2014年03月30日

ハイパーソニック・サウンドを体感する

 3月30日、放送大学 文京学習センターでハイパーソニックのレクチャー&デモンストレーションを聴いてきました。
ハイパーソニック・サウンドを体感する
内閣府/日本学術振興会 最先端・次世代研究開発支援プログラム(NEXT)で「ハイパーソニック・エフェクトを応用した健康・快適なメディア情報環境の構築」の成果報告会です。前半はデジタルメディア評論家の麻倉怜士氏による「ハイレゾ音響とハイパーソニック・エフェクト」でした。
ハイパーソニック・サウンドを体感する
 昨年からハイレゾが急速に普及してきました。ハイレゾ対応のウォークマンは二ヶ月待ち、新発売のAK240、イギリスのDAコンバータ「Hugo」(ヒューゴ)は20万円を超える価格でも大人気です。ハイレゾ音源配信サイトe-onkyo musicでも、ポピュラーやアニメソングがランキング入りするように、客層が広がりつつあります。今年に入って、CD新譜と同時に配信するようになりました。

 ハイレゾ配信を後押ししたのは、DRM(著作権保護仕様、俗に言うコピーガード)がなくなって、ユーザーがPCやスマートフォン、ハードディスクなどあらゆるシーンで使えるようになったことがあります。ただしDRM無しで無制限にコピーできないよう、罰則規定も強化されてユーザーの自己責任を問われるようになりました。

 ハイレゾは、音そのもののよさもさることながら、特に空気感が出せるのが特徴です。実際にmp3,CD,ハイレゾの比較、さらにリニアPCMとDSDの比較も実演しました。

ハイパーソニック・エフェクトとは、可聴域上限をこえる高複雑性超高周波を含む音が、脳幹・視床・視床下部からなる脳の最高中枢<基幹脳>の活動を劇的に高め、環境適応や生体防御を司り健康と深く関わる<自律神経系・内分泌系・免疫系>、そして美しさ快さを司り感性や芸術と深く関わる脳の<報酬系>の活動を連携して向上させる効果の総称
「日本学術振興会の最先端・次世代研究開発支援プログラム」研究課題の概要より

ハイパーソニック・サウンドを体感する
 後半は、放送大学教養学部の仁科エミ教授による「ハイパーソニック・エフェクトが拓くメディアの新しい可能性」です。

 超高周波を含むガムランの録音で、このスピーカーを実際に比較試聴しました。聞こえない超高周波が、可聴帯域の低域が豊かに聞こえるのを感じました。これはおそらく感覚に与える影響で、測定器が判別できる差異ではありません。

 私がかつてどの講演でも経験したことがなかったのが、バックグラウンドに流れる環境音です。講演の冒頭から、ボルネオの熱帯雨林で録音した鳥や虫の声を含む環境音をバックグラウンドで流していました。普通なら話し声に別の音を流したら聞き取りにくいノイズとなるのに、この場合はその環境音が途切れて静けさのほうが、かえって違和感があります。今回開発したスピーカーあってこその効果音といえます。

超高周波を再生する在来のスーパーツイータは、80kHz 以上の帯域の再生に限界がある上に指向性が狭隘で、周波数特性の平坦性にも乏しく、大きく重い。そこで、100kHz 超まで平坦な再生特性をもち、小さく軽く、指向性が広く、将来的に安価に供給しうる新原理のセラミックス・アクチュエータを開発した。これを搭載して150kHz超まで再生可能なスピーカシステムを開発した。
「最先端・次世代研究開発支援プログラム;NEXT研究」研究紹介ポスターより

20kHzを超える周波数を含むガムランの録音を聞いたときの脳波の変化を比較しました。
ハイパーソニック・サウンドを体感する
使用した音源

ハイパーソニック・サウンドを体感する
可聴域をこえる高周波成分による脳波α波ポテンシャルの増大

ハイパーソニック・サウンドを体感する
高周波成分によって活性化される基幹脳ネットワーク

ハイパーソニック・サウンドを体感する
可聴域をこえる高周波成分の付加・除外による脳波α波ポテンシャルの時間変化
【図は「平成17年度ハイパーソニックデジタル音響システムに関する調査研究報告書」より】

 可聴帯域の音は、瞬時に聞こえるか否かが分かります。それに対して、高周波成分によって脳が活性化され出現するα波は、タイムラグがあります。

 人類は誕生以来長い間、森林とともに暮らしていました。ジャワ島とボルネオ島の森林環境音には100kHz付近までの音が含まれているのに対して、都市の環境音には20kHz以上の音はありません。室内となると、さらに高い周波数が少なくなっています。仁科教授は、これを「情報的な栄養失調」と表現していました。

 質疑応答で、医療関係者が認知症患者の治療に使えないかと質問をしていました。加齢とともに聴覚が低下し、日常生活や会話が不自由になり、なかには寝たきりになった人に対して、全身皮膚から伝えられる刺激が認知症改善のきっかけにならないかという提案でした。現在のところ、実証していませんが、今後は応用の可能性があります。

 CDを前提にしたデジタル録音は、機器の仕様で20kHz以上を含まないのに対して、高音質で収録したアナログ録音は、超高周波を含む音源がレコード会社に保管されています。こうした音源こそハイレゾに相応しいコンテンツで、今後は配信サービスで手に入るかもしれません。ハイパーソニックの効果が多方面で実証され、ハードウェアの普及とともに、初めから超広域を含むソースが充実していくことでしょう。
ハイパーソニック・サウンドを体感する

CDのフォーマット策定にかかわった大手電機メーカーの元関係者が、可聴帯域外の超高周波について次のようにコメントしています。

 そのころ、ガムラン音楽を録音して脳波を測定すると、生を聞いた時と明らかに違うという実験結果が発表された。どうやら、20KHzで周波数を切っている影響らしい、というのだ。マスコミに「どうですか」と聞かれた私は「それは大いにありうる話です」と答えて、広報部からおこられた。「自分で発明したCDを否定するのですか!」と。
 私は、正直に自分の見解を述べただけだ。人間は意識で検知できる範囲を超えた知覚がある。それをサブリミナルという。「聞こえますか、聞こえませんか」という調べ方をすれば、20KHzが限界だ。ところが、意識できない周波数領域の影響は確かに受けているのだ。これは視覚などのあらゆる知覚にあてはまる。
facebookより

【関連記事】
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音は身体全体で感じている:大橋 力×中村桂子

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Posted by suiso at 22:38
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