2014年03月07日

認知症を生きる:週刊東洋経済2014年3月8日号

認知症を生きる
最新ケアから費用まで


 もし自分が認知症になったら、離れて暮らしている家族が認知症になったら……。そんな不安を抱えている人は少なくない。
 厚生労働省研究班によれば、65歳以上の高齢者の認知症は2012年時点で推計462万人。さらに数年内に認知症になる確率が高いMCI(軽度認知障害)の認知症予備群を合わせると800万人以上に上る。
 これは65歳以上の高齢者の4人に1人が、すでに認知症か、認知症予備群だという計算になる。夫婦の両親が共に健在ならば、肉親と義父母の計4人のうち1人が認知症になるおそれがあるということだ。認知症の親を介護するために会社を休んだり、辞めたりする人がこれからますます増えるかもしれない。

長生きするほど発症
10年後に認知症大国へ
 認知症は長生きすればするほど発症リスクが高まる。日本はそもそも平均寿命の長い長寿国だ。団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となる25年には、認知症の人や認知症予備群が1000万人を優に超える、過去に類を見ない認知症大国になるとみられる。
 自分はまだ若いから、と安心してはいられない。20代、30代、40代の発症例もあるからだ。取材で出会った若い認知症の人は優秀でバリバリ働いていた人ばかり。「内臓が丈夫で、頭の中しか壊れるところがなかったのか」と嘆く配偶者にも会った。
 だが、過度に恐れる必要はない。まずは正しく知ることが大事だ。
 認知症と聞くと徘はいかい徊や暴力を思い浮かべるかもしれないが、これらの周辺症状は、家族の接し方次第で和らぐことがわかっている。
 また、認知症になったからといって、何もできなくなるわけではない。海外には発症20年を経てなお本を書いている人がいる。日本でも、働いている認知症の人がいるし、講演する人もいる。認知症の当事者が語り出したことで、認知症の人の尊厳を守り、より暮らしやすい環境を整えるケアへと向かいつつある。


認知症研究の第一人者が語る
「早期予防はなぜ大事なのか」
 アルツハイマー型認知症の発症メカニズムはわかっていないが、「アミロイドβ」(Aβ)が長期間かけて脳内に凝集・蓄積することで、神経細胞の働きが阻害されると考えられていた。
 数年前まではワクチンでそのAβがなくなっても、認知機能の低下は止められないというショッキングな報告がなされた。これはすでにAβの蓄積が進行し、「タウ」の凝集が始まると、その時点でAβを止めても手遅れということを意味する。
 だから認知症を呈するもっと前、認知機能が正常な健常人、たとえば50歳から薬を投与するとなる。つまり予防という方策が重要になる。
 もう一つはタウそのものへのアプローチだ。知能低下はタウの量によって決まる。タウを制御する事ができれば、治療法の確立につながる可能性が高い。その場合もできるだけ早期に診断できたほうがいい。神経細胞は一度死んだら絶対再生しないため、どんな薬でも元の認知機能に戻すことはできないからだ。
同志社大学生命医科学部教授 井原康夫
認知症を生きる:週刊東洋経済2014年3月8日号
知っておきたい! 認知症の基礎知識
PART1
認知症の人を支える
認知症でも働く意思があれば働ける
「徘徊ノー」から「自由に徘徊できる街」にする
認知症にこそ効果 巡回訪問の介護力
過剰介護をしないグループホーム
重症受け入れるサンピエール病院
認知症の人の自動車運転をやめさせる秘策はあるか
認知症の夫を抱える妻の独白「 万引き繰り返す夫は自覚がなさそうなんです」
認知症の人を自宅で看取る
世界から見た日本の認知症政策
COLUMN │認知症のお客さんにどう対応? イオン/京都信金
データ改ざんは本当になかったのか 信頼揺らぐアルツハイマー病臨床研究

PART2
休職・離職・おカネ
働き盛りを直撃する介護リスクの現実
仕事との両立を徹底支援 花王/住友生命/丸紅/大成建設
認知症の家族を
介護するために 知っておきたいマネーの知識と支援制度

PART3
早期発見・治療・予防
診断薬、テストはここまで進んでいる
開発最前線 進行止める「夢の薬」5~6 年内目指し競争
アルツハイマー型認知症を予防する 運動、ワイン、魚・野菜中心の食事が◎
週刊東洋経済2014年3月8日号(2014年03月03日発売)



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Posted by suiso at 08:07
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