7月18日に終了した消費者庁『食品の新たな機能性表示制度に関する検討会』の
最終報告書が、公表されました。
健康食品の機能性表示
現在ある栄養機能食品や特定保健用食品は、中小企業にとってハードルが高いことなどの課題があります。昨年6月の閣議決定で、「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討」することが決まり、消費者庁で『食品の新たな機能性表示制度に関する検討会』が昨年末に発足しました。
従来は健康食品について機能性を表示することができなかったので、例えばヒザに手を当てている写真であたかも関節に良いかのようにイメージさせる表示で、実際にどのように良いのかを消費者が知ることはできませんでした。
食品の新たな機能性表示制度は、消費者・生活者の視点に立ち、国民全体の利益を考える観点から、企業等の責任において科学的根拠を基に機能性を表示できる新たな方策について検討されたものです。検討にあたって参考にしたのは、米国のダイエタリーサプリメント(以下、DS制度)の表示制度です。特定保健用食品と違って国が認めたものではなく、あくまでも企業等の責任において科学的根拠のもとに表示をおこない、かつ、一定のルールの下で加工食品及び農林水産物それぞれについて、安全性の確保(生産、製造及び品質の管理、健康被害情報の収集)も含めた運用が可能な仕組みとなるよう検討がされました。
すべての健康食品が自由に表示できるようになるものではなく、条件を満たせば表示を解除するものであって、表示できるのは製造の品質管理や最終製品または機能性に関与する成分の研究により科学的根拠が明らかにされたものが対象です。ただし、ビール等のアルコール含有飲料や、ナトリウム・糖分等を過剰に摂取させることとなる食品は、一定の機能が認められたとしても、摂取による健康への悪影響を否定できないため、対象となりません。また、ビタミン・ミネラルはすでに栄養表示基準で定められているため、この機能性表示から除外されます。
米国のDS制度は販売後30日以内に届け出るのに対して、食品の新たな機能性表示制度は事前に機能性と根拠を届け出て、ウェブなどで情報を開示すると言う、世界初のオープンな制度です。違反表示については、今回の制度ではなく食品表示法により取締りを強化するということです。明確な根拠がない表示は、このほかに薬事法や健康増進法などによる処罰の対象にもなります。
今後は食品表示基準案を作成してパブリックコメントを募集し、消費者委員会ではかり周知期間を経て来年3月からスタートします。
阿南消費者庁長官記者会見(平成26年7月30日)
問
機能性表示の件なのですけれども、これが実施されることによっての消費者にとってのメリット、企業側のメリットあると思うのですが、メリットはどういったものがあるのでしょうか。
答
今まで、いわゆる健康食品には全く規制も何もない状態でした。ですから、ちょっと不安なものも、検証されていると思われるものも、混在した市場になっていました。そこに、今回の制度で大きく網をかけて見分けることができるようにしたということだと思っております。安全性の確保を前提にした、選択に資する表示の仕方に関するルールがより明確になり、消費者にとってはいい制度になるのではないかと思っております。
問
同時に、こういった表示に変わることでも、まだ解決しなければいけない問題点というのは何かあるでしょうか。
答
やはりこういう制度をつくっても、その制度にのっからないようなところも多分出てくるのではないかと思うのです。ですから、そこに対してどのように規制していくのかというところがポイントになってくるかと思っておりますが、これまでも様々に取締りを行ってきましたけれども、そうした法執行をさらに強力にやっていく必要があると考えています。
概要スライド
※ 以下は消費者庁の公表資料
食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書
食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書の公表について
[PDF:61KB]
食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書
[PDF:637KB]
食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書 概要
[PDF:334KB]