日本最大のウェルネスリゾート・ハウステンボスで認知症セミナーが開催されました。認知症予防に効果が期待できる有酸素ウォーキングやリズミック体操などの体験プログラムも実施され、3月2日は満席の約60名ほどが聴講しました。
認知症予防研究の第一人者による特別講義の概要は以下の通りです。
■認知症は予防できる
田平武 (たびらたけし)氏
順天堂大学大学院医学研究科認知症診断・予防・治療学講座客員教授(非常勤)、河村病院認知症診断・予防・治療センター長
日本では認知症の7割がアルツハイマー病で、発病の20年前から始まっています。治療薬があるものの改善することは難しく、現状では進行をとどめることしかできません。
したがって「なってからでは遅い」ので、予防に努めることが大切です。大きな危険因子として老化があります。時間的経過の加齢は万人に平等ですが、老化は個人差があります。日常生活の食事と運動によって、老化を遅らせることができます。加齢は避けられませんが、老化はコントロールできます。これがアンチエイジングです。
体を良く動かし、何事にも興味を持って積極的な生活をする。中ぐらいの運動をよくした人は軽度認知障害(MCI)が少ないことが統計的にわかっています。また、ワシントン州の日系人を10年間追跡したところ、果物や野菜ジュースがアルツハイマー病のリスクを下げることがわかりました。フランスのボルドー地域の調査で、魚をまったく食べない人は、1日に1回以上食べる人より5.3倍もアルツハイマー病になりやすくなります。
ビタミンEをよく摂る人は、アルツハイマー病になる危険率が、1/2から1/3に下がります。
最後に、ストレスがアルツハイマー病の大きな要因になるので、自分自身でコントロールすることが大切です。
・笑うこと
・気分転換すること
・心身一如につとめること
・手っ取り早くは呼吸法
■アルツハイマー予防の最前線
- 認知症は改善できる -
長谷川亨(はせがわとおる)氏
佐賀女子短期大学名誉教授、医学博士
株式会社MRD研究所 代表取締役
近年のアルツハイマー病研究は、脳にアミロイドと呼ばれる老人班が増えることに注目して、世界の有力な製薬会社は巨額の研究費を投じて、アミロイド仮説に基づいた治療薬やワクチンの開発、臨床試験を行いました。
しかし2008年に米国シカゴで開催されたアルツハイマー病国際会議で、臨床試験の失敗が報告されたのです。「確かにアミロイドの量は減ったものの、肝心の認知機能の回復は見られなかった」。そればかりか、悪化する例も出たのです。
私と田平先生もその会議に出席し、多くの研究者がショックを受けている様子を目撃しました。それ以来、アルツハイマー病の「アミロイド仮説」が揺らぎだしたのです。
そこで私たちは別のアプローチを試みました。血液中のホモシステイン酸濃度と、認知機能の指標となるMMSEスコアに相関があることを突き止めました。さらにホモシステイン酸が血液中から尿に排出される人ほど認知機能の回復が見られました。
問題は血液中のホモシステイン酸をどう下げるかです。いくつかの食品で認知症が改善することがわかっています。さらに水素に還元作用がある論文に注目して、これらをブレンドした水素ブレインフード(HBF)を開発しました。
これをある特養施設に協力いただいて試したところ、重症患者の認知機能が改善してきました。また別の例では、ほぼ植物状態で入院していた若年性アルツハイマー病の患者が、水素サプリと水素ブレインフードを食べて数カ月したら、話しができ、意思を伝えられるようにまでなりました。
ほかにも認知機能の変化についてN式老年者用精神状態尺度(NMスケール)で評価したところ、50名のうち多くの人に改善が見られました。
年をとっても自分の家族を認識できて、会話ができる。自分の家で家族と共に静かに余生を送れることで、本人も家族も満足をえられます。認知症は予防もできるし、改善もできる可能性があるので希望を持っていただきたい。
■水素の可能性
若山利文氏
水素は元素周期表の一番目にあり、最も小さい物質です。体内で活性酸素は、肉体を老化させ、さまざまな病気の原因にもなります。なかでも一番の悪玉活性酸素である『ヒドロキシルラジカル』に水素は反応して、体内で無害な水に変化します。
水素は小さいので細胞そのものに染み込みます。ですから血液脳関門によって薬などが到達しにくい脳にも入っていきます。そうした先で活性酸素を除去するので、さまざまな生理効果が臨床報告されています。
昨年9月に、第9回認知症サプリメント研究会で『水素ブレインフード』が発表され、従来の認知症対策にそったアプローチとして注目されています。予防にはもちろん改善した事例が長谷川先生より報告されました。
わりとよく知られるようになった水素水も良いのですが、水には1.6ppmしか水素は存在できません。その点、サンゴカルシウムを焼成して水素を閉じ込めると、体内の水分と反応して水素が発生します。ちょうどマラソン選手のように長い間ずうっと体内で水素を発生し続けるのが強みです。たとえば眠っている間は水素水を飲み続けることは出来ませんが、水素サプリメントだと、体内に水素が存在し続けることができます。
今後も水素の研究が進み、みなさんの健康に役立てればと願います。
[主催] ハウステンボス
[協賛] TBソアラメディカル
ハウステンボス認知症セミナー
佐世保市のテーマパーク、ハウステンボスでは、医療と観光を組み合わせた新しいツアーでの観光客の招致を進めようと、2月28日、初めて認知症の予防について学べるセミナーを開きました。
ハウステンボスでは、従来型の観光に加え、東洋医学と西洋医学を合わせた医療を提供する「医療観光」の事業を展開し国の内外からの観光客の誘致を進めています。
きょうはこの事業の一環として初めて、認知症の予防をテーマとした4つのセミナーが開かれました。
このうち、認知症の予防に効果があるとされるリズムを取りながら体を動かす体操のセミナーでは、参加者たちが健康運動指導士の手ほどきで手足の筋肉を伸ばし心地よさそうに体をほぐしていました。
また、有酸素ウォーキングというセミナーでは、参加者が両足を拳ほどの間隔で開いてかかとからまっすぐ前に踏み出すという正しい歩き方を講師から教えてもらいながらリラックスしたひとときを過ごしていました。
福岡市から参加した60代の主婦は「ハウステンボスの年間会員になっていて、内容が良さそうので参加しました」と話していました。
初回の認知症予防セミナーは、3月6日まで開かれます。
ハウステンボスの高田孝太郎執行役員は「病気を防ぐ医療をテーマパークでのホテルの滞在と組み合わせることで観光客の増加につなげていきたい」と話しています。
NHK長崎 02月28日
http://www.nhk.or.jp/nagasaki/lnews/5035194181.html
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