消費者庁から「健康食品の効能効果の裏付けとなる合理的根拠を示す実験結果、データ等をウェブサイト上に適切に表示することは薬事法に抵触しない」との見解が示されました。
12月24日に公表された健康食品のガイドラインによると
明確なエビデンスを持つ健康食品は、堂々と効能効果を表示できるのです。
12月1日までに消費者庁へ健康食品の表示についてパブリックコメントがよせられ、健康増進法と薬事法の関係について回答が公表されました。
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「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」別紙2、第3の1
[意見の要約]
本留意事項案において、「効果効能の裏付けとなる合理的根拠を示す実験結果、データ等をウェブサイト上に適切に表示することが望ましい。」とされているが、現行法規制上ではいわゆる健康食品に関してこのような実験結果、データ等をウェブサイト上に表示することは効果効能の提示とみなされ、薬事法に抵触するのではないか。(団体、個人、匿名)
[御意見に対する考え方]
いわゆる健康食品の効能効果の裏付けとなる合理的根拠を示す実験結果、データ等をウェブサイト上に適切に表示することは薬事法に抵触するものではありません。
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131224premiums_1.pdf
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つまり、
明確なエビデンスを持つ健康食品と、裏づけのないものは差別化が可能になります。
ただし、この見解を正しく解釈しなければなりません。
景品表示法における合理的な根拠についての考え方が示されており、表示の裏付けとなる合理的な根拠といえるためには、
① 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
② 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
の2つの要件を満たしている必要があります。
健康食品の効能効果の裏付けとなる合理的根拠を示す実験結果・データ等(エビデンス)とは、言うまでもなく製品そのものについてであって、次の場合は正しいエビデンスに該当せず、実際の品物より良く見せかける優良誤認となります。
(1)ラベルや名称が同じでも成分や量など中身が異なる海外の製品
(2)製品に含まれている特定の成分だけを取り上げたもの
(3)製品の使用状況が著しく異なるもの
(4)体験談や感謝の手紙がたくさんある
(5)特許を取得しいてる、または出願中
(1)については、海外製品を日本で発売する際に成分を変更したものがあります。この場合、海外でエビデンスがあっても、成分などを変更したら同一の製品とはみなされず、日本の製品について合理的根拠とはなりえません。 ※
合理的根拠とならない事例
(2)について、成分ひとつの効果効能を説明したとしても、総合として良い効果だけでなく、別の面でリスクが考えられます。効果効能が示されている成分がどの程度含まれているか、意図しない悪影響がある他の成分が混ぜられているかを考慮する必要があります。例えばビタミンCを飲みやすくするために砂糖を加えた場合、製品として血糖値に良い影響を与えるとは限りません。
(3)は、通常の使用状況と異なる特殊な条件下での効能効果は、正しくその条件を示す必要があります。
例えば、マウスで実験して良い結果があったとしたら、人間に体重換算した相当量を摂取する必要があります。また、水素水の水素はペットボトルを通過して消失してしまうため、毎日新鮮なペットボトルに充填したものを使う実験と、流通過程で時間が経過し、さらに消費者が買い置きしたペットボトルの水素水を飲むのでは、全く効果が異なります。
(4)は、体験談や感謝の手紙がたくさんあっても、科学的・客観的な評価とはいえません。
(5)特許は、特定の方法または仕組みについて権利があるということだけで、科学的・客観的な効果を示すものではありません。一部の原料メーカーの特許や、他社の特許を持ち出して宣伝に使うケースもあります。特許番号から調べればわかるので、もってのほかです。
あくまでも、通常の使用条件で使う健康食品そのもののエビデンスであるべきです。効果効能について合理的な根拠がある健康食品は、景品表示法及び健康増進法の観点から「データ等をウェブサイト上に適切に表示することが望ましい」と、今回のガイドラインで示されています。
その一方で、消費者庁の阿南久長官は10月23日、東京都内で開催された医療経済研究・社会保険福祉協会主催の健康食品フォーラムで「
根拠のない表示や広告、悪質な販売方法の取り締まりをこれまで以上に強化することが重要」と強調しました。
当然ながら、エビデンスのある製品とない製品は、今後のビジネス展開に大きな違いをもたらすことになります。
もうひとつ注意すべきは「適切に表示する」点です。
製品そのものにエビデンスがあるからと言って、それを説明して「商品名」「購入先」などを同時に示した場合は、薬事法による医薬品等の広告規制、「認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない(第68条)」規制に抵触します。
医薬品等適正広告基準について(昭和55年10月9日薬発第1339号厚生省薬務局長通知)
・顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・一般人が認知できる状態であること
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_d.pdf
ですから「適切に表示する」とは、健康食品そのものがどういう効能効果があるかを客観的に検証した実験結果・データ等のみを示し、購入先や商品名を同時に表示したら不適切な表示として、薬事法上の問題が起こります。