Wagner: Der Ring des Nibelungen
Solti / Vienna Philharmonic
17CD、DVD、Blu-ray Audio
リングの豪華装丁版が届いた。
SACD盤を買おうと思ったら、
エソテリックから限定1000部でSuper Audio CDハブリッド・ソフト14枚組が出ている。58,000円では手が出ないと思っていたところ、アマゾンでこのセットを見つけた。
Amazon.co.jpで19,707円なのに対して、
Amazon.comで279.85ドルと時価レート換算しても高い。迷わず日本で注文した。
LPジャケットサイズで、厚さ9cmほどある。
世界で限定7000部、シリアルナンバー入り
CD14枚に、ライトモチーフの解説2枚
LP時代にもあったライトモチーフの解説に挿入された音楽もリマスター版が使われている。
デリック クックによるライトモチーフの解説CD2枚
これだけでも聞き応えがある。
リブレット(台本)の対訳は英語のみ
ジョン カルショーが製作過程を記した
『リング リザウンディング』の日本語版は別に出版されている。
このシーンがメイキング映像DVDにでてくる。
メイキング・ビデオ(1965年BBC制作の伝説のドキュメンタリー映像)
日本語字幕版が単独で発売されている。
ブルーレイ1枚に、CD14枚分が収まっている。ノンストップで全曲が聴けるのは、今までなかったこと。
LPレコードなら電話帳のような分厚いセットが、ワイシャツのポケットに入ってしまうのだからスゴイ。
【視聴して】
リマスター版だけあって、音の見通しが良くなっている。
ジークフリートの冒頭、森の中で加治屋のミーメが一人ぼやいているシーンを、従来版のCDと聴き比べた。森の静けさ、実際にはスタジオ録音なのでそんな事はありえないが、その空気感が伝わる。続いてミーメが刀を叩く音が出てくる。弱音と強音がハッキリして、森の小鳥が登場するシーンの静謐さと、ファーフナーの洞窟前、ラインの黄金冒頭のコントラバスやファゴットの重厚さが明確に聞こえる。
意図的にメリハリをつけたというより、ごく自然に聞こえる。たとえるなら富士山を朝早く見に行ったら、雲と霧があったのが、快晴になって雲も霧も風もなく、山頂からはるか裾野まで見通しが良く、色もくっきり見えるようなものだ。
SACD盤ではないが、明らかに音がいい。人によってはSACD盤とリマスターが違うが、コチラのCDを評価する声もある。スタジオ録音であえて舞台と同じように歌手を移動させて録音している風景が、メイキング映像にある。歌手の位置を床にマス目を引いて指示したジョン カルショーの意図が、録音からよくわかる。
DVDを見て、CDの新旧聞き比べをしたら時間がいくらあっても足りない。家にいる楽しみが手に入ったのは実に喜ばしい。しかし、仕事が手につかないのは困ったことだ。
【The Ring - Sir Georg Solti - Deluxe Limited Edition Box】
30年ほど前のCDは4セット15枚
ドイツ統合の前に買ったので、CD盤面に「Made in W.-Germany」とある。
『
ビルギット・ニルソン オペラに捧げた生涯』(春秋社)に、配役についてコメントがある。
《神々のたそがれ》のキャストは豪華版だった。クリスタ・ルートヴィヒのヴァルトラウテ、その印象的な姿と素晴らしい声で役柄に息を吹きこむことのできる希有な芸術家である。ハーゲンはゴットロープ・フリック、夜のように暗い音色を持つたぐいまれなバスで、ヴォルフガング・ヴィントガッセンはまたもや極めつきのジークフリートだった。グンターとグートルーネ兄妹は、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウとクレア・ワトソンという貴重なキャスティング、そして最後の最後としてグスタフ・ナイトリンガーのアルペリヒで、彼は、私か今まで聴いたアルベリヒのなかで最高の出来映えだった。他の役もスター歌手が豪華に配された。ゲオルグ・ショルティとジョン・カルショーは、「私のオペラではどの役も主役です」というワーグナーの言葉をその通りに実現しようとしたに違いない。