革に関する議論を行うために設置。岩盤のような規制を改革するとの強い意志のもと、エネルギー・環境、健康・医療、雇用、創業などの分野に大胆に切り込んだ。要望は、国民や経済界から寄せられたものを整理した。「一般健康食品の機能性表示の容認」を提言したのは、大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏。機能性表示の導入によって、国民の健康改善にとどまらず、産業振興や雇用創出が期待できると主張した。そして健食の機能性表示容認は、優先検討事項とすることが決まった。その後ワーキンググループでの検討にうつり、健康食品産業協議会や日本健康・栄養食品協会、日本通信販売協会などからヒアリングした。「現行制度は妥当」と主張する消費者庁との綱引きの結果、軍配は規制改革会議に。6月5日、ついに答申がまとまり、「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」が盛り込まれた。
この間の折衝で注目すべき点がもうひとつある。この件では厚生労働省からもヒアリングを実施。健康食品を食品衛生法で定義づけることには抵抗したが、特保のように健康増進法などで別途定義することに「異論はない」と理解を示した。さらに、安全性への配慮が必要と前置きした上で、「健康増進法等による仕組みにおいて機能性表示を認めることについて異論はない」と回答した。厚労省の所管法に立ち入ってこなければ、表示の部分は消費者庁に任せるとの立場を示唆した。健康食品を「いわゆる」付きで呼び、その存在をなかなか認めなかった厚労省のこの回答に、業界はどよめいた。背景には、医薬品ネット販売を規制する省令を「無効」とする最高裁判決が影響したとの見方も。
規制改革会議の答申を受けて政府は6月14日、「日本再興戦略」「規制改革実施計画」を閣議決定。「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」について、2014年度に結論・措置することが正式に決まった。新制度設計に当たっては、「企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に行う」ことを付け加えた。ここに至って、健康食品表示の規制緩和は国の方針として決定した。
健康産業新聞1489号(2013.7.3)より一部抜粋
■規制改革に関する答申~経済再生への突破口~
平成25 年6月5日
規制改革会議
③一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備
国民の健康に長生きしたいとの意識の高まりから、健康食品の市場規模は約1兆8千億円にも達すると言われている。しかしながら、我が国においては、いわゆる健康食品を始め、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)以外の食品は、一定以上の機能性成分を含むことが科学的に確認された農林水産物も含め、その容器包装に健康の保持増進の効果等を表示することは認められていない。このため、国民が自ら選択してそうした機能のある食品を購入しようとしても、自分に合った製品を選ぶための情報を得られないのが現状である。
また、特定保健用食品は、許可を受けるための手続の負担(費用、期間等)が大きく中小企業には活用しにくいことなど、課題が多く、栄養機能食品は対象成分が限られていることから、現行制度の改善だけで消費者のニーズに十分対応することは難しい。このような観点から、国民のセルフメディケーションに資する食品の表示制度が必要である。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee/130605/item3.pdf
■消費者基本計画 閣議決定
平成22年3月30日
平成25年6月28日一部改定
6.いわゆる健康食品の表示等(施策番号:76、76-2、77関係)【消費者庁、厚生労働省、農林水産省】
消費者が正しい情報に基づき適切にいわゆる健康食品の利用の要否や適否を判断できる環境整備を行うため、いわゆる健康食品に関する表示・広告の適正化に向けた取組の強化、安全性に関する取組の推進、機能性の表示に関する検討、及び特性等に関する消費者理解の促進等を図ります。
(1)
・食品表示に関する景品表示法と健康増進法の一元的な法執行体制の構築
・いわゆる健康食品の表示に関する景品表示法と健康増進法の観点からの「留意事項(法解釈の指針)」の取りまとめ
(2)
・栄養機能食品制度において新たな栄養成分を追加することや、特定保健用食品制度における審査の基準や手続の明確化について検討
(3)
・いわゆる健康食品の過剰摂取や要配慮者の摂取等、消費者の正しい理解のための情報提供に努めるとともに、いわゆる健康食品に起因する消費者事故への対応を推進
(4)
・いわゆる健康食品による健康被害情報の収集・解析手法の研究・健康被害防止に関し、必要に応じ、所要の措置の実施
・いわゆる健康食品の安全性確保に関する取組の実施
(5)
・いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産物に関し、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できる新たな方策について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討
76.消費者庁による「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理及び消費者委員会による「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」を踏まえ、食品表示に関する景品表示法と健康増進法の一元的な法執行を推進するとともに、いわゆる健康食品に関する「留意事項(法解釈の指針)」を取りまとめ、その周知徹底により表示・広告の適正化を図ります。また、特定保健用食品の審査基準の明確化や栄養機能食品の対象成分の拡充の検討等、所要の措置を講じます。
76-2.いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産物に関し、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できる新たな方策について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討します。
77.いわゆる健康食品に関する消費者の理解の促進を図るため、いわゆる健康食品に関して正しい情報を提供できる体制の整備を図ります。
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130628_kihon.pdf
■規制改革実施計画
平成25年6月14日
閣議決定
③一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備
12.いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認
特定保健用食品、栄養機能食品以外のいわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討し、結論を得る。なお、その具体的な方策については、民間が有しているノウハウを活用する観点から、その食品の機能性について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にし、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できるものとし、かつ、一定のルールの下で加工食品及び農林水産物それぞれについて、安全性の確保(生産、製造及び品質の管理、健康被害情報の収集)も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討を行う。
13.特定保健用食品制度におけるサプリメント等の形状規制の廃止の周知徹底
現行の特定保健用食品制度において、錠剤、カプセル等形状の食品(サプリメントを含む。)を認めることを改めて明確にするとともに、指導等の内容に齟齬がないよう各都道府県、各保健所設置市、各特別区の衛生主管部(局)に対して周知徹底を図る。
14.食品表示に関する指導上、無承認無許可医薬品の指導取締りの対象としない明らかに食品と認識される物の範囲の周知徹底
食品表示に関する指導において、薬事法における「無承認無許可医薬品の指導取締り」の対象としない「明らかに食品と認識される物」の範囲を運用上も明確にするため、厚生労働省は、その範囲について周知徹底する。併せて食品表示に関する規制における虚偽誇大な表示等に該当するものの指導の際に、薬事法における指導取締りとの齟齬がないよう、消費者庁は、各都道府県、各保健所設置市、各特別区の衛生主管部(局)に上記の「明らかに食品と認識される物」の範囲及び虚偽誇大な表示等に該当するものの指導の根拠等について周知徹底する。
15.消費者にわかりやすい表示への見直し
特定保健用食品や栄養機能食品においても、適切な摂取を促すとともに、消費者の選択に資する分かりやすい表示について検討の上、早期に見直しを図る。併せて、表示を行う事業者等が、表示に関するルール(広告等との違いを含む。)を的確に理解でき、適切な表示(及び広告等)がなされるよう、現在、法・制度ごとにあるガイドラインやパンフレット等を、医薬品との判別も含めて、食品表示全般に係るものとして一本化する。
16.特定保健用食品の許可申請手続きの合理化、迅速化
特定保健用食品の許可申請手続きについて、有効性及び安全性の確認を前提として、審査工程の見直しを行うことで審査の合理化、迅速化を図り、申請企業の負担を軽減する。これに当たり、これまで申請されたものの許可に至らなかった件数(申請者が取り下げたケースも含む。)や、手続きの負担(費用、期間等)がその要因と考えられる事例等を把握し、改善点を明確にし、審査内容、手続きの透明化も含め、見直しに至るまでの具体的な工程表を策定・公表する。
17.栄養機能食品の対象拡大
栄養表示基準や食事摂取基準との整合を図るとともに、海外の事例も参考に、栄養機能を表示できる対象成分を拡大する。
出典:規制改革実施計画 平成25年6月14日 閣議決定
参考:「健康食品」の表示等の在り方に関する調査報告
■規制改革会議が台風の目に
昨年末に発足した安倍新政権は、2013年に入り、景気回復に向けた施策を次々と打ち出した。1 月11日に、日本経済再生に向けた緊急経済対策を閣議決定。農林水産省の「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」が取り上げられるなど、政権交代に伴う期待感は健康食品産業でも膨らみつつあった。そして上半期における“台風の目”となった「規制改革会議」が初会合を開いたのが1月24日。この時はまだ、健康食品の表示については取り上げられていなかった。こうした状況下で、消費者委員会が『健康食品』の表示等の在り方に関する建議を取りまとめたのが1月29日。建議事項は、表示・広告の適正化に向けた取組強化や、機能性表示に関する検討など。表示規制緩和については、「栄養機能食品の拡充の検討」にとどまり、業界内では「そんなもんだろう」と、もとより期待していない声が聞かれた。このあきらめムードが吹き飛んだのが、規制改革会議が2 月15日に開いた第2回会合である。「一般健康食品の機能性表示の容認」という検討項目が示された。
規制改革会議は首相の諮問機関で、安倍首相が「成長戦略の一丁目一番地」と位置付けた規制改革に関する議論を行うために設置。岩盤のような規制を改革するとの強い意志のもと、エネルギー・環境、健康・医療、雇用、創業などの分野に大胆に切り込んだ。要望は、国民や経済界から寄せられたものを整理した。「一般健康食品の機能性表示の容認」を提言したのは、大阪大学大学院医学系研究科教授の森下竜一氏。機能性表示の導入によって、国民の健康改善にとどまらず、産業振興や雇用創出が期待できると主張した。そして健食の機能性表示容認は、優先検討事項とすることが決まった。その後ワーキンググループでの検討にうつり、健康食品産業協議会や日本健康・栄養食品協会、日本通信販売協会などからヒアリングした。「現行制度は妥当」と主張する消費者庁との綱引きの結果、軍配は規制改革会議に。6月5日、ついに答申がまとまり、「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」が盛り込まれた。
この間の折衝で注目すべき点がもうひとつある。この件では厚生労働省からもヒアリングを実施。健康食品を食品衛生法で定義づけることには抵抗したが、特保のように健康増進法などで別途定義することに「異論はない」と理解を示した。さらに、安全性への配慮が必要と前置きした上で、「健康増進法等による仕組みにおいて機能性表示を認めることについて異論はない」と回答した。厚労省の所管法に立ち入ってこなければ、表示の部分は消費者庁に任せるとの立場を示唆した。健康食品を「いわゆる」付きで呼び、その存在をなかなか認めなかった厚労省のこの回答に、業界はどよめいた。背景には、医薬品ネット販売を規制する省令を「無効」とする最高裁判決が影響したとの見方も。
規制改革会議の答申を受けて政府は6月14日、「日本再興戦略」「規制改革実施計画」を閣議決定。「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」について、2014年度に結論・措置することが正式に決まった。新制度設計に当たっては、「企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に行う」ことを付け加えた。ここに至って、健康食品表示の規制緩和は国の方針として決定した。
健康産業新聞1489号(2013.7.3)より一部抜粋
■規制改革に関する答申~経済再生への突破口~
平成25 年6月5日
規制改革会議
③一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備
国民の健康に長生きしたいとの意識の高まりから、健康食品の市場規模は約1兆8千億円にも達すると言われている。しかしながら、我が国においては、いわゆる健康食品を始め、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)以外の食品は、一定以上の機能性成分を含むことが科学的に確認された農林水産物も含め、その容器包装に健康の保持増進の効果等を表示することは認められていない。このため、国民が自ら選択してそうした機能のある食品を購入しようとしても、自分に合った製品を選ぶための情報を得られないのが現状である。
また、特定保健用食品は、許可を受けるための手続の負担(費用、期間等)が大きく中小企業には活用しにくいことなど、課題が多く、栄養機能食品は対象成分が限られていることから、現行制度の改善だけで消費者のニーズに十分対応することは難しい。このような観点から、国民のセルフメディケーションに資する食品の表示制度が必要である。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee/130605/item3.pdf
■消費者基本計画 閣議決定
平成22年3月30日
平成25年6月28日一部改定
6.いわゆる健康食品の表示等(施策番号:76、76-2、77関係)【消費者庁、厚生労働省、農林水産省】
消費者が正しい情報に基づき適切にいわゆる健康食品の利用の要否や適否を判断できる環境整備を行うため、いわゆる健康食品に関する表示・広告の適正化に向けた取組の強化、安全性に関する取組の推進、機能性の表示に関する検討、及び特性等に関する消費者理解の促進等を図ります。
(1)
・食品表示に関する景品表示法と健康増進法の一元的な法執行体制の構築
・いわゆる健康食品の表示に関する景品表示法と健康増進法の観点からの「留意事項(法解釈の指針)」の取りまとめ
(2)
・栄養機能食品制度において新たな栄養成分を追加することや、特定保健用食品制度における審査の基準や手続の明確化について検討
(3)
・いわゆる健康食品の過剰摂取や要配慮者の摂取等、消費者の正しい理解のための情報提供に努めるとともに、いわゆる健康食品に起因する消費者事故への対応を推進
(4)
・いわゆる健康食品による健康被害情報の収集・解析手法の研究・健康被害防止に関し、必要に応じ、所要の措置の実施
・いわゆる健康食品の安全性確保に関する取組の実施
(5)
・いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産物に関し、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できる新たな方策について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討
76.消費者庁による「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理及び消費者委員会による「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」を踏まえ、食品表示に関する景品表示法と健康増進法の一元的な法執行を推進するとともに、いわゆる健康食品に関する「留意事項(法解釈の指針)」を取りまとめ、その周知徹底により表示・広告の適正化を図ります。また、特定保健用食品の審査基準の明確化や栄養機能食品の対象成分の拡充の検討等、所要の措置を講じます。
76-2.いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産物に関し、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できる新たな方策について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にしつつ、安全性の確保も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討します。
77.いわゆる健康食品に関する消費者の理解の促進を図るため、いわゆる健康食品に関して正しい情報を提供できる体制の整備を図ります。
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130628_kihon.pdf
■規制改革実施計画
平成25年6月14日
閣議決定
③一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備
12.いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認
特定保健用食品、栄養機能食品以外のいわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討し、結論を得る。なお、その具体的な方策については、民間が有しているノウハウを活用する観点から、その食品の機能性について、国ではなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できる米国のダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にし、企業等の責任において科学的根拠のもとに機能性を表示できるものとし、かつ、一定のルールの下で加工食品及び農林水産物それぞれについて、安全性の確保(生産、製造及び品質の管理、健康被害情報の収集)も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討を行う。
13.特定保健用食品制度におけるサプリメント等の形状規制の廃止の周知徹底
現行の特定保健用食品制度において、錠剤、カプセル等形状の食品(サプリメントを含む。)を認めることを改めて明確にするとともに、指導等の内容に齟齬がないよう各都道府県、各保健所設置市、各特別区の衛生主管部(局)に対して周知徹底を図る。
14.食品表示に関する指導上、無承認無許可医薬品の指導取締りの対象としない明らかに食品と認識される物の範囲の周知徹底
食品表示に関する指導において、薬事法における「無承認無許可医薬品の指導取締り」の対象としない「明らかに食品と認識される物」の範囲を運用上も明確にするため、厚生労働省は、その範囲について周知徹底する。併せて食品表示に関する規制における虚偽誇大な表示等に該当するものの指導の際に、薬事法における指導取締りとの齟齬がないよう、消費者庁は、各都道府県、各保健所設置市、各特別区の衛生主管部(局)に上記の「明らかに食品と認識される物」の範囲及び虚偽誇大な表示等に該当するものの指導の根拠等について周知徹底する。
15.消費者にわかりやすい表示への見直し
特定保健用食品や栄養機能食品においても、適切な摂取を促すとともに、消費者の選択に資する分かりやすい表示について検討の上、早期に見直しを図る。併せて、表示を行う事業者等が、表示に関するルール(広告等との違いを含む。)を的確に理解でき、適切な表示(及び広告等)がなされるよう、現在、法・制度ごとにあるガイドラインやパンフレット等を、医薬品との判別も含めて、食品表示全般に係るものとして一本化する。
16.特定保健用食品の許可申請手続きの合理化、迅速化
特定保健用食品の許可申請手続きについて、有効性及び安全性の確認を前提として、審査工程の見直しを行うことで審査の合理化、迅速化を図り、申請企業の負担を軽減する。これに当たり、これまで申請されたものの許可に至らなかった件数(申請者が取り下げたケースも含む。)や、手続きの負担(費用、期間等)がその要因と考えられる事例等を把握し、改善点を明確にし、審査内容、手続きの透明化も含め、見直しに至るまでの具体的な工程表を策定・公表する。
17.栄養機能食品の対象拡大
栄養表示基準や食事摂取基準との整合を図るとともに、海外の事例も参考に、栄養機能を表示できる対象成分を拡大する。
出典:規制改革実施計画 平成25年6月14日 閣議決定
参考:「健康食品」の表示等の在り方に関する調査報告
2013年07月10日
食の欧米化で大腸がん激増
食の欧米化で大腸がん激増
2013.7.9
■野菜多めの食事が重要
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を招く「食の欧米化」を続けていると、思いがけず大腸がんを発症することが最近の研究で分かってきた。大腸がんになるリスクは、「メタボと関連がある糖尿病患者だと高まる」との最新の研究結果も学会で発表された。専門家は野菜の多いバランスの良い食事の大切さを呼びかけている。(山本雅人)
◆女性で部位別トップ
大腸がんの患者は年々増加しており、がんの部位別死亡率で、女性は平成15年の人口動態統計で胃がんを上回って1位となり、23年の統計でも1位を維持、男性も3位と多い。
この増加の背景について東京都立川市でクリニックを開業する松生(まついけ)恒夫医師は「ハンバーガーや焼き肉、ピザといった肉や乳製品中心の食の欧米化が関係している」とみている。グラフでは、大腸がんの増加に比例するように肉の年間消費量が、昭和40年の1人当たり9・2キロだったのに対し、平成23年は29・6キロと約45年間で3倍以上増えている(農林水産省の食料需給表)。
大腸がんは欧米人に多く、ハワイに移住した日本人の発症率も高くなっているデータがある。これらのことなどから、多くの研究者は日本で大腸がんが増えている背景には食の欧米化が影響していると指摘する。
日本糖尿病学会と日本癌(がん)学会の合同委員会は5月、糖尿病患者が大腸がんになるリスクは、糖尿病でない人に比べて1・4倍になることを明らかにした。血糖値が上がることでDNAが損傷し、がんを促進する可能性を指摘。同月、熊本市で開かれた糖尿病学会年次学術集会では、九州大大学院の清原裕(ゆたか)教授が疫学調査から、軽度の高血糖でもがんリスクが高いデータを示した。
◆和食にオリーブ油
大腸がんの予防には、知らず知らずのうちに欧米化している食生活を野菜中心に改めることが大切だ。しかし、食の欧米化が進み、食物繊維を多く含む野菜の消費量は年々減少している。
大腸がんの腹腔鏡(ふくくうきょう)手術の権威で東邦大医学部(大森病院)の船橋公彦准教授は「食物繊維が不足すると便秘しやすくなる。便などの老廃物が大腸に長く滞留すれば、接する部分のがん化リスクが増えてくる」と指摘する。食物繊維は、排出促進によるがんのリスク軽減があるばかりか、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあり、メタボの予防にもいいとされる。
松生医師は大腸がんが少ない南イタリアやスペイン、ギリシャといった地中海周辺地域に注目し、魚中心の料理は和食と共通するが、オリーブ油をふんだんに使っていることを指摘する。「日本でもサラダで使っている人は多いでしょう。魚料理や納豆などにもオリーブ油を大胆に使ってみる方法がある」と推奨する。
松生医師も食物繊維の摂取を勧めるが、コメやパンなどの炭水化物を取らずに体重を減らす糖質制限ダイエットについては「食物繊維を多く含む穀類の摂取が減るのでやめた方がいい」と警告する。
大腸がんの予防や早期発見には定期的な検査も重要だ。船橋准教授は「男性も女性も50歳を過ぎたら年1回、専門医や人間ドックで大腸内視鏡検査を受けるのがいい。ポリープ(良性)の段階で発見でき、早期なら内視鏡で除去できる」とアドバイスしている。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130709/bdy13070907170001-n1.htm
2013年07月09日
ニーベルングの指環(リマスター版)
Wagner: Der Ring des Nibelungen
Solti / Vienna Philharmonic
17CD、DVD、Blu-ray Audio
リングの豪華装丁版が届いた。
SACD盤を買おうと思ったら、エソテリックから限定1000部でSuper Audio CDハブリッド・ソフト14枚組が出ている。58,000円では手が出ないと思っていたところ、アマゾンでこのセットを見つけた。
Amazon.co.jpで19,707円なのに対して、Amazon.comで279.85ドルと時価レート換算しても高い。迷わず日本で注文した。


LPジャケットサイズで、厚さ9cmほどある。

世界で限定7000部、シリアルナンバー入り


CD14枚に、ライトモチーフの解説2枚


LP時代にもあったライトモチーフの解説に挿入された音楽もリマスター版が使われている。

デリック クックによるライトモチーフの解説CD2枚
これだけでも聞き応えがある。


リブレット(台本)の対訳は英語のみ


ジョン カルショーが製作過程を記した『リング リザウンディング』の日本語版は別に出版されている。








このシーンがメイキング映像DVDにでてくる。

メイキング・ビデオ(1965年BBC制作の伝説のドキュメンタリー映像)
日本語字幕版が単独で発売されている。

ブルーレイ1枚に、CD14枚分が収まっている。ノンストップで全曲が聴けるのは、今までなかったこと。
LPレコードなら電話帳のような分厚いセットが、ワイシャツのポケットに入ってしまうのだからスゴイ。

【視聴して】
リマスター版だけあって、音の見通しが良くなっている。
ジークフリートの冒頭、森の中で加治屋のミーメが一人ぼやいているシーンを、従来版のCDと聴き比べた。森の静けさ、実際にはスタジオ録音なのでそんな事はありえないが、その空気感が伝わる。続いてミーメが刀を叩く音が出てくる。弱音と強音がハッキリして、森の小鳥が登場するシーンの静謐さと、ファーフナーの洞窟前、ラインの黄金冒頭のコントラバスやファゴットの重厚さが明確に聞こえる。
意図的にメリハリをつけたというより、ごく自然に聞こえる。たとえるなら富士山を朝早く見に行ったら、雲と霧があったのが、快晴になって雲も霧も風もなく、山頂からはるか裾野まで見通しが良く、色もくっきり見えるようなものだ。
SACD盤ではないが、明らかに音がいい。人によってはSACD盤とリマスターが違うが、コチラのCDを評価する声もある。スタジオ録音であえて舞台と同じように歌手を移動させて録音している風景が、メイキング映像にある。歌手の位置を床にマス目を引いて指示したジョン カルショーの意図が、録音からよくわかる。
DVDを見て、CDの新旧聞き比べをしたら時間がいくらあっても足りない。家にいる楽しみが手に入ったのは実に喜ばしい。しかし、仕事が手につかないのは困ったことだ。
【The Ring - Sir Georg Solti - Deluxe Limited Edition Box】


30年ほど前のCDは4セット15枚
ドイツ統合の前に買ったので、CD盤面に「Made in W.-Germany」とある。
『ビルギット・ニルソン オペラに捧げた生涯』(春秋社)に、配役についてコメントがある。
《神々のたそがれ》のキャストは豪華版だった。クリスタ・ルートヴィヒのヴァルトラウテ、その印象的な姿と素晴らしい声で役柄に息を吹きこむことのできる希有な芸術家である。ハーゲンはゴットロープ・フリック、夜のように暗い音色を持つたぐいまれなバスで、ヴォルフガング・ヴィントガッセンはまたもや極めつきのジークフリートだった。グンターとグートルーネ兄妹は、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウとクレア・ワトソンという貴重なキャスティング、そして最後の最後としてグスタフ・ナイトリンガーのアルペリヒで、彼は、私か今まで聴いたアルベリヒのなかで最高の出来映えだった。他の役もスター歌手が豪華に配された。ゲオルグ・ショルティとジョン・カルショーは、「私のオペラではどの役も主役です」というワーグナーの言葉をその通りに実現しようとしたに違いない。
Solti / Vienna Philharmonic
17CD、DVD、Blu-ray Audio
リングの豪華装丁版が届いた。
SACD盤を買おうと思ったら、エソテリックから限定1000部でSuper Audio CDハブリッド・ソフト14枚組が出ている。58,000円では手が出ないと思っていたところ、アマゾンでこのセットを見つけた。
Amazon.co.jpで19,707円なのに対して、Amazon.comで279.85ドルと時価レート換算しても高い。迷わず日本で注文した。
LPジャケットサイズで、厚さ9cmほどある。
世界で限定7000部、シリアルナンバー入り
CD14枚に、ライトモチーフの解説2枚
LP時代にもあったライトモチーフの解説に挿入された音楽もリマスター版が使われている。
デリック クックによるライトモチーフの解説CD2枚
これだけでも聞き応えがある。
リブレット(台本)の対訳は英語のみ
ジョン カルショーが製作過程を記した『リング リザウンディング』の日本語版は別に出版されている。
このシーンがメイキング映像DVDにでてくる。
メイキング・ビデオ(1965年BBC制作の伝説のドキュメンタリー映像)
日本語字幕版が単独で発売されている。
ブルーレイ1枚に、CD14枚分が収まっている。ノンストップで全曲が聴けるのは、今までなかったこと。
LPレコードなら電話帳のような分厚いセットが、ワイシャツのポケットに入ってしまうのだからスゴイ。

【視聴して】
リマスター版だけあって、音の見通しが良くなっている。
ジークフリートの冒頭、森の中で加治屋のミーメが一人ぼやいているシーンを、従来版のCDと聴き比べた。森の静けさ、実際にはスタジオ録音なのでそんな事はありえないが、その空気感が伝わる。続いてミーメが刀を叩く音が出てくる。弱音と強音がハッキリして、森の小鳥が登場するシーンの静謐さと、ファーフナーの洞窟前、ラインの黄金冒頭のコントラバスやファゴットの重厚さが明確に聞こえる。
意図的にメリハリをつけたというより、ごく自然に聞こえる。たとえるなら富士山を朝早く見に行ったら、雲と霧があったのが、快晴になって雲も霧も風もなく、山頂からはるか裾野まで見通しが良く、色もくっきり見えるようなものだ。
SACD盤ではないが、明らかに音がいい。人によってはSACD盤とリマスターが違うが、コチラのCDを評価する声もある。スタジオ録音であえて舞台と同じように歌手を移動させて録音している風景が、メイキング映像にある。歌手の位置を床にマス目を引いて指示したジョン カルショーの意図が、録音からよくわかる。
DVDを見て、CDの新旧聞き比べをしたら時間がいくらあっても足りない。家にいる楽しみが手に入ったのは実に喜ばしい。しかし、仕事が手につかないのは困ったことだ。
【The Ring - Sir Georg Solti - Deluxe Limited Edition Box】
30年ほど前のCDは4セット15枚
ドイツ統合の前に買ったので、CD盤面に「Made in W.-Germany」とある。
『ビルギット・ニルソン オペラに捧げた生涯』(春秋社)に、配役についてコメントがある。
《神々のたそがれ》のキャストは豪華版だった。クリスタ・ルートヴィヒのヴァルトラウテ、その印象的な姿と素晴らしい声で役柄に息を吹きこむことのできる希有な芸術家である。ハーゲンはゴットロープ・フリック、夜のように暗い音色を持つたぐいまれなバスで、ヴォルフガング・ヴィントガッセンはまたもや極めつきのジークフリートだった。グンターとグートルーネ兄妹は、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウとクレア・ワトソンという貴重なキャスティング、そして最後の最後としてグスタフ・ナイトリンガーのアルペリヒで、彼は、私か今まで聴いたアルベリヒのなかで最高の出来映えだった。他の役もスター歌手が豪華に配された。ゲオルグ・ショルティとジョン・カルショーは、「私のオペラではどの役も主役です」というワーグナーの言葉をその通りに実現しようとしたに違いない。
2013年02月28日
水素水論争に最終結論! 誌上実験でわかった「本物」と「偽物」
水素水論争に最終結論! 誌上実験でわかった「本物」と「偽物」
夢のアンチエイジング商品
驚異的なアンチエイジング効果で美容業界から医療現場まで大注目の水素水。だが、水素が無色透明・無味無臭であるのをいいことに、本物のフリをして偽物が跋扈。中には、まるで水素が検出されなかった商品も。知られざる真実を浮き彫りにした業界震憾の誌上実験!
「私たちの研究会は、マイナス水素イオン、プラズマ水素、活性水素、水素吸蔵サンゴといった"非科学的な水素"とは、まったく異なるものです。ペットボトルに入った水素水にも、水素は入っていません!」
2月9日、東京都品川区で開催された「第三回分子状水素医学シンポジウム」。会の冒頭、同シンポジウムの太田成男会長(日本医科大学大学院教授・加齢科学系専攻細胞生物学分野)はこう言い放ったのだった。
美肌、メタボからセックスまで"夢のアンチエイジング商品"として注目の水素水。2007年、太田教授らの研究グループの論文が米国の医学雑誌『Nature Medicine』に掲載されたことがきっかけで、その医学的効果が知られるようになった。今回のシンポジウムでも名古屋大学大学院の大野欽司教授が、「9種類の人間の病態において、水素の疾患制御効果が報告された」と講演したように、医療現場においても様々な疾患への活用が研究されている。
「とりわけ糖尿病予備軍とも言われる耐糖能異常では血糖値の改善が見られました。ガンの放射線治療の副作用である痛みの軽減や、関節リウマチによる炎症の軽減についても、特筆すべき効果が報告されています」(シンポジウムに出席した医療関係者)
小誌が昨年報じた通り、静岡県の西島病院では、脳梗塞の患者に水素ガスを使い、病変に著しい改善が見られた。順天堂大学では、パーキンソン病患者に水素水を毎日一リットル、一年間飲んでもらったところ、統計学上有意といえる差が出たという。
「まだラットによる動物実験の段階ですが、認知症や動脈硬化、歯周病、肥満などにも一定の効果があった。一部の男性から『勃起するようになった』という声も出ていますが、これは動脈硬化への効果によるものだと思われます。また、太田先生が自らの額のシミに水素入りクリームを塗り続けたところシミが消えたそうですが、これは水素がメラニンを分解するため。肌のシミやくすみにも効果が期待できるのです」(同前)
だが、手放しで喜べない現実もある。"偽物"の水素商品が横行しているのだ。
太田教授が説明する。「私たちが医学的利用を研究している水素は、水素ガスとして知られる分子状の水素(H2)です。空気中にも僅かですが存在しています。あくまで、この分子状水素が、体内の活性酸素、なかでも一番の悪玉活性酸素である『ヒドロキシルラジカル』に反応し、体内で化学変化を起こすことで水に変化するのです。
ところが、この分子状水素が入っていない水や、発生しないサプリなどが、堂々と"水素商品"として販売されています。だからこそ、我々はそういったメーカーや研究者とは、一線を画す必要があるのです」
小誌が昨秋、はじめて水素水を取り上げて以来、編集部には問合せが殺到した。ほとんどの質問は、「どれを買えばいいのか」というものだったが、
「インチキと言っても差し支えない商品もある」
というのが当時からの太田教授の変わらぬ見解。そこで今回小誌は「水素水」「水素サプリメント」について、その水素濃度を計測するなど独自に検証。「本物」と「偽物」の判定を試みた。
まずは、「水素水」。
測定するサンプルはあくまで小誌が選び、大手通販サイトやメーカーのホームページで購入。どの商品も同時期に発注し、商品が揃ってから、一斉に計測した。水素水は開封して時間が経つと水素が抜けてしまうため、それぞれ開封直後に「溶存水素濃度判定試薬」(MiZ株式会社)を使い、水素濃度を計測した。
その結果が上の一覧表。公平を期するため、太田教授の研究室に同じ商品を持ち込み、ユニセンス社製のニードル型溶存水素測定器で計測してもらった。
だが、結論から言えば、小誌と太田教授の計測値に大きな違いはなく、非常にわかりやすい結果が出た。
ひとつの目安として「飽和水素水」、つまり何の圧力もかかっていない状態で、最も高い濃度の水素水の数値が1.6ppm。通常ではこれが最も高い水素濃度である(ppmとはperts per millionの略。百万分のいくらであるかという割合を示す単位で1ppm=0.0001%)。

9つの水素水の中で、濃度が高かったのは、アルミパウチに封入された「水素たっぷりのおいしい水」、「高濃度ナノ水素水スパシア」、「ナノ水素水キヨラビ」の3つ。これらには太田教授も太鼓判を押す。
「アルミパウチの容器が一番水素が抜けにくい。どれも1.0ppm前後の高い数値を検出した。これだけ入っていれば納得です」
アルミ缶タイプのものは、商品により違いが出た。
「水素水『悠久の恵』」はなかなかの好結果だったが、「還元性水素水」は高いとは言い難い。「カラダの中からキレイに水素水」は0.1ppmと、水素水と呼ぶには微妙なほど低かった。
「アルミ缶だとどうしても缶内に空気が残っているので水素が抜けてしまう。分子状水素医学シンポジウムでは、0.08ppm以下のものは水素水として認めていませんが、これは本当に甘い基準で、最低限ギリギリの数値です」(同前)
ギリギリの結果判定にメーカーはどう応えるのか。
「弊社測定方法での水素含有量は、お問合せの数値より高い濃度で計測されております」(中京医薬品)
そして、まったく水素を検出できなかったのが、ペットボトルタイプ。「ナノバブル水素水」と「天然水素水VanaH」である。
「シンポジウムでもペットボトルはダメだと断言しましたが、その通りの結果でした。出荷時に水素が入っていたとしても、ペットボトルの素材よりも水素分子のほうが小さいため、水素は時間の経過とともに抜け出てしまう。これらは水素水とは言えない」(太田教授)
これらのメーカーは小誌の取材にこう答えた。
「当社の水素はナノバブル水素ですから、ペットボトルでも抜けないはずです」(オムコ東日本)
「長年に亘り『天然水素』に関して某大学に研究を依頼しており、その研究結果が学術誌に発表されております」(VanaH)
もうひとつの「水素水5.0」については説明が必要だろう。この商品は医療現場でも使用されているいわば"プロ仕様"のもの。ユーザー自身が水素水を作るタイプだ。
「水素発生素材を試験管のような専用カプセルに入れ、少量の水をたらして水素ガスを発生させます。そのカプセルに蓋をして、水が入った炭酸飲料用のペットボトルの容器に入れて密封すると、水素ガスが水に溶け込み、水素水になります」(「水素水5.0」を使っている病院スタッフ)
水素ガスの発生は、セットしてから約10分前後で終わる。ペットボトルを30秒ほど振ることで圧力をかけると、さらによく溶け5.0ppm前後の「超飽和水素水」となる。
水素水一滴にも満たないサプリ
次に「水素サプリメント」。サプリメントは液体ではないため、計測が難しい。こちらは太田教授に計測を依頼する形をとった。
「まず水素ガス測定用アルミニウム袋に、サプリメントのカプセルを四ケ入れて密封します。中の空気を一度抜いてから、30mlの防腐剤入りの水を注入して密封。その状態のまま、37℃の状態で48時間保存。さらに60mlの空気を入れて2時間揺すってから、その中から20mlの空気相を採取して、ガスクロマトグラフィーを使い水素濃度を計測しました」(太田教授)
その結果、判明したのは驚きの事実だった。「アクティブハイドライド」、「おはよう水素」、「爽快水素プレミアム」、「POWER SUISO」からはほとんど水素が発生していなかったのである。
表では一見サプリから多くの水素が発生したように見える。だが気体と液体ではppmの意味が異なるため、サプリから発生した水素ガスの量は水素水の11,000分の1。あまりに微量のため、同量の水素ガスを溶かして作った飽和水素水は左列のようなμl(マイクロリットル)という単位となる。
「この結果を分りやすく言うと、これら4つのサプリメントは、1カプセルで市販の水素水の一滴にも満たない分子状水素しか出ていないことになります。インターネットで『おはよう水素』のホームページを見ると、『3~5ppm前後の水素ガスが長時間に渡り発生している』と主張しています。たしかに今回の実験でも、それに近い値が出ましたが、この程度のほんのわずかな水素発生量で、なにか体に効果があるとは到底考えられない」(同前)
これらのサプリには、「マイナス水素イオン」「食べるマイナス水素イオン食品」といった表記があり、「おはよう水素」「爽快水素プレミアム」「POWER SUISO」の三つには「特許第4404657号」と書かれている。が、これらの表記は何を示すのか。
"非科学的水素"の最たるもの
サプリメントの特許に詳しい、ファーイースト国際特許事務所所長の平野泰弘弁理士はこう話す。
「これはあくまで『食べるマイナス水素イオン』という名前の食品、もしくはサプリメント原料の製造方法と製造手順について特許が認められているだけ。マイナス水素イオンが発生するとか、さらに直接体に何らかの効能があるといったことについての特許ではありません。そもそも、特許申請にはマイナス水素イオンの直接的な実在を示す実験方法、測定方法もなんら記載されていないのです」
そもそも、マイナス水素イオンやプラズマ水素とは何なのか。東京大学大学院の三好明准教授が解説する。
「マイナス水素イオンは人工的につくられた真空環境でしか存在しません。我々が生活している地上や水の中では、存在しているという科学的な理由が見当たらない。
プラズマ水素、活性水素は、そもそも学術用語にありません。仮にこれらを水素分子ではなく、水素原子だと考えた場合、少なくとも1,000度以上の高温状態、たとえば、ガスコンロやライターの炎の中では存在する。常温でも、実験室などでアンモニアの気体や硫化水素に紫外光の193nmという波長のレーザー光をあてれば、水素原子を発生させることは出来ます。
別の言い方をすれば、簡単に作り出せるものではないということです」
これぞ"非科学的水素"の最たるものである。
開発者はどう応えるのか。「食べるマイナス水素イオン食品」の開発者であり、製造元である株式会社TAANEの及川胤昭会長に、文書にて取材を申し込んだところ、文書返答はしないとのこと。ただ、電話ではこう語った。
「私は日本・中国マイナス水素イオン学術集会でも研究発表を行なっている。理解できない人が論ずるなと言いたい。特許も、たくさん持っています」
説明は要領を得ないものだった。
一方、サプリで唯一"合格点"を叩き出した「水の素」は飽和水素水1L分に近い量がしっかり出ていることが判明。販売元である日本機能性医学研究所の斎藤糧三氏に話を聞いた。
「パーキンソン病、糖尿病、生活習慣病の患者さんらに、西麻布の東京健康クリニックで処方しております。アンチエイジングの効果も期待しております」
今回、取り上げた商品は数ある中の一部に過ぎないが、水素は目に見えないだけに偽物には要注意だ。
週刊文春 2013年2月28日号
夢のアンチエイジング商品
驚異的なアンチエイジング効果で美容業界から医療現場まで大注目の水素水。だが、水素が無色透明・無味無臭であるのをいいことに、本物のフリをして偽物が跋扈。中には、まるで水素が検出されなかった商品も。知られざる真実を浮き彫りにした業界震憾の誌上実験!
「私たちの研究会は、マイナス水素イオン、プラズマ水素、活性水素、水素吸蔵サンゴといった"非科学的な水素"とは、まったく異なるものです。ペットボトルに入った水素水にも、水素は入っていません!」
2月9日、東京都品川区で開催された「第三回分子状水素医学シンポジウム」。会の冒頭、同シンポジウムの太田成男会長(日本医科大学大学院教授・加齢科学系専攻細胞生物学分野)はこう言い放ったのだった。
美肌、メタボからセックスまで"夢のアンチエイジング商品"として注目の水素水。2007年、太田教授らの研究グループの論文が米国の医学雑誌『Nature Medicine』に掲載されたことがきっかけで、その医学的効果が知られるようになった。今回のシンポジウムでも名古屋大学大学院の大野欽司教授が、「9種類の人間の病態において、水素の疾患制御効果が報告された」と講演したように、医療現場においても様々な疾患への活用が研究されている。
「とりわけ糖尿病予備軍とも言われる耐糖能異常では血糖値の改善が見られました。ガンの放射線治療の副作用である痛みの軽減や、関節リウマチによる炎症の軽減についても、特筆すべき効果が報告されています」(シンポジウムに出席した医療関係者)
小誌が昨年報じた通り、静岡県の西島病院では、脳梗塞の患者に水素ガスを使い、病変に著しい改善が見られた。順天堂大学では、パーキンソン病患者に水素水を毎日一リットル、一年間飲んでもらったところ、統計学上有意といえる差が出たという。
「まだラットによる動物実験の段階ですが、認知症や動脈硬化、歯周病、肥満などにも一定の効果があった。一部の男性から『勃起するようになった』という声も出ていますが、これは動脈硬化への効果によるものだと思われます。また、太田先生が自らの額のシミに水素入りクリームを塗り続けたところシミが消えたそうですが、これは水素がメラニンを分解するため。肌のシミやくすみにも効果が期待できるのです」(同前)
だが、手放しで喜べない現実もある。"偽物"の水素商品が横行しているのだ。
太田教授が説明する。「私たちが医学的利用を研究している水素は、水素ガスとして知られる分子状の水素(H2)です。空気中にも僅かですが存在しています。あくまで、この分子状水素が、体内の活性酸素、なかでも一番の悪玉活性酸素である『ヒドロキシルラジカル』に反応し、体内で化学変化を起こすことで水に変化するのです。
ところが、この分子状水素が入っていない水や、発生しないサプリなどが、堂々と"水素商品"として販売されています。だからこそ、我々はそういったメーカーや研究者とは、一線を画す必要があるのです」
小誌が昨秋、はじめて水素水を取り上げて以来、編集部には問合せが殺到した。ほとんどの質問は、「どれを買えばいいのか」というものだったが、
「インチキと言っても差し支えない商品もある」
というのが当時からの太田教授の変わらぬ見解。そこで今回小誌は「水素水」「水素サプリメント」について、その水素濃度を計測するなど独自に検証。「本物」と「偽物」の判定を試みた。
まずは、「水素水」。
測定するサンプルはあくまで小誌が選び、大手通販サイトやメーカーのホームページで購入。どの商品も同時期に発注し、商品が揃ってから、一斉に計測した。水素水は開封して時間が経つと水素が抜けてしまうため、それぞれ開封直後に「溶存水素濃度判定試薬」(MiZ株式会社)を使い、水素濃度を計測した。
その結果が上の一覧表。公平を期するため、太田教授の研究室に同じ商品を持ち込み、ユニセンス社製のニードル型溶存水素測定器で計測してもらった。
だが、結論から言えば、小誌と太田教授の計測値に大きな違いはなく、非常にわかりやすい結果が出た。
ひとつの目安として「飽和水素水」、つまり何の圧力もかかっていない状態で、最も高い濃度の水素水の数値が1.6ppm。通常ではこれが最も高い水素濃度である(ppmとはperts per millionの略。百万分のいくらであるかという割合を示す単位で1ppm=0.0001%)。

9つの水素水の中で、濃度が高かったのは、アルミパウチに封入された「水素たっぷりのおいしい水」、「高濃度ナノ水素水スパシア」、「ナノ水素水キヨラビ」の3つ。これらには太田教授も太鼓判を押す。
「アルミパウチの容器が一番水素が抜けにくい。どれも1.0ppm前後の高い数値を検出した。これだけ入っていれば納得です」
アルミ缶タイプのものは、商品により違いが出た。
「水素水『悠久の恵』」はなかなかの好結果だったが、「還元性水素水」は高いとは言い難い。「カラダの中からキレイに水素水」は0.1ppmと、水素水と呼ぶには微妙なほど低かった。
「アルミ缶だとどうしても缶内に空気が残っているので水素が抜けてしまう。分子状水素医学シンポジウムでは、0.08ppm以下のものは水素水として認めていませんが、これは本当に甘い基準で、最低限ギリギリの数値です」(同前)
ギリギリの結果判定にメーカーはどう応えるのか。
「弊社測定方法での水素含有量は、お問合せの数値より高い濃度で計測されております」(中京医薬品)
そして、まったく水素を検出できなかったのが、ペットボトルタイプ。「ナノバブル水素水」と「天然水素水VanaH」である。
「シンポジウムでもペットボトルはダメだと断言しましたが、その通りの結果でした。出荷時に水素が入っていたとしても、ペットボトルの素材よりも水素分子のほうが小さいため、水素は時間の経過とともに抜け出てしまう。これらは水素水とは言えない」(太田教授)
これらのメーカーは小誌の取材にこう答えた。
「当社の水素はナノバブル水素ですから、ペットボトルでも抜けないはずです」(オムコ東日本)
「長年に亘り『天然水素』に関して某大学に研究を依頼しており、その研究結果が学術誌に発表されております」(VanaH)
もうひとつの「水素水5.0」については説明が必要だろう。この商品は医療現場でも使用されているいわば"プロ仕様"のもの。ユーザー自身が水素水を作るタイプだ。
「水素発生素材を試験管のような専用カプセルに入れ、少量の水をたらして水素ガスを発生させます。そのカプセルに蓋をして、水が入った炭酸飲料用のペットボトルの容器に入れて密封すると、水素ガスが水に溶け込み、水素水になります」(「水素水5.0」を使っている病院スタッフ)
水素ガスの発生は、セットしてから約10分前後で終わる。ペットボトルを30秒ほど振ることで圧力をかけると、さらによく溶け5.0ppm前後の「超飽和水素水」となる。
水素水一滴にも満たないサプリ
次に「水素サプリメント」。サプリメントは液体ではないため、計測が難しい。こちらは太田教授に計測を依頼する形をとった。
「まず水素ガス測定用アルミニウム袋に、サプリメントのカプセルを四ケ入れて密封します。中の空気を一度抜いてから、30mlの防腐剤入りの水を注入して密封。その状態のまま、37℃の状態で48時間保存。さらに60mlの空気を入れて2時間揺すってから、その中から20mlの空気相を採取して、ガスクロマトグラフィーを使い水素濃度を計測しました」(太田教授)
その結果、判明したのは驚きの事実だった。「アクティブハイドライド」、「おはよう水素」、「爽快水素プレミアム」、「POWER SUISO」からはほとんど水素が発生していなかったのである。
表では一見サプリから多くの水素が発生したように見える。だが気体と液体ではppmの意味が異なるため、サプリから発生した水素ガスの量は水素水の11,000分の1。あまりに微量のため、同量の水素ガスを溶かして作った飽和水素水は左列のようなμl(マイクロリットル)という単位となる。
「この結果を分りやすく言うと、これら4つのサプリメントは、1カプセルで市販の水素水の一滴にも満たない分子状水素しか出ていないことになります。インターネットで『おはよう水素』のホームページを見ると、『3~5ppm前後の水素ガスが長時間に渡り発生している』と主張しています。たしかに今回の実験でも、それに近い値が出ましたが、この程度のほんのわずかな水素発生量で、なにか体に効果があるとは到底考えられない」(同前)
これらのサプリには、「マイナス水素イオン」「食べるマイナス水素イオン食品」といった表記があり、「おはよう水素」「爽快水素プレミアム」「POWER SUISO」の三つには「特許第4404657号」と書かれている。が、これらの表記は何を示すのか。
"非科学的水素"の最たるもの
サプリメントの特許に詳しい、ファーイースト国際特許事務所所長の平野泰弘弁理士はこう話す。
「これはあくまで『食べるマイナス水素イオン』という名前の食品、もしくはサプリメント原料の製造方法と製造手順について特許が認められているだけ。マイナス水素イオンが発生するとか、さらに直接体に何らかの効能があるといったことについての特許ではありません。そもそも、特許申請にはマイナス水素イオンの直接的な実在を示す実験方法、測定方法もなんら記載されていないのです」
そもそも、マイナス水素イオンやプラズマ水素とは何なのか。東京大学大学院の三好明准教授が解説する。
「マイナス水素イオンは人工的につくられた真空環境でしか存在しません。我々が生活している地上や水の中では、存在しているという科学的な理由が見当たらない。
プラズマ水素、活性水素は、そもそも学術用語にありません。仮にこれらを水素分子ではなく、水素原子だと考えた場合、少なくとも1,000度以上の高温状態、たとえば、ガスコンロやライターの炎の中では存在する。常温でも、実験室などでアンモニアの気体や硫化水素に紫外光の193nmという波長のレーザー光をあてれば、水素原子を発生させることは出来ます。
別の言い方をすれば、簡単に作り出せるものではないということです」
これぞ"非科学的水素"の最たるものである。
開発者はどう応えるのか。「食べるマイナス水素イオン食品」の開発者であり、製造元である株式会社TAANEの及川胤昭会長に、文書にて取材を申し込んだところ、文書返答はしないとのこと。ただ、電話ではこう語った。
「私は日本・中国マイナス水素イオン学術集会でも研究発表を行なっている。理解できない人が論ずるなと言いたい。特許も、たくさん持っています」
説明は要領を得ないものだった。
一方、サプリで唯一"合格点"を叩き出した「水の素」は飽和水素水1L分に近い量がしっかり出ていることが判明。販売元である日本機能性医学研究所の斎藤糧三氏に話を聞いた。
「パーキンソン病、糖尿病、生活習慣病の患者さんらに、西麻布の東京健康クリニックで処方しております。アンチエイジングの効果も期待しております」
今回、取り上げた商品は数ある中の一部に過ぎないが、水素は目に見えないだけに偽物には要注意だ。
週刊文春 2013年2月28日号
2012年10月11日
大流行「水素水」でセックスレス解消!(週刊文春)
大流行「水素水」でセックスレス解消!(週刊文春)
ジャーナリスト藤吉雅春
半身不随状態のマウスに飲ませたら元気になった-奇跡的な研究結果が世界的に注目され、いまや美肌や若返り効果で一大ブームの水素水。これが性のアンチエイジングにも効くと密かに語られている。抗老化に革新をもたらすかも知れない元素の謎に迫る最終回!
まさに”想定外”といえる事態が起きている。
水素ブームをご存知だろうか。9月に『はなまるマーケット』(TBS系)が美肌や若返り効果があるとして「水素水」を取り上げるや、大反響が起こった。
大手飲料メーカー「伊藤園」はこう言う。
「通販で水素水の発注が毎月平均3000ケースあるのですが、放送から2日間で3000ケースの注文がきて、通販用ホームページがパンクしました」
九州のメーカー「KIYORAきくち」も、「生産が追いつきません。最近、工場を新設して生産量を五倍に上げたばかりなんです」と嬉しい悲鳴を上げる。
女性誌でも何度も特集が組まれる「水素商品」だが、次のような話はまったく報じられていない。
「水素の入浴剤をお風呂に入れ始めたら、奥さんが風呂上がりに胸をはだけるようになり、長年、セックスレスだったのに、急にムラムラして始まった」とか、70代の元官僚が「俺はEDにならない」と豪語し、「俺が現役でいられる秘訣は、水素水」と言い出したり。研究者たちの間では、「60代、70代の人が勃つようになったという話をしていて、みんな”水素”が手放せないと言っている」と話題で、”裏のテーマ”と言われている。
後述するが、水素製品を服用してセックス観そのものが変わった中高年もいる。美肌などアンチエイジングを謳う商品が、裏では「性の復活」を密かに語られているのだ。
もともと水素の医学的効果を世界に知らしめたのは、細胞生物学の権威、日本医科大学大学院の太田成男教授である。2007年、太田教授ら研究グループの論文が、世界的な医学誌『Nature Medicine』に掲載された。以来、国内では40の大学や研究所が研究を始め、現在では250報もの論文が発表されている。
水素が導き出す様々な研究結果は、”奇跡”としか言いようがない。先駆者である太田教授本人が、「何かの間違いか」と思うことは何度もあったという。
「半身不随状態のマウスに水素水を飲ませると、マウスが元気になった。嘘だと思い、研究生に実験をやり直すよう指示しました。すると、また同じデータが出る。また失敗したのかと思って調べると、間違っていないんです。
遺伝的に動脈硬化になりやすいマウスに、半年間水素水を与えると、水素水を飲ませないマウスと明らかに差が出た。これも、最初は間違いかと思いました」
認知症、メタボ、痛風にも
ピッツバーグ大学でも、同様の出来事があった。マウスの臓器移植を行う時、免疫抑制剤を使わなければ、8割以上が免疫抗体で拒絶反応が出て死ぬ。ところが、水素水を飲ませると七割が生き残った。研究していた教授は、部下がデータを捏造したと疑い、ダブルブラインド・テスト(二重盲検試験)を行うと、やはり同じ結果が出たのだ。
太田教授が言う。
「認知症の実験で、マウスを狭い所に押し込めてストレスを与えると、マウスは頭が惚けます。しかし、水素水を与えると、そうはならない。また、脂肪代謝にも効果があり、メタボにならない。水素摂取の方法は、水素ガスの吸入、水素水、点滴など、いろんな方法を試しています」
生活習慣病への効果は画期的である。食欲を自分で調節できずに食べ続けるマウスに、水素を吸入させると、食欲を調節して体脂肪が下がり、血糖値、インスリン、中性脂肪を改善。
他にも、打ち身によるアザやシミが消えた例がある。太田教授の顔写真を見ると、54歳の時にあったシミがなくなり、60歳の写真の方が皺もなく、若く見える。
「痛風の学生の尿酸値を毎日測定していて、酒を飲んだ後はグッと数値が上がるのに、2リットルの水素水を飲ませると尿酸値が下がりますね」(太田教授)
筑波大学大学院の人間総合科学研究科スポーツ医学専攻・宮川俊平教授は、疲労と水素の関係を実験した。3ヵ月間、蹴球部の10人の学生に、練習前日の夜に500ml、朝起きた直後に500ml、朝の練習の直前に500mlの計1.5リットルの水素水を摂取させ、運動後に検査をする実験である。宮川教授が言う。
「練習ではバイクマシンによる自転車こぎの後に、座った姿勢で足首に負荷をかけて膝を伸ばし、大腿四頭筋(膝を仲ばす筋肉)を鍛える運動を百回やってもらいました。
その結果、水素水を飲んだ学生の方が、ただの水を飲んでいた学生よりも乳酸の上昇が抑えられていたのです。学生は何を飲んでいるかわからないダブルブラインド方式です。
また、筋電図を周波数解析したところ、大腿四頭筋の筋疲労が抑えられた結果も出ました」
便乗インチキ商品に注意
水素を摂取した人に多い「疲れが取れた」という感想が、実証されたのだ。
では、なぜ水素によって、こうした様々な現象が起きるのか。太田教授がメカニズムを解説する。
「水素が体にいい理由の一つは、活性酸素の害がなくなるからです。活性酸素は身体の細胞内にあり、細胞にダメージを与えている。これがなくなり、細胞の代謝がよくなるのです」
普通、呼吸した酸素の約1~2%から、副次的に活性酸素が生み出される。この作用により、人間は1日10万ヵ所のDNAが自然に壊れる。が、ほぼ同数が再生される。活性酸素の中で、「ヒドロキシルラジカル」という成分が、「悪玉」といわれ、人間を酸化、つまり老化させる。水素はこの悪玉だけを選んで、化学反応で消滅させるのだ。
「今、研究者たちの間で言われているのは、期待以上の効果がありすぎることです。なぜこんなに効果があるのか不思議で、まだまだ解明すべきことはたくさんあります」(同前)
ただ、「水素水」に人気が殺到しているものの、水に取り入れられる水素量は限度がある。1日に飲める水の量も、2リットルがせいぜいだ。厄介な問題が、奇跡の効果に便乗したインチキ商品やマルチ商法まがいが実に多いことだ。
「僕の名前や顔写真を勝手に使って販売しているケースがあり、内容証明を出しました」(同前)
以前、国会で話題となった「なんとか還元水」を始め、水素が入っていない水素水もある。水素はペットボトルの容器を透過するので、ペットボトル商品はインチキだと思った方がいい。薬事法により効果効能は謳えないのに、「がんが消えた」と銘打つ商品も怪しい。現在、消費者庁が水素の認定を視野に検討を開始しているという。
水素水とは別に、鼻からの吸入や点滴などによって、より濃度の高い水素を体に取り込む方が効果的だろう。都内にある「水素館」には吸入器材やカプセルが揃えてある。水素館で鼻にチューブを入れて吸入をすることができる。また、同様の処方を行うクリニックもある。
では、水素は人間の性機能にどんな影響を与えているのだろうか。
「体験した人にしかわからないから、僕の話は信じられないかもしれません」と切り出したのは、北海道で工業関係の会社の役員を務めるS氏(64)だ。
ホテルのラウンジに現れたS氏は、メガネをかけた温厚そうな男性で、見た目は50代に見える。どこにでもいそうな物腰柔らかな男性だが、彼は25年間、セックスどころか勃起と無縁の人生を送ってきた。
S氏の病名が判明したのは、32歳の時だった。
「当時、アドベンチャースキーでよく高い所からジャンプをしていたのですが、背骨をケガして、3ヵ月入院することになりました。退院後、腰の痺れは治ったのに、足の痺れが治らない。僕の後輩の循環器系の医師が『先輩、ドップラー検査をやってみましょう』と足首の脈を計る検査を勧めてくれました。すると、『先輩、大変なことです!』と言いだしたのです」
S氏は国から難病に指定されている「バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)」と判明した。日本に約8000人の患者がいるこの病気は、喫煙者やストレスの多い者が罹りやすく、末梢の動脈が細くなっていき、血管が詰まり、動脈の壊死を引き起こすものだ。
「膝から下を切り落とすこともあれば、人工血管のバイパス手術もある。僕の場合は、血液をサラサラにする薬を服用し続ける生活になりました。動脈の病気ですから、朝勃ちどころか、勃起なんて、どちら様のお話ですかって感じでした」
32歳で人生から性機能が奪われると、夫婦生活はもちろん、男同士の会話についていけなくなった。
目覚めたら25年ぶりの朝勃ち
「飲み会で仲間がエッチな話とか女性の話題をすると、話の輪に入れません。それでも仲間が盛り上がっていると、僕は『なんだ、お前ら。俺に対する嫌味かよ』と、話題を変えさせることもありました」
難病を抱えながら25年がたった2005年、S氏は水素サプリを知った。
「自分なりに調べると、アメリカのパトリック・フラナガン博士は水素で活性酸素を除去できると言っていました。それで自分でも飲み始めたら、『えー、嘘だろ!』ということが起きたのです」
目が覚めたら、25年ぶりに朝勃ちしていたのだ。以来、今でも週に2、3回は朝勃ちするという。
「ストレスを抱えている人ほど、体感するのが早い印象があります。誤解を与えぬよう言いますけど、持続性はありません。ただ、夫婦生活が蘇るだけでなく、精神的にも夫婦関係がよくなる。もちろん健康的にもです」
同じく糖尿病などで弱まっていた高齢者に、水素で性が蘇るケースが多い。
獨協医科大学の名誉教授で、赤坂AAクリニックの森吉臣院長はこう話す。
「水素の作用によって、血管の内皮細胞から一酸化窒素が出やすくなって勃起しやすくなるんです。バイアグラほど強くありませんが、動脈を拡張するので血流がよくなり老化にブレーキをかけることにもなる。
それに、セックスは脳がコントロールしているので、脳が若くないといけない。水素はその脳内の血流をよくしたり、脳内ホルモンを増やすので機能がアップする。何よりも水素は血管がなくても脳のすみずみまで行き渡る。これが大きいんです」
神奈川県で保育園を経営する黒澤浩一氏(59)は、この連載で取り上げてきた。性とアンチエイジング”の様々な要素を、水素によって獲得した人物といえるだろう。
黒澤氏が胃がんによって胃の全てと、十二指腸の3分の2を摘出したのは、52歳の時だった。
「先生、私は何年生きられるんですか?」
医師にそう問うと、「キミ次第だ」と言われた。そして、あと5年生存できる確率が50%だと告げられた。「肉体的ダメージだけでなく、精神的なショックが大きかった」という黒澤氏にとってさらに苦痛だったのは、術後から始まった抗がん剤治療である。
洗面台の歯ブラシの横に、抗がん剤を置き、朝昼晩に10錠ずつ服用しなければならない。鏡に映った顔は、目の下が黒く、皮膚には張りがなく、黒ずんでいる。放射線治療を受けた後は、食事をしていなくても吐き気をもよおし、頭痛と目眩に悩まされた。
もともとイタリアンレストランを経営し、自ら厨房に立っていた黒澤氏にとってショックだったのは、体力、気力と同時に、味覚をなくしたことだ。
「抗がん剤で抑えられてしまったのか、食材をロにした時の触感しかわからない。匂いも味覚もない。これは致命的で、納得のいく仕事ができなくなりました。自分が自分ではない状態を死ぬまで続けることに耐えきれず、医師に抗がん剤治療をやめると言いました。猛反対されましたが、押し切ったのが、手術から3年目のことです」
インターネットで様々なサプリを取り寄せては飲む生活を続けていた時、彼は水素サプリを知る。知人の薦めで、通常は1日2カプセルを10カプセル摂取した。その3ヵ月後のことだ。
朝、布団の隣で妻が、「どうしたの?」と目を覚ました。黒澤氏は驚いた顔をしたまま、「見てくれ」とその場でパンツを降ろした。まるで青年時代のような朝勃ちをしていたのだ。
「がんになって以来、3年近く夫婦の営みはありませんでした。そもそも性欲自体がないし、朝勃ちなど当然ありません。朝はいつも気だるく、目が覚めても布団の中から這い出せない。ところが、その日の朝は目覚めがいいんです」
試しに彼はそのまま妻と久しぶりに体を重ねた。二人ともただただ驚くばかりで、生き返ったように心が躍ったという。
「生きている実感を感じる」
異変は続いた。歩くスピードが自然と速まっている。懐かしい躍動感が体に蘇った気がした。また、がんを患って以来、夜中に最低一度はトイレに立っていたのに、それがなくなった。連載一回目で紹介したように、就寝中に3回以上トイレに行く人は動脈硬化の前兆である。膀胱の筋肉に血液が行き渡らないため、尿を溜められず頻尿になり、EDにもなる。また、「今まで起床は遅めだったのに、朝5時半に目が覚めるようになり、まずトイレに行きます。バナナのような一本が出て、腰がすっきりする爽快感があるんです。便秘気味だったのが快便になりました」
これも東洋医学の古典『黄帝内経』の体内時計の回で紹介した、「臓器の当番時間」の「大腸系」の時間に当たる。午前5時は排泄タイムだ。西洋医学でいうホルモン分泌を促す「脳の時計遺伝子」の通りに体が動くということは、健康の証だろう。
また、排泄の爽快感は、「整体」の回で紹介した。爽快感がない排泄は、陰部神経と括約筋の衰えであり、EDやオーガズム障害の兆しだ。
様々な性のアンチェイジング要素が体に現れた黒澤氏の性生活は、根底から変わった。朝勃ちだけでなく、それからというもの週2回の夫婦の営みが続く。平均1時間ほどだ。しかし、回数が重要なのではない。黒澤氏が言う。
「オスが求めるような20代の性交ではなく、すごく自然な形でお互いを愛し合えるようになりました。二人でおいしいものを食べに行って感動したり、旅行先の風景を見て感動したりするような、お互いが一緒に心を躍らせるように、自然な形で性に結びついていく。生きている実感を感じる、二人にとって重要なものとなったんです」
今年のゴールデンウィーク、二人はハワイで10日間過ごした。毎日、二人は愛し合ったという。旅先での楽しさがそうさせたのか、1日に2度も愛し合える姿に、お互い呆れながら、がんを境にどんどん健康になっていることに気づいた。
黒澤氏はこう話す。
「100歳まで生きようなんて思いません。今、やりたいことがあるので、燃焼できればいい。やりたいことがあれば、引退はありません。社会の一員として役に立ちたいことがあるから、日々、生きるんです」
まだ未知数の水素だが、マウス実験で平均寿命が延びることがわかっている。
人間の最大寿命は、遺伝子プログラム説では120歳。水素で細胞が元気になっていけば、生きる意欲に体が伴っていくかもしれない。限界年齢に多くの人が近づける時代が来た時、高齢者の性に何をもたらすだろうか。心の充実の象徴にもなれば、諍いのもとにもなる。水素は人間社会に想定外の変化をもたらすかもしれない。
週刊文春2012年10月11日号
ジャーナリスト藤吉雅春
半身不随状態のマウスに飲ませたら元気になった-奇跡的な研究結果が世界的に注目され、いまや美肌や若返り効果で一大ブームの水素水。これが性のアンチエイジングにも効くと密かに語られている。抗老化に革新をもたらすかも知れない元素の謎に迫る最終回!
まさに”想定外”といえる事態が起きている。
水素ブームをご存知だろうか。9月に『はなまるマーケット』(TBS系)が美肌や若返り効果があるとして「水素水」を取り上げるや、大反響が起こった。
大手飲料メーカー「伊藤園」はこう言う。
「通販で水素水の発注が毎月平均3000ケースあるのですが、放送から2日間で3000ケースの注文がきて、通販用ホームページがパンクしました」
九州のメーカー「KIYORAきくち」も、「生産が追いつきません。最近、工場を新設して生産量を五倍に上げたばかりなんです」と嬉しい悲鳴を上げる。
女性誌でも何度も特集が組まれる「水素商品」だが、次のような話はまったく報じられていない。
「水素の入浴剤をお風呂に入れ始めたら、奥さんが風呂上がりに胸をはだけるようになり、長年、セックスレスだったのに、急にムラムラして始まった」とか、70代の元官僚が「俺はEDにならない」と豪語し、「俺が現役でいられる秘訣は、水素水」と言い出したり。研究者たちの間では、「60代、70代の人が勃つようになったという話をしていて、みんな”水素”が手放せないと言っている」と話題で、”裏のテーマ”と言われている。
後述するが、水素製品を服用してセックス観そのものが変わった中高年もいる。美肌などアンチエイジングを謳う商品が、裏では「性の復活」を密かに語られているのだ。
もともと水素の医学的効果を世界に知らしめたのは、細胞生物学の権威、日本医科大学大学院の太田成男教授である。2007年、太田教授ら研究グループの論文が、世界的な医学誌『Nature Medicine』に掲載された。以来、国内では40の大学や研究所が研究を始め、現在では250報もの論文が発表されている。
水素が導き出す様々な研究結果は、”奇跡”としか言いようがない。先駆者である太田教授本人が、「何かの間違いか」と思うことは何度もあったという。
「半身不随状態のマウスに水素水を飲ませると、マウスが元気になった。嘘だと思い、研究生に実験をやり直すよう指示しました。すると、また同じデータが出る。また失敗したのかと思って調べると、間違っていないんです。
遺伝的に動脈硬化になりやすいマウスに、半年間水素水を与えると、水素水を飲ませないマウスと明らかに差が出た。これも、最初は間違いかと思いました」
認知症、メタボ、痛風にも
ピッツバーグ大学でも、同様の出来事があった。マウスの臓器移植を行う時、免疫抑制剤を使わなければ、8割以上が免疫抗体で拒絶反応が出て死ぬ。ところが、水素水を飲ませると七割が生き残った。研究していた教授は、部下がデータを捏造したと疑い、ダブルブラインド・テスト(二重盲検試験)を行うと、やはり同じ結果が出たのだ。
太田教授が言う。
「認知症の実験で、マウスを狭い所に押し込めてストレスを与えると、マウスは頭が惚けます。しかし、水素水を与えると、そうはならない。また、脂肪代謝にも効果があり、メタボにならない。水素摂取の方法は、水素ガスの吸入、水素水、点滴など、いろんな方法を試しています」
生活習慣病への効果は画期的である。食欲を自分で調節できずに食べ続けるマウスに、水素を吸入させると、食欲を調節して体脂肪が下がり、血糖値、インスリン、中性脂肪を改善。
他にも、打ち身によるアザやシミが消えた例がある。太田教授の顔写真を見ると、54歳の時にあったシミがなくなり、60歳の写真の方が皺もなく、若く見える。
「痛風の学生の尿酸値を毎日測定していて、酒を飲んだ後はグッと数値が上がるのに、2リットルの水素水を飲ませると尿酸値が下がりますね」(太田教授)
筑波大学大学院の人間総合科学研究科スポーツ医学専攻・宮川俊平教授は、疲労と水素の関係を実験した。3ヵ月間、蹴球部の10人の学生に、練習前日の夜に500ml、朝起きた直後に500ml、朝の練習の直前に500mlの計1.5リットルの水素水を摂取させ、運動後に検査をする実験である。宮川教授が言う。
「練習ではバイクマシンによる自転車こぎの後に、座った姿勢で足首に負荷をかけて膝を伸ばし、大腿四頭筋(膝を仲ばす筋肉)を鍛える運動を百回やってもらいました。
その結果、水素水を飲んだ学生の方が、ただの水を飲んでいた学生よりも乳酸の上昇が抑えられていたのです。学生は何を飲んでいるかわからないダブルブラインド方式です。
また、筋電図を周波数解析したところ、大腿四頭筋の筋疲労が抑えられた結果も出ました」
便乗インチキ商品に注意
水素を摂取した人に多い「疲れが取れた」という感想が、実証されたのだ。
では、なぜ水素によって、こうした様々な現象が起きるのか。太田教授がメカニズムを解説する。
「水素が体にいい理由の一つは、活性酸素の害がなくなるからです。活性酸素は身体の細胞内にあり、細胞にダメージを与えている。これがなくなり、細胞の代謝がよくなるのです」
普通、呼吸した酸素の約1~2%から、副次的に活性酸素が生み出される。この作用により、人間は1日10万ヵ所のDNAが自然に壊れる。が、ほぼ同数が再生される。活性酸素の中で、「ヒドロキシルラジカル」という成分が、「悪玉」といわれ、人間を酸化、つまり老化させる。水素はこの悪玉だけを選んで、化学反応で消滅させるのだ。
「今、研究者たちの間で言われているのは、期待以上の効果がありすぎることです。なぜこんなに効果があるのか不思議で、まだまだ解明すべきことはたくさんあります」(同前)
ただ、「水素水」に人気が殺到しているものの、水に取り入れられる水素量は限度がある。1日に飲める水の量も、2リットルがせいぜいだ。厄介な問題が、奇跡の効果に便乗したインチキ商品やマルチ商法まがいが実に多いことだ。
「僕の名前や顔写真を勝手に使って販売しているケースがあり、内容証明を出しました」(同前)
以前、国会で話題となった「なんとか還元水」を始め、水素が入っていない水素水もある。水素はペットボトルの容器を透過するので、ペットボトル商品はインチキだと思った方がいい。薬事法により効果効能は謳えないのに、「がんが消えた」と銘打つ商品も怪しい。現在、消費者庁が水素の認定を視野に検討を開始しているという。
水素水とは別に、鼻からの吸入や点滴などによって、より濃度の高い水素を体に取り込む方が効果的だろう。都内にある「水素館」には吸入器材やカプセルが揃えてある。水素館で鼻にチューブを入れて吸入をすることができる。また、同様の処方を行うクリニックもある。
では、水素は人間の性機能にどんな影響を与えているのだろうか。
「体験した人にしかわからないから、僕の話は信じられないかもしれません」と切り出したのは、北海道で工業関係の会社の役員を務めるS氏(64)だ。
ホテルのラウンジに現れたS氏は、メガネをかけた温厚そうな男性で、見た目は50代に見える。どこにでもいそうな物腰柔らかな男性だが、彼は25年間、セックスどころか勃起と無縁の人生を送ってきた。
S氏の病名が判明したのは、32歳の時だった。
「当時、アドベンチャースキーでよく高い所からジャンプをしていたのですが、背骨をケガして、3ヵ月入院することになりました。退院後、腰の痺れは治ったのに、足の痺れが治らない。僕の後輩の循環器系の医師が『先輩、ドップラー検査をやってみましょう』と足首の脈を計る検査を勧めてくれました。すると、『先輩、大変なことです!』と言いだしたのです」
S氏は国から難病に指定されている「バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)」と判明した。日本に約8000人の患者がいるこの病気は、喫煙者やストレスの多い者が罹りやすく、末梢の動脈が細くなっていき、血管が詰まり、動脈の壊死を引き起こすものだ。
「膝から下を切り落とすこともあれば、人工血管のバイパス手術もある。僕の場合は、血液をサラサラにする薬を服用し続ける生活になりました。動脈の病気ですから、朝勃ちどころか、勃起なんて、どちら様のお話ですかって感じでした」
32歳で人生から性機能が奪われると、夫婦生活はもちろん、男同士の会話についていけなくなった。
目覚めたら25年ぶりの朝勃ち
「飲み会で仲間がエッチな話とか女性の話題をすると、話の輪に入れません。それでも仲間が盛り上がっていると、僕は『なんだ、お前ら。俺に対する嫌味かよ』と、話題を変えさせることもありました」
難病を抱えながら25年がたった2005年、S氏は水素サプリを知った。
「自分なりに調べると、アメリカのパトリック・フラナガン博士は水素で活性酸素を除去できると言っていました。それで自分でも飲み始めたら、『えー、嘘だろ!』ということが起きたのです」
目が覚めたら、25年ぶりに朝勃ちしていたのだ。以来、今でも週に2、3回は朝勃ちするという。
「ストレスを抱えている人ほど、体感するのが早い印象があります。誤解を与えぬよう言いますけど、持続性はありません。ただ、夫婦生活が蘇るだけでなく、精神的にも夫婦関係がよくなる。もちろん健康的にもです」
同じく糖尿病などで弱まっていた高齢者に、水素で性が蘇るケースが多い。
獨協医科大学の名誉教授で、赤坂AAクリニックの森吉臣院長はこう話す。
「水素の作用によって、血管の内皮細胞から一酸化窒素が出やすくなって勃起しやすくなるんです。バイアグラほど強くありませんが、動脈を拡張するので血流がよくなり老化にブレーキをかけることにもなる。
それに、セックスは脳がコントロールしているので、脳が若くないといけない。水素はその脳内の血流をよくしたり、脳内ホルモンを増やすので機能がアップする。何よりも水素は血管がなくても脳のすみずみまで行き渡る。これが大きいんです」
神奈川県で保育園を経営する黒澤浩一氏(59)は、この連載で取り上げてきた。性とアンチエイジング”の様々な要素を、水素によって獲得した人物といえるだろう。
黒澤氏が胃がんによって胃の全てと、十二指腸の3分の2を摘出したのは、52歳の時だった。
「先生、私は何年生きられるんですか?」
医師にそう問うと、「キミ次第だ」と言われた。そして、あと5年生存できる確率が50%だと告げられた。「肉体的ダメージだけでなく、精神的なショックが大きかった」という黒澤氏にとってさらに苦痛だったのは、術後から始まった抗がん剤治療である。
洗面台の歯ブラシの横に、抗がん剤を置き、朝昼晩に10錠ずつ服用しなければならない。鏡に映った顔は、目の下が黒く、皮膚には張りがなく、黒ずんでいる。放射線治療を受けた後は、食事をしていなくても吐き気をもよおし、頭痛と目眩に悩まされた。
もともとイタリアンレストランを経営し、自ら厨房に立っていた黒澤氏にとってショックだったのは、体力、気力と同時に、味覚をなくしたことだ。
「抗がん剤で抑えられてしまったのか、食材をロにした時の触感しかわからない。匂いも味覚もない。これは致命的で、納得のいく仕事ができなくなりました。自分が自分ではない状態を死ぬまで続けることに耐えきれず、医師に抗がん剤治療をやめると言いました。猛反対されましたが、押し切ったのが、手術から3年目のことです」
インターネットで様々なサプリを取り寄せては飲む生活を続けていた時、彼は水素サプリを知る。知人の薦めで、通常は1日2カプセルを10カプセル摂取した。その3ヵ月後のことだ。
朝、布団の隣で妻が、「どうしたの?」と目を覚ました。黒澤氏は驚いた顔をしたまま、「見てくれ」とその場でパンツを降ろした。まるで青年時代のような朝勃ちをしていたのだ。
「がんになって以来、3年近く夫婦の営みはありませんでした。そもそも性欲自体がないし、朝勃ちなど当然ありません。朝はいつも気だるく、目が覚めても布団の中から這い出せない。ところが、その日の朝は目覚めがいいんです」
試しに彼はそのまま妻と久しぶりに体を重ねた。二人ともただただ驚くばかりで、生き返ったように心が躍ったという。
「生きている実感を感じる」
異変は続いた。歩くスピードが自然と速まっている。懐かしい躍動感が体に蘇った気がした。また、がんを患って以来、夜中に最低一度はトイレに立っていたのに、それがなくなった。連載一回目で紹介したように、就寝中に3回以上トイレに行く人は動脈硬化の前兆である。膀胱の筋肉に血液が行き渡らないため、尿を溜められず頻尿になり、EDにもなる。また、「今まで起床は遅めだったのに、朝5時半に目が覚めるようになり、まずトイレに行きます。バナナのような一本が出て、腰がすっきりする爽快感があるんです。便秘気味だったのが快便になりました」
これも東洋医学の古典『黄帝内経』の体内時計の回で紹介した、「臓器の当番時間」の「大腸系」の時間に当たる。午前5時は排泄タイムだ。西洋医学でいうホルモン分泌を促す「脳の時計遺伝子」の通りに体が動くということは、健康の証だろう。
また、排泄の爽快感は、「整体」の回で紹介した。爽快感がない排泄は、陰部神経と括約筋の衰えであり、EDやオーガズム障害の兆しだ。
様々な性のアンチェイジング要素が体に現れた黒澤氏の性生活は、根底から変わった。朝勃ちだけでなく、それからというもの週2回の夫婦の営みが続く。平均1時間ほどだ。しかし、回数が重要なのではない。黒澤氏が言う。
「オスが求めるような20代の性交ではなく、すごく自然な形でお互いを愛し合えるようになりました。二人でおいしいものを食べに行って感動したり、旅行先の風景を見て感動したりするような、お互いが一緒に心を躍らせるように、自然な形で性に結びついていく。生きている実感を感じる、二人にとって重要なものとなったんです」
今年のゴールデンウィーク、二人はハワイで10日間過ごした。毎日、二人は愛し合ったという。旅先での楽しさがそうさせたのか、1日に2度も愛し合える姿に、お互い呆れながら、がんを境にどんどん健康になっていることに気づいた。
黒澤氏はこう話す。
「100歳まで生きようなんて思いません。今、やりたいことがあるので、燃焼できればいい。やりたいことがあれば、引退はありません。社会の一員として役に立ちたいことがあるから、日々、生きるんです」
まだ未知数の水素だが、マウス実験で平均寿命が延びることがわかっている。
人間の最大寿命は、遺伝子プログラム説では120歳。水素で細胞が元気になっていけば、生きる意欲に体が伴っていくかもしれない。限界年齢に多くの人が近づける時代が来た時、高齢者の性に何をもたらすだろうか。心の充実の象徴にもなれば、諍いのもとにもなる。水素は人間社会に想定外の変化をもたらすかもしれない。
週刊文春2012年10月11日号
2011年11月04日
機能性食品素材開発を睨んだ食物繊維の水素産生に関する基礎研究
平成23年度 ノーステック財団「研究開発助成事業」若手研究人材育成事業 若手研究人材・ネットワーク育成補助金
「タイトル:機能性食品素材開発を睨んだ食物繊維の水素産生に関する基礎研究」
研究者名:田邊宏基
所属・役職:名寄市立大学・助教
背景・目的
近年、体液中の水素が活性酸素種を還元するとの新規知見が報告され、水素ガス吸入の有効性が検討されている。我々は食物繊維(DF)が先の方法と同程度の水素を体内へ供給すると確認した。本研究で水素供給におけるDFの時間的限界を解明し、DFを多く含む農産物非食部に価値を付加し、有用な食品素材の開発へ繋ぐ。
研究の成果
ラットに対照飼料またはDFとして10%および20%のレジスタントスターチ (RS) を添加した飼料を14日間摂取させ、1日に排出される水素量を経時的に測定した。その結果、全水素排出量はRSの添加量に関わらず全ての時間帯で対照飼料群に比べ有意な増加を示した (図1)。しかしながら、 20%RS飼料群に比べ10%RS飼料群では大きな日内変動が確認された。これは睡眠時に大腸内の発酵基質が殆ど消費され、水素産生量が低下するためであると考えられる。一方、腸内細菌の日内変動による水素産生量の変化は本試験では確認できなかった。水素産生において日内変動の主たる要因は発酵基質の消費速度であると考えられる。以上の結果から恒常的に水素を産生し続けるためには、次回摂食まで腸内に残るDFのタイプと摂取量が必要になる事が示唆された。
将来展望
本試験の結果から、現在注目されているオリゴ糖では速やかに腸内細菌に分解、利用されてしまうため、継続的に水素を産生し続けることは難しいと考えられる。従って、第一に構成糖が同じで重合度の異なるDFを用いて水素産生の継続性を比較、検討する必要がある。推測通り重合度の高いDFで継続性が確認できれば、農産物非食部から時間と労力をかけてオリゴ糖を抽出する必要なく、粗の状態で付加価値を付けることが可能である。第二に、これまでは単純化するためにグルコースを構成糖とするRSを用いてきたが、他の糖で構成されたDFで試験を行い、最も水素を産生しやすい農産物非食部を選出する必要がある。
◆「若手研究者交流会」と理事長賞授与式を開催しました
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
11月4日(金)、当財団が若手研究者(40歳以下)の人材育成を目的として実施しているタレント(Talent)補助金助成対象者19名が参加しての交流会を開催しました。学会では、若手研究者の交流が活発に行われておりますが、工学、医学、歯学、薬学など異分野間での研究者交流はあまり行われておらず、当日は論文作製や学生への教育、臨床など多様な業務を抱える同世代の研究者間で情報交換を行なうことができました。今後は大学研究者のみならず、道内企業の若手研究者・技術者の連携も深めていこうと考えています。
また、助成対象研究テーマの中から、名寄市立大学保健福祉学部栄養学科助教 田邊宏基氏の「機能性食品素材開発を睨んだ食物繊維の水素産生に関する基礎研究」が先進性を認められ、今年度の理事長賞を受賞しました。
http://www.noastec.jp/topics/2011/11/post-70.html
「タイトル:機能性食品素材開発を睨んだ食物繊維の水素産生に関する基礎研究」
研究者名:田邊宏基
所属・役職:名寄市立大学・助教
背景・目的
近年、体液中の水素が活性酸素種を還元するとの新規知見が報告され、水素ガス吸入の有効性が検討されている。我々は食物繊維(DF)が先の方法と同程度の水素を体内へ供給すると確認した。本研究で水素供給におけるDFの時間的限界を解明し、DFを多く含む農産物非食部に価値を付加し、有用な食品素材の開発へ繋ぐ。
研究の成果
ラットに対照飼料またはDFとして10%および20%のレジスタントスターチ (RS) を添加した飼料を14日間摂取させ、1日に排出される水素量を経時的に測定した。その結果、全水素排出量はRSの添加量に関わらず全ての時間帯で対照飼料群に比べ有意な増加を示した (図1)。しかしながら、 20%RS飼料群に比べ10%RS飼料群では大きな日内変動が確認された。これは睡眠時に大腸内の発酵基質が殆ど消費され、水素産生量が低下するためであると考えられる。一方、腸内細菌の日内変動による水素産生量の変化は本試験では確認できなかった。水素産生において日内変動の主たる要因は発酵基質の消費速度であると考えられる。以上の結果から恒常的に水素を産生し続けるためには、次回摂食まで腸内に残るDFのタイプと摂取量が必要になる事が示唆された。
将来展望
本試験の結果から、現在注目されているオリゴ糖では速やかに腸内細菌に分解、利用されてしまうため、継続的に水素を産生し続けることは難しいと考えられる。従って、第一に構成糖が同じで重合度の異なるDFを用いて水素産生の継続性を比較、検討する必要がある。推測通り重合度の高いDFで継続性が確認できれば、農産物非食部から時間と労力をかけてオリゴ糖を抽出する必要なく、粗の状態で付加価値を付けることが可能である。第二に、これまでは単純化するためにグルコースを構成糖とするRSを用いてきたが、他の糖で構成されたDFで試験を行い、最も水素を産生しやすい農産物非食部を選出する必要がある。
◆「若手研究者交流会」と理事長賞授与式を開催しました
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11月4日(金)、当財団が若手研究者(40歳以下)の人材育成を目的として実施しているタレント(Talent)補助金助成対象者19名が参加しての交流会を開催しました。学会では、若手研究者の交流が活発に行われておりますが、工学、医学、歯学、薬学など異分野間での研究者交流はあまり行われておらず、当日は論文作製や学生への教育、臨床など多様な業務を抱える同世代の研究者間で情報交換を行なうことができました。今後は大学研究者のみならず、道内企業の若手研究者・技術者の連携も深めていこうと考えています。
また、助成対象研究テーマの中から、名寄市立大学保健福祉学部栄養学科助教 田邊宏基氏の「機能性食品素材開発を睨んだ食物繊維の水素産生に関する基礎研究」が先進性を認められ、今年度の理事長賞を受賞しました。
http://www.noastec.jp/topics/2011/11/post-70.html
2011年09月25日
NASAが宇宙の放射線障害予防に水素が有効とする可能性を発表
アメリカ航空宇宙局(NASA)が、宇宙飛行における放射線障害予防に水素が有効である可能性を述べた論文を発表した。
水素療法は宇宙飛行中の放射線で誘発される酸化ストレスを軽減する
Hydrogen therapy may reduce the risks related to radiation-induced oxidative stress in space flight.
(著者)Schoenfeld MP, Ansari RR, Zakrajsek JF, Billiar TR, Toyoda Y, Wink DA, Nakao A.
(学術誌)Med Hypotheses. 2010 Sep 17.
宇宙放射線による酸化ストレス増加は、DNAや脂質の損傷を引き起こすこと知られており、宇宙飛行の主要な懸念である。生物医学分野において最近新たに水素が治療用の医療ガスとして強力な抗酸化剤、抗炎症作用を持っていることが発見されている。宇宙ミッションの活動は、回数と期間の両方で今後数年間で増加すると期待されている。したがって、宇宙飛行士に対して酸化ストレスが原因で発生する疾患のリスクや臨床症状を研究・開発し、防止することが重要である。
我々は、宇宙飛行士が受ける潜在的な放射線または有害事象の影響を、水素を吸引または飲料水として多く摂取することで新しい予防と治療戦略に可能性が高いことを示唆する。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20851533
http://www.relfe.com/Report-2-hydrogen-therapy.pdf
http://www.medical-hypotheses.com/article/S0306-9877(10)00350-6/abstract
水素療法は宇宙飛行中の放射線で誘発される酸化ストレスを軽減する
Hydrogen therapy may reduce the risks related to radiation-induced oxidative stress in space flight.
(著者)Schoenfeld MP, Ansari RR, Zakrajsek JF, Billiar TR, Toyoda Y, Wink DA, Nakao A.
(学術誌)Med Hypotheses. 2010 Sep 17.
宇宙放射線による酸化ストレス増加は、DNAや脂質の損傷を引き起こすこと知られており、宇宙飛行の主要な懸念である。生物医学分野において最近新たに水素が治療用の医療ガスとして強力な抗酸化剤、抗炎症作用を持っていることが発見されている。宇宙ミッションの活動は、回数と期間の両方で今後数年間で増加すると期待されている。したがって、宇宙飛行士に対して酸化ストレスが原因で発生する疾患のリスクや臨床症状を研究・開発し、防止することが重要である。
我々は、宇宙飛行士が受ける潜在的な放射線または有害事象の影響を、水素を吸引または飲料水として多く摂取することで新しい予防と治療戦略に可能性が高いことを示唆する。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20851533
http://www.relfe.com/Report-2-hydrogen-therapy.pdf
http://www.medical-hypotheses.com/article/S0306-9877(10)00350-6/abstract
2011年01月23日
水素によって認知症を予防できるか?
認知症予防への研究紹介:
水素によって認知症を予防できるか?
日本医科大学老人病研究所 教授 太田成男
1.はじめに
アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は認知症のなかでも患者数か過半数を占め、アルツハイマー病の克服が急務となっています。アルツハイマー病は、高齢になるにつれ、脳の神経細胞が急激に無くなっていく病気で、死んだ細胞を戻す治療は難しいのが現実です。私たちは、治療よりも予防に力をいれるべき病気だと考えています。
2.酸化ストレスがアルツハイマー病の原因のひとつ
私たちは、酸素をつかってエネルギーをつくりだし、体温の維持、運動や思考などすべてのエネルギーに用いています。この酸素をつかってエネルギーを作っている場所が細胞内にあるミトコンドリアという小器官です。しかし、その副産物として、反応性が高く、遺伝子・タンパク質・脂質を破壊してしまう活性酸素が生じてしまいます。活性酸素の害を減らす機構も細胞内にはあり、酸化力と還元力のバランスをとっているのですが、活性酸素の酸化力が過度に強くなった状態を酸化ストレスと呼ぶことにします。
年齢を重ねる毎に酸化ストレスは増加していき、老化や神経細胞の死を加速します。アルツハイマー病の原因は複雑ですが、酸化ストレスもアルツハイマー病の原因のひとつです。実際、アルツハイマー病が発症する以前から、酸化ストレスが増えていることが明らかになっています。
3.酸化ストレス亢進マウスの作製に成功
ひとつひとつの病気の原因を探り、予防法や治療法を確立するためには、その病気に似たモデル動物を作製することが大切です。酸化ストレスが亢進して、認知機能が低下したマウスの作製に成功した例はありませんでした。酸化ストレスか強すぎると生まれる前に死んでしまったり、若いうちに死んでしまったりするので、高齢になって認知機能か低下するモデルマウスがなかなか作れないのです。あるいは、酸化ストレスが弱いと、何の変化もおきません。また、高齢になって認知機能が低下することを観察するためには、マウスの寿命は3年くらいですから少なくとも2年くらいは飼育しなくてはなりません。半年くらいで研究成果を得たい人には無理な実験です。酸化ストレスが亢進して高齢になって認知機能が低下するマウスをつくるには、非常に忍耐を必要とします。
私たちの研究室では、2000年から遺伝子組み換え技術を駆使して、酸化ストレス亢進マウスの作製を試み、酸化ストレスの亢進によって、高齢になると認知機能低下するマウスについての論文を2008年に発表しました。若いときは正常ですが、高齢になって記憶力が低下するマウスです。また、記憶力が低下するだけでなく、その他の病態もアルツハイマー病に良く似ていました。この結果は、酸化ストレスが強いだけで、アルツハイマー病が起きる事を意味していました。
4.新しい概念の抗酸化分子:水素
高齢になるにつれ増加する脳の酸化ストレスを低下させる物質を発見できれば、このマウスの認知機能低下を抑制できるはずです。脳には、危険な物質がはいってこないようにする関門があります。この関門を通過できない物質は脳にはいらないので予防には使えません。また、酸化ストレスを下げすぎるとむしろ害が大きくなる事がわかってきました。そのため、従来の抗酸化物質では、アルツハイマー病の予防には役に立たないのです。
いろいろな条件を充たす抗酸化物質を世界中で探しているのですが、成功例はまだありません。私たちの研究室では、H2で知られる水素分子が有効に酸化ストレスをさげることを発見しました。この発見は注目され、NHKのニュースや新聞にも大きくとりあげられました。その後、3年間で水素に関する70報もの論文が発表され、「水素医学」という新しい学問をつくりだすことかできました。水素は他の抗酸化物質よりもはるかに効果があり、様々な病気の予防や治療に使える可能性が広がってきたのです。
5.認知症の予防
そこで、水素を水にとかして水素水として、先ほどの酸化ストレス亢進マウスに2年間飲ましてみました。水素はすぐに抜け出してしまうので、毎日新しい水素水と交換しなくてはなりません。すると、そのマウスの脳の酸化ストレスは軽減し、記憶力の低下も抑制できました。マウスの記憶力は様々な方法で調べることができます。すなわち、動物実験では、認知症の予防に成功したことになります。
水素水は、メタボ予備軍、糖尿病患者、ミトコンドリア病の患者へ飲ませて、効果があることがわかりました。認知症では、軽度認知機能低下した人たち45人に水素水を毎日飲んでいただいています。45人には、水素水の容器にはいったただの水を飲んでいただいています。人間には、「気のせい」ということもあり、良い水を飲んでいると思うだけで、良くなってしまったり、医師の顔の表情で病状が変わったりする事があります。水素水を飲む人も、水素水を渡す人も、水素水か、ただの水かがわからなようにして調査しています。これをダブルブラインド方式といいます。3年間の追跡予定です。この結果、水素水が認知機能を予防することが実証されるかもしれません。
私たちは、この臨床試験をたいへん期待しています。アルツハイマー病型認知症の予防する方法が初めて開発されるかもしれないのです。それと同時に動物実験によって、水素の効果が発揮するメカニズムを解明したいと思っています。
街ぐるみ認知症相談センター
Newsletter Vo.1 December 2010
http://www.nms.ac.jp/ig/soudan/pdf/Newsletter1012.pdf
水素によって認知症を予防できるか?
日本医科大学老人病研究所 教授 太田成男
1.はじめに
アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は認知症のなかでも患者数か過半数を占め、アルツハイマー病の克服が急務となっています。アルツハイマー病は、高齢になるにつれ、脳の神経細胞が急激に無くなっていく病気で、死んだ細胞を戻す治療は難しいのが現実です。私たちは、治療よりも予防に力をいれるべき病気だと考えています。
2.酸化ストレスがアルツハイマー病の原因のひとつ
私たちは、酸素をつかってエネルギーをつくりだし、体温の維持、運動や思考などすべてのエネルギーに用いています。この酸素をつかってエネルギーを作っている場所が細胞内にあるミトコンドリアという小器官です。しかし、その副産物として、反応性が高く、遺伝子・タンパク質・脂質を破壊してしまう活性酸素が生じてしまいます。活性酸素の害を減らす機構も細胞内にはあり、酸化力と還元力のバランスをとっているのですが、活性酸素の酸化力が過度に強くなった状態を酸化ストレスと呼ぶことにします。
年齢を重ねる毎に酸化ストレスは増加していき、老化や神経細胞の死を加速します。アルツハイマー病の原因は複雑ですが、酸化ストレスもアルツハイマー病の原因のひとつです。実際、アルツハイマー病が発症する以前から、酸化ストレスが増えていることが明らかになっています。
3.酸化ストレス亢進マウスの作製に成功
ひとつひとつの病気の原因を探り、予防法や治療法を確立するためには、その病気に似たモデル動物を作製することが大切です。酸化ストレスが亢進して、認知機能が低下したマウスの作製に成功した例はありませんでした。酸化ストレスか強すぎると生まれる前に死んでしまったり、若いうちに死んでしまったりするので、高齢になって認知機能か低下するモデルマウスがなかなか作れないのです。あるいは、酸化ストレスが弱いと、何の変化もおきません。また、高齢になって認知機能が低下することを観察するためには、マウスの寿命は3年くらいですから少なくとも2年くらいは飼育しなくてはなりません。半年くらいで研究成果を得たい人には無理な実験です。酸化ストレスが亢進して高齢になって認知機能が低下するマウスをつくるには、非常に忍耐を必要とします。
私たちの研究室では、2000年から遺伝子組み換え技術を駆使して、酸化ストレス亢進マウスの作製を試み、酸化ストレスの亢進によって、高齢になると認知機能低下するマウスについての論文を2008年に発表しました。若いときは正常ですが、高齢になって記憶力が低下するマウスです。また、記憶力が低下するだけでなく、その他の病態もアルツハイマー病に良く似ていました。この結果は、酸化ストレスが強いだけで、アルツハイマー病が起きる事を意味していました。
4.新しい概念の抗酸化分子:水素
高齢になるにつれ増加する脳の酸化ストレスを低下させる物質を発見できれば、このマウスの認知機能低下を抑制できるはずです。脳には、危険な物質がはいってこないようにする関門があります。この関門を通過できない物質は脳にはいらないので予防には使えません。また、酸化ストレスを下げすぎるとむしろ害が大きくなる事がわかってきました。そのため、従来の抗酸化物質では、アルツハイマー病の予防には役に立たないのです。
いろいろな条件を充たす抗酸化物質を世界中で探しているのですが、成功例はまだありません。私たちの研究室では、H2で知られる水素分子が有効に酸化ストレスをさげることを発見しました。この発見は注目され、NHKのニュースや新聞にも大きくとりあげられました。その後、3年間で水素に関する70報もの論文が発表され、「水素医学」という新しい学問をつくりだすことかできました。水素は他の抗酸化物質よりもはるかに効果があり、様々な病気の予防や治療に使える可能性が広がってきたのです。
5.認知症の予防
そこで、水素を水にとかして水素水として、先ほどの酸化ストレス亢進マウスに2年間飲ましてみました。水素はすぐに抜け出してしまうので、毎日新しい水素水と交換しなくてはなりません。すると、そのマウスの脳の酸化ストレスは軽減し、記憶力の低下も抑制できました。マウスの記憶力は様々な方法で調べることができます。すなわち、動物実験では、認知症の予防に成功したことになります。
水素水は、メタボ予備軍、糖尿病患者、ミトコンドリア病の患者へ飲ませて、効果があることがわかりました。認知症では、軽度認知機能低下した人たち45人に水素水を毎日飲んでいただいています。45人には、水素水の容器にはいったただの水を飲んでいただいています。人間には、「気のせい」ということもあり、良い水を飲んでいると思うだけで、良くなってしまったり、医師の顔の表情で病状が変わったりする事があります。水素水を飲む人も、水素水を渡す人も、水素水か、ただの水かがわからなようにして調査しています。これをダブルブラインド方式といいます。3年間の追跡予定です。この結果、水素水が認知機能を予防することが実証されるかもしれません。
私たちは、この臨床試験をたいへん期待しています。アルツハイマー病型認知症の予防する方法が初めて開発されるかもしれないのです。それと同時に動物実験によって、水素の効果が発揮するメカニズムを解明したいと思っています。
街ぐるみ認知症相談センター
Newsletter Vo.1 December 2010
http://www.nms.ac.jp/ig/soudan/pdf/Newsletter1012.pdf
2008年10月25日
国民の健康と日本の健康 そして日本の医療と介護は?
国民の健康と日本の健康 そして日本の医療と介護は?
弁護士・経営学修士・タレント ケント・ギルバート 氏
健康は命の問題で、医者が治してくれるのではない。日本の問題は、国民皆保険制度に守られ、健康に対する自己管理意識が少ないことだ。早期発見、早期治療はウソ。発見した時では遅い。治療には費用がかかるし、後遺症が残る場合もある。出来れば最初から病気しないほうが良い。延命は、時として本人の苦しみを先延ばしにすることもある。
一部の大学以外、日本の医学は病気を治す方法を教えるが、病気にならない方法は教えない。予防医療のために保険が使えない制度上の問題もある。
日本では食生活が昔と極端に変わって、繊維質・ビタミンが不足している。栄養表示で脂肪分ゼロでも、カロリーが高いと栄養バランスが悪い。サプリメントは、日本では薬事法の関係上、効果・効能をうたうことができない。だから店頭よりも、80%が口コミ(システム)販売で流通している。一部は店頭で、残りは質の悪いもの。いかがわしいものほど違反表示をしている。またそういう情報しか消費者へ届かない。値段も高い。アメリカでは80%が店頭販売で、天然ものと合成ものが選べて安い。
アメリカでは1994年に、「栄養補助食品健康教育法(DSHEA)」が制定されたことで、科学的根拠さえあればサプリメントに一定の効果・効能を表示できるようになった。サプリメントには基本的に副作用はない。根拠となるデータの取れないものは淘汰される。だから今では医療の現場で70%サプリメントが処方される。
日本でも法の整備をして正しい情報を流し、健康意識を向上させる必要がある。ただし本人の意識が一番重要だ。健康に無関心で大病を患う人は、税金をムダに使わせている。本当に国民のためなら、行政当局は特定団体の利益を考えず本気で取組むべき。
予防医学は
1)休むこと、休養が絶対必要
2)運動 歩く
3)正しい栄養を摂る
健康意識を高め、個人を守る為には、適切な情報の解禁が必要である。(終)
2008年10月25日(土)御茶ノ水・東京ガーデンパレスにて
弁護士・経営学修士・タレント ケント・ギルバート 氏
健康は命の問題で、医者が治してくれるのではない。日本の問題は、国民皆保険制度に守られ、健康に対する自己管理意識が少ないことだ。早期発見、早期治療はウソ。発見した時では遅い。治療には費用がかかるし、後遺症が残る場合もある。出来れば最初から病気しないほうが良い。延命は、時として本人の苦しみを先延ばしにすることもある。
一部の大学以外、日本の医学は病気を治す方法を教えるが、病気にならない方法は教えない。予防医療のために保険が使えない制度上の問題もある。
日本では食生活が昔と極端に変わって、繊維質・ビタミンが不足している。栄養表示で脂肪分ゼロでも、カロリーが高いと栄養バランスが悪い。サプリメントは、日本では薬事法の関係上、効果・効能をうたうことができない。だから店頭よりも、80%が口コミ(システム)販売で流通している。一部は店頭で、残りは質の悪いもの。いかがわしいものほど違反表示をしている。またそういう情報しか消費者へ届かない。値段も高い。アメリカでは80%が店頭販売で、天然ものと合成ものが選べて安い。
アメリカでは1994年に、「栄養補助食品健康教育法(DSHEA)」が制定されたことで、科学的根拠さえあればサプリメントに一定の効果・効能を表示できるようになった。サプリメントには基本的に副作用はない。根拠となるデータの取れないものは淘汰される。だから今では医療の現場で70%サプリメントが処方される。
日本でも法の整備をして正しい情報を流し、健康意識を向上させる必要がある。ただし本人の意識が一番重要だ。健康に無関心で大病を患う人は、税金をムダに使わせている。本当に国民のためなら、行政当局は特定団体の利益を考えず本気で取組むべき。
予防医学は
1)休むこと、休養が絶対必要
2)運動 歩く
3)正しい栄養を摂る
健康意識を高め、個人を守る為には、適切な情報の解禁が必要である。(終)
2008年10月25日(土)御茶ノ水・東京ガーデンパレスにて