米国民の寿命は延びたが、健康度は低下=ワシントン大学
2013年 7月 11日 12:43 JST.
米国民の寿命は延びたが、健康度は低下=ワシントン大学調査
By RON WINSLOW
米国民の寿命は20年前に比べると延びたが、健康度の国際比較では順位が下がっていることが、このほど発表された報告書で明らかになった。これは、米国民を対象とした健康度の分析としては15年余りぶりの大規模な調査。
シアトルのワシントン大学健康指標評価研究所(IHME)のクリストファー・マレー所長が中心となって行った調査結果で、米国医師会雑誌(JAMA)の電子版に10日掲載された。
それによると、年齢調整をかけた死亡率は多くの病気について低下している。ただ、糖尿病や腎臓病など肥満関連の病気や、アルツハイマー病など神経疾患による死亡率は上昇している。また、高齢化を受けて病気や障害を抱えて生存する年数は増えている。マレー所長は「米国民の寿命は延びているが、必ずしも健康とは限らない」と述べる。
米医学研究所(IOM)のハーベイ・V・ファインバーグ所長は、同報告書に添付された論説で、「米国民の健康は徐々に改善しているが、他の多くの先進国に比べるとそのペースは遅い」と指摘し、平均寿命や生活の質などの国際比較では経済開発協力機構(OECD)加盟34カ国の中で米国の順位は低下していることを明らかにした。
調査によると、米国の平均寿命は、2010年には78.2歳となり、1980年の75.2歳から上昇した。しかしOECD諸国の中では27位と、20年前の20位から低下している。また、短期、長期のいずれの病気にもかからずに健康を維持している健康寿命は68.1歳で、平均寿命との差は10.1歳。1990年には9.4歳だったから、生活の質の低下を意味する健康寿命と平均寿命の差は拡大している。米国民の健康寿命の国際順位は、20年前の14位から26位に低下した。
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